デジタル技術を活用し業務やビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)は、すべての企業にとって最優先課題だ。しかし部分最適にとどまり、真のDX実現につながっていないケースも多いのではないだろうか。大事なポイントは、ビジネス全体からデータを収集、分析し、そこから得たインサイト(洞察)を現場に活かしビジネス成果を上げることだ。2019年12月12日、「Dynamics 365 Discovery Day ビジネスリーダーへ向けたDX時代の“はじめの一歩”」と題するイベントが、日本マイクロソフト品川本社で開催され、お客様との接点になる営業部門のDXを中心に、先行企業の実践に基づくヒントやノウハウが披露された。技術的側面にとどまらず、“人”こそがDX成功の秘訣となる、という興味深い結論が見えるセミナーとなった。

企業内で分析されていない
73%のデータ活用が競争力につながる

日本マイクロソフト株式会社
ビジネスアプリケーション事業本部 部長
兼城 ハナ氏

DXという言葉が独り歩きをしている。重要なのは、いかにDXを推進していくか。「DXの取り組みには『お客様とつながる』、『業務の最適化』、『製品の変革』、『社員にパワーを』の4つの軸があるとマイクロソフトは考えています。部分最適でコスト削減などを追及してきた日本企業の従来通りの仕組みでは、DXは実現できません」と日本マイクロソフトの兼城氏は強調する。

「4軸の領域から収集したデータを接続、統合し分析することでインサイトを生み出し、それを現場に戻してビジネス成果を上げる『デジタルフィードバックループ』の実現がDXのベースとなります。このループを高速で回し続けることにより、サービスや製品、業務、働き方を継続的に改善していきます」

4つの軸を有機的に回していくための基盤となるのがクラウドだ

データを機軸とするDXを成功に導く上で、ERP、CRM、SFAといった業務アプリケーションはデータの収集と活用の両方で重要な役割を果たす。「企業内には分析されていないビジネスデータが73%もあるといわれています。これらのデータを活かし企業の競争力強化を図るのが、ビジネスアプリケーションである Microsoft Dynamics 365 なのです」

経済産業省は、デジタル経営に取り組む企業を格付けする制度「DX格付」(仮称)を、2020年度中をめどにスタートさせる。「今回、企業においても比較的投資の優先順位が高い営業組織改革を中心に、DX時代の“はじめの一歩”をどう踏み出すべきなのか。成功のポイントはどこにあるのか。先行する企業様から具体的に取り組みや課題解決の道筋、今後の展望についてご紹介いだきます」と兼城氏は話し、セミナーがスタートした。

Dynamics 365 で実現する
業務のデジタルシフト

部内開発者を育成し現場自らが業務を変革

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
経営企画部 プロジェクト推進グループ 担当部長
矢野 高史氏

世界トップ水準の保険・金融グループを目指すMS&ADインシュアランスグループの一員として自動車保険を中心に事業を展開する、あいおいニッセイ同和損害保険。同社は2016年にDXを推進するべくICTプロジェクトを立ち上げた。「テレマティクス自動車保険など新規事業開発と、紙によるマニュアル処理からの脱却や、散在する情報の一元管理など業務のデジタルシフトに向けた課題を解決する業務プロセス改革の2本柱でデジタル化を進めています」と矢野氏は話す。

業務プロセス改革のベースとなるシステムとして導入したのが、 Dynamics 365 だ。「目指しているのは、Dynamics 365 を活用し現場自らが業務変革を行っていくことです」と矢野氏は強調する。「 Dynamics 365 で使うアプリケーションは、全社を対象とする場合は専任開発者、部内で利用するものは部内開発者が対応します」

部内開発者の育成は、専任開発者とは異なる観点が必要となる。「部内開発者にはスキルだけでなく、自ら業務を変革していくというマインドをしっかりと持ってもらうことを重視しています。部内開発者は説明会を開催し募集しており、6日間の研修会で実際にアプリケーション開発を体験し、最終課題に対する合格者に開発ライセンスを付与します。2019年度は100名の部内開発者を育成しました」

Power Apps を上手く使って業務のデジタルシフトを加速

Dynamics 365 へのアプリケーション実装事例として、矢野氏は電話連絡帳のデジタル化を挙げた。「従来、外出中の営業職員にお客様から電話がかかってきた場合、事務職員が電話応対後に電話連絡帳にメモを書いていました。営業職員はオフィスに戻らないと電話連絡帳のメモを確認できず、お客様対応が遅れるリスクがありました。今は、電話を受けた事務職員がその場でPC画面にメモを入力することで、スムーズに伝言を残せます。また営業職員にお客様から電話があったことがメールで通知されるため、伝言の確認とフォローがすぐに行えます。電話連絡帳のデジタル化だけでも業務が大きく変わります」

開発したアプリケーションを実際の業務で利用するためには、カスタマイズが必要なケースもある。「ローコードでアプリケーションを簡単に作成できる Microsoft Power Apps を利用するパイロット運用を行っています。 Power Apps を上手く使って、Dynamics 365 による業務のデジタルシフトを加速させていきたいと考えています」

劇的な変化・年々高まる規制に対応するための、
より洗練された営業組織変革について

加熱式たばこの販売拡大に向けて
営業組織変革を実施

日本たばこ産業株式会社
たばこ事業本部 セールスグループ 次長
楠根 健次氏

たばこ、医薬、加工食品の3つの事業で「JTならではのブランド」を生み出し、育て、高め続けている日本たばこ産業。年々厳しさを増す喫煙に関する規制に伴い、紙巻たばこ販売本数が激減する中、同社では喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性がある、加熱式たばこの展開に注力している。「紙巻たばこの営業は、たばこ販売許可を持つ店舗での売場活動のみでした。加熱式たばこの営業は、お客様にベネフィットを訴えるプロモーションや分煙環境整備の推進といった新たな活動が求められるため、営業組織変革を進めています。また、これまでの営業支援システム『営業ポータル』では新たな営業活動のニーズを満たすことはできなかったため、新システムの導入が必要でした」と楠根氏は背景を語る。

新たな営業活動は、先が見えにくい。「仕事のやり方も、利用規模や期間もわからないなど、不明確な業務要件のもとでシステムを構築しなければなりませんでした。変化に柔軟に対応するために、パッケージ化とクラウドサービス化を選択しました」(楠根氏)

利用者の創意工夫をシステムに
反映できる仕組みを実現

同社が新システム「QuickS」に Dynamics 365 を導入した理由について、楠根氏は説明する。「試しながら改善していく“アジャイルっぽい”開発を行うために、クラウドサービスであり、なおかつ低コストは魅力でした。また Microsoft Office 365 との連携により業務ニーズに対応できる点も高く評価しました。3カ月半で基本機能をリリースし、使いながら名刺管理サービスとの連携などその他の機能を拡充していきました」

たばこ離れが進む中、各支社・支店でトライ&エラーを行い、エリアに応じた活動を生み出していくことが重要なテーマになっていると楠根氏は話す。「営業ポータルとQuickSを統合した次期システムの構築では、デジタル活用コンセプトを設定しました。1つの優れたシステムにすべてを託すのではなく、柔軟なツールや環境を準備し、変化に対応する“人”のサポートを目指します」

デジタル活用コンセプトのイメージ

デジタル活用コンセプトを具現化するために、同社は「 Dynamics 365 + Power Apps 」を選定した。「利用者の創意工夫をシステムに反映できる仕組みの実現を重視しました。周辺アプリケーションとの連携はもとより、ユーザーのスキルに応じたアプリケーションの開発も可能です」と楠根氏は話す。最後にプロジェクトをやり遂げるためのポイントについて「コンセプトを確立しておくこと」の重要性を強調した。

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