三越のおもてなし×デジタルで
小売業混沌の時代を突破する

株式会社三越伊勢丹

EC(電子商取引)の普及により、百貨店業界に大きな変革の波が押し寄せている。そうした中、日本を代表する百貨店の三越日本橋本店(以下、三越本店)では、上質な暮らしの「モノ・コト」を「日本随一のおもてなし」で提案していく“新しい百貨店の形”を目指し改革を進めている。「お客様一人ひとりのご要望にしっかりとお応えするために、現場本意の働き方改革を推進し、ショップやカテゴリーの垣根を超えたサービスを提供していく」と三越日本橋本店長 浅賀誠氏は力をこめる。今、三越のおもてなし×デジタルにより、顧客基軸の新しい百貨店へと現場が自発的に変わり始めた。江戸時代から続く老舗百貨店の挑戦に迫る。

お客様一人ひとりのご要望にお応えする
パーソナル接客型の新しい百貨店を目指す

「奥の細道」で知られる江戸の俳人、松尾芭蕉が過ごした日本橋は、古くから商業と文化の中心地として賑わいを見せてきた。なかでもひときわ活気にあふれていたのが、1673年創業の呉服店「越後屋」だ。現在では当たり前となっている、すべての顧客に対し同じ価格で販売する“正札販売”を初めて実現し、富裕層のものだった呉服を庶民に開放した。小売業の改革者である越後屋をルーツとする三越本店は 1904年に「デパートメントストア宣言」を発し、日本初の百貨店となる。以来、文化や流行の発信地として、また家族で楽しめる場所として、多くの日本人の憧れを集めてきた。その老舗百貨店が今、岐路に立たされている。

長い歴史の中で革新を生み出し続けてきた三越日本橋本店。今、大きな変革の時期を迎えている。

株式会社三越伊勢丹
執行役員
百貨店事業本部
三越日本橋本店長
浅賀 誠氏

「スーパーマーケット、ショッピングセンター、カテゴリーショップ、コンビニエンスストアなどが登場したことで、百貨店のビジネス領域は浸食されてきましたが、EC の普及によるインパクトは次元の違うものです」と三越日本橋本店長 浅賀誠氏は語り説明を加える。

「時間や場所を超えてショッピングができることで、消費者の購買意識や行動も大きく変化しています。またサービスを創り出し展開する圧倒的なスピード感は非常に脅威です。小売業を取り巻く混沌とした状況を“いち早く突き抜けた”新しいビジネスモデルが、次の百貨店の歴史を拓きます。その先頭に立つために三越本店は、これまで築き上げてきた“まごころ”の接客を大切にしながらも、大胆に変化していきます」

三越本店が目指すのは、お客様一人ひとりに寄り添い、上質な暮らしの「モノ・コト」を、「日本随一のおもてなし」で提案する新しい形の百貨店だ。EC にはなくて、三越本店にはある、人による“まごころ”の接客を最大化する。そのために、「これからは商品基軸と顧客基軸の両輪が重要になる」と浅賀氏は話す。

三越日本橋本店では、約4,000名のスタイリスト(販売員)が現場の最前線でお客様と接している。その力を最大化させるために、デジタルの活用が進む。

「お客様一人ひとりのご要望にしっかりとお応えするためには、百貨店におけるショップやカテゴリーの垣根を超えたサービスの提供が求められます。顧客基軸で全社員、ショップの店員も含めて全員一丸となってお客様と向き合うことが大切です。現場本意の働き方改革とデジタル改革で既存の垣根を超え、一体感を生み出していくことが、“日本随一のおもてなし”を実現する第一歩となります」

いかに既存の垣根を超え、現場の一体感を生み出していくか? まごころの連鎖を生む鍵となるのがコミュニケーションの質とスピードの向上だ。三越本店は、デジタルによる現場本意の働き方改革のインフラとして Microsoft 365 を導入、チャットベースで多様なコミュケーションが図れる「 Microsoft Teams 」と、企業向け SNS「 Microsoft Yammer 」の活用を拡大してきた。

垣根を超えた「面」での接客を
支援する情報とノウハウの共有

株式会社三越伊勢丹
三越日本橋本店 営業推進ディビジョン
顧客・マーケティング・再開発
プランニングスタッフ
加藤 雅洋氏

従来のように各ショップでの「点」による接客ではなく、ショップやカテゴリーを超えた「面」での接客を実現する上で Microsoft Teams は非常に有効だと三越日本橋本店 顧客・マーケティング・再開発 プランニングスタッフ 加藤雅洋氏は話す。

「“面”による接客を行うために、コンシェルジュとガイドを新たに設置しました。ファッションなど専門分野の豊富な知見を有するコンシェルジュは特定の売り場を持たず、お客様のご要望をお聞きしながら様々なショップを横断して提案します。ガイドはお客様の目的を聴き出し、適切な場所にご案内することで、お客様とショップやコンシェルジュをつなぐ役割を果たします。ここにおいて Microsoft Teams は、コンシェルジュやガイドと現場の間の情報共有を強力に支援してくれます」

例えば、コンシェルジュは「今、こういうお客様をお連れするから商品を用意しておいて」と現場スタッフにリアルタイムで伝えることができる。またガイドはお客様との会話を通じて得た情報を、コンシュルジュや現場スタッフと共有することが可能だ。Microsoft Teams は三越本店の現場スタイリスト(販売員)約1,700人が利用している。

現場で使うコミュニケーションツールは直感的で使いやすいものでなければ普及は難しい。また企業における利用ではセキュリティへの配慮も欠かせない。

「チャットベースの Microsoft Teams は PC を使わずスマートフォンで業務を行う現場スタッフにとって非常に馴染みやすいツールです。またコンシューマー向けの SNS アプリを不要とし、組織で管理できるセキュアなコミュニケーション基盤として企業が安心して利用できるという点は、とても重要です」

2018年4月に本格導入してまだ2カ月しか経過していないが、Microsoft Teams をベースに現場の自発的な働き方改革が動き始めている。

「組織として一元管理することで、チャットでのやりとりを当人以外でも閲覧可能にしています。当初はみんなに見られることに対する抵抗感を持つ人もいました。今では、『他のチームがこういうことをして成果をあげているのなら、自分たちもやってみよう』とか、『これならあのコンシェルジュに相談してみよう』という動きが出てきて自然に活用が広がっています」と加藤氏は話し、具体例を挙げた。

「例えば、パーティを開きたいというお客様に対し、食品コンシェルジュとリビングコンシェルジュが連携した提案を行っています。現場スタッフも含めてチームをつくり、パーティの内容や出席者の特徴などの情報を共有しながら、食品メニューはどうするか、それに合わせたテーブルコーディネイトはこうしよう。手土産にこのスイーツはどうだろうか。チャットで会話していく中でアイデアが広がり、商品などの写真を使って意見交換を行うことでより具体的にイメージを描くことができます。また、コンシェルジュがカラー診断の後、『化粧品を購入したいというお客様を今からお連れします』とコスメスタイリストにつなぐ。そうしたやりとりが Microsoft Teams の中で完結し、ノウハウが共有されていくという点が重要です。組織として施策を打っているわけではなく、現場が自発的に既存の垣根を軽やかに超えて、付加価値の高い提案やサービスの創造に取り組んでいます」

お客様起点の“おもてなし”を提供するために Microsoft Teams による現場スタッフ間の
情報連携が欠かせないものになりつつある。

今接客中かどうか、
つなぐ相手の状態を本人に訊かず知りたい

Microsoft Teams をベースに顧客基軸で“つなぐ”接客が広がるのに伴い、つなぐ相手の状態を知りたいという要望が現場からあがってきたと加藤氏は話す。「従来、シフト管理は Excel を使って自分たちの部署だけのシフト表を作って紙で印刷したものをポケットに入れていました。しかし垣根を超えた相手の状況をリアルタイムで把握するためには紙ベースのシフト表では不可能です。そこで、ビジネスアプリケーション作成ツール Microsoft PowerApps でシフト管理アプリを日本マイクロソフトの協力のもとわずか3週間で作成しました」

Microsoft 365 で利用できる Microsoft PowerApps は、複雑なプログラミング知識を必要とせず、ユーザー部門主体のビジネスアプリの作成を前提としている。試験的に導入した、スマートフォンで利用できる新しいシフト管理は現場のニーズを満たすものとなった。

「出勤、休みはもとより、情報収集や接客中など相手の状態が一目でわかります。情報収集なら手が空いているから、お客様をつないでも対応をお願いできる。接客中なら電話で問い合わせることも止めようなど、本人に訊くことなく判断ができます。また受ける側も問い合わせの電話がかかってこないため接客に集中できます」(加藤氏)

これらデジタルツールの活用について、週に一度、現場部門とミーティングを実施し改善要望を集めているという。「 Microsoft Teams で私に直接、『ちょっと困っています』とメッセージが飛んでくることがあります。垣根を超えたつながりを私も実感しています」と加藤氏は笑顔を見せた。

デジタル革新の波を
現場の隅々まで広げていく

「会合などにおいてデジタルの衝撃というテーマで話すとき、必ず例に出しているのが企業向け SNSである Microsoft Yammer を活用した発信です」と浅賀氏は語る。

「従来、SNS へ発信するのに2カ月を要する業務フローとなっていたことから、三越本店の月の発信件数は非常に少ないものでした。Microsoft Yammer を導入し、社内の情報共有と SNS への発信を一元的に行うことで、SNS への月の発信件数が倍以上に急増しました。投稿は一般のお客様にもご覧いただけるので、ある時、全国銘菓展の告知に対する若い女性のコメントから百万人超に情報が拡散していくのを見たとき、そのビジネスインパクトの大きさに驚きました」

社内の情報共有スピードも大きく加速したという。「現場スタッフも SNS に発信する効果を実感し、積極的におすすめ商品の情報などをアップするようになってきました。商品情報に対するコンシェルジュからの問い合わせや、他のチームの成功体験の投稿など、互いに学びあう場にもなっています」

SNS を通じて、現場からは様々な情報が寄せられる。
公開された投稿が一般のお客様により大きく拡散されるなど、プロモーションの一助にもなっている。

お客様一人ひとりに寄り添う「日本随一のおもてなし」の新しい百貨店へと急速に進化する三越本店。今後の展開について浅賀氏はこう話す。「三越のおもてなし×デジタルで三越本店ならではの現場の強みを活かし、お客様一人ひとりのライフスタイルに新たな価値を提案するべく全力を尽くしていきます。現場のデジタル化によって、お客様のために現場同士が自ら率先してつながっていくことで、よりパーソナライズされた価値を提供できると考えています。2018年6月、今回の実績をベースに Microsoft Teams と Microsoft Yammer の活用を三越伊勢丹のグループ全社へ拡大しました。これにより今後は店舗の垣根を超えて“面”による接客を、現場が主体的に広げていくことを期待しています。日本のお客様はもとより海外のお客様への対応も図り、『世界随一のおもてなし』の百貨店を目指します」

3世紀半近くの時が経過しても変わらぬ改革の精神を脈々と受け継ぐ三越本店。売り場の垣根を超えた情報共有とコミュニケーションのスピードで小売業混沌の時代を突破していく。

デジタルの力を最大限に活用しながら『世界随一のおもてなし』の百貨店を目指すと語ってくれた浅賀氏。

“ Office 365 のハブ”としての
Microsoft Teams
が「チーム」での働き方を強力に支援する!

マイクロソフトでは、チーム内のコミュニケーション効率化を支援する「 Microsoft Teams 」を提供している。一般的には“ビジネスチャット”と認識されているサービスだ。しかし Microsoft Teams(以下、Teams) は、他社サービスとは決定的に異なるポジションにある。それが“ Office 365 でチームワークを実現するハブ”として機能し、エンドユーザに効率的なコミュニケーション手段と各種Officeツールのシームレスな利用環境を提供するという役割だ。 Teams の開発背景とその特徴、実際の利用シーンなどについて、同サービスの日本国内でのマーケティングを担当する Microsoft 365 ビジネス本部 製品マーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの春日井良隆氏に話を聞いた。

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