組織変革はシステム思考とAI 全体像を把握するビジネスリーダーが肝

組織変革はシステム思考とAI 全体像を把握するビジネスリーダーが肝

日本でAIを実際に使っている企業は
わずか1割未満という「真実」

AIの導入を試みたものの成果につながらない――。このように嘆く企業が急増している。また、PoC(概念実証)を実施している企業でも実用化頓挫するケースは少なくない。

マイクロソフトが2019年3月に公表した調査結果(※https://aka.ms/AI_ReportJapan)からも実態伺える。日本のAI導入企業は33%だが、PoCフェーズを除外すると実質的にビジネス導入レベルの企業は、わずか9%という驚くべき数字が浮かび上がる。そこには専門家不足よりも深刻な問題がある。

日本マイクロソフト株式会社
クラウド&エンタープライズビジネス本部
シニアプロダクトマネージャ
横井 羽衣子 氏

マイクロソフトでは日本市場のAIビジネス浸透度を2022年までに50%まで引き上げることを目指す。プロダクトマネージャー横井氏は失敗要因の一つに、現場を理解しない経営層・戦略策定者などのビジネスリーダー層主導でありがちな「目的や・期待するアウトプットからの逆算ではなく、AIの導入自体を目的とする本末転倒なアプローチ」を挙げる。大抵は勝手な期待から始まり、部分最適化で終わり、根本的な改善に至らず失望して終わる。加えて、経営者やビジネスリーダー層が技術に無理解であることのもう一つの弊害が「AIやデータ分析から得られるインサイトからの企業戦略・戦術への技術導入の価値を適切に評価できない」ことだ。

省力化や自動化が主な役割だった従来のITと同義に捉えてしまうため、支持者、支持部門、投資効果情報が揃わずAI導入は常に先送りになる。こうしたビジネスリーダーの元では専門家をいくら養成しても、AIを正しくビジネスに活用できる日は永遠に来ない。つまり、根本要因は「ビジネスリーダーの技術への無理解」にある。

そこで同社では”AI Ready”を企業文化に浸透させるためのポイントや、企業責任など導入ありきで進めるとつい見落としがちなことなどを整理。ビジネススクールINSEADと共同でビジネスにAIを戦略的に活用するためのコースとして開発、無償オンライン講座「AI Business School」(日本語版は本年下半期予定)として提供を3月開始。すでに全世界で7万5千人が受講しているという。併せて専門家養成無償トレーニングコース「AI School」を「Microsoft Learn」シリーズ中で提供中(同シリーズは昨年全世界45万人超のユーザーが受講。日本語版あり)。目指す専門性を踏まえ学習計画をAIが提案する。

「Learning Circleが目指すもの」の図
ビジネス戦略に整合するITの具現のため、各層に知見、知見・技術を提供

専門家がいなくても
AI活用で「勝つ」中小企業

「即時使えて使った分だけお支払い」なクラウドサービスでは学習・前準備不要、データの蓄積も不要な「学習済みAI」や、アウトプットを生かすためのインターフェースとしてチャットボットやBIツールも提供されている。企業規模を問わず、専門家でなくても、新たなアイデアが浮かんだら、AIでインサイトを得て、BIやチャットボットで即時活用し次の一手を繰り出せる。これに小さい失敗とリカバリを素早く繰り返し続けることで改善を進める「フェイルファスト」を組み合わせることで、実は日本でも地方の中小企業やベンチャーがAIとクラウドを武器に引っ提げ、続々とビジネスに真っ向勝負を仕掛けたり、大手企業と新事業を協創する例が生まれてきている。

三重県伊勢市の創業100年の老舗企業「ゑびや大食堂」。POSデータとビッグデータを基に、来店客数をAIが予測。一時間ごとの来店者数推移と、メニュー毎の内訳にブレークダウンし、リアルタイムで全社員に開示。自然と従業員自身が人員配置最適化を行うようになり、調理場のモニタから数量予測に基づいた事前準備・仕入れをするなどバリューチェーン全体の効果を最大化。廃棄率の大幅カット、人件費の最適化により、売上4倍、利益は12倍を実現。

同社には、データはおろか、ITの専門家は一人もいなかった。3日の技術勉強会に参加し、閉店後定時までの時間を使った自主勉強の末、5か月で自社システムの横展開を達成。大手飲料チェーンとコラボするなど、注目が高まっている。

まず使ってみなくては
何も始まらない

技術とビジネス双方の視点を得るチャンスは、企業規模・経験を問わず広がっている。前述の「ゑびや」でも、フロアスタッフも技術イベント参加をきっかけに、約1カ月にわたり機械学習など自習。今はデータ分析周りを担当する。重要なのは「知る」だけでなく「まずやってみる」ことだ。

そして、9%の企業しか導入できていないということは、91%の企業に勝負のチャンスがあるということでもある。

あなたは、この記事を読んだ後どうするだろうか? ぜひ考えるきっかけにしてほしい。

AI時代を担う人材育成支援の取り組み

マイクロソフトは「Microsoft Learn」という無償オンライン講座を開いている。いくつか目的に合わせたコースが設定されており、AI人材を育成するための講座もある。専門家養成コースとして「AI School」と、経営層やビジネスリーダー向けには「AI Business School」を提供している。

お問い合わせ

日本マイクロソフト株式会社
> http://www.microsoft.com/ja-jp/