Microsoft Teams とタブレットで変わった
美容カウンセリングの現場のコミュニケーション

花王株式会社

ソフィーナやカネボウといった化粧品ブランドを製造・販売する花王グループ。ものづくりにこだわる花王において、消費者と花王をつなぐ「販売」を担っているのが、花王グループカスタマーマーケティング(以下、KCMK)だ。KCMKは現場力を高めるために2017年から準備を進め、2018年にグループ全社員にタブレット端末とスマートフォンを貸与。同時に Microsoft 365 のコラボレーションツールである Microsoft Teams(以下、Teams)を本格導入した。「タブレット+Teams」によりコミュニケーションが変わると、現場が変わる。現場のサービスが現場担当の点から組織の面へと対応の強化を図る。また、コロナ禍の在宅勤務中でも200名のビューティカウンセラー会議を Teams で実現したという。KCMKの Teams による働き方改革を牽引したキーパーソンと、現場で Teams を利用しているビューティマネジャーに、現場の働き方改革最前線について実践的な話を伺った。

店内の固定電話のみがコミュニケーション手段
シャドーIT化のリスク拡大を懸念

130年以上にわたり“よきモノづくり”を通じて豊かな生活文化の実現に貢献してきた花王グループ。消費者と花王をつなぐ「販売」という最終プロセスを担っているのが、花王グループカスタマーマーケティング(以下、KCMK)である。提案型営業を通じて小売業と協働で商品を販売するKCMKは、美容カウンセリング業務を行うカネボウビューティカウンセリング(以下、KBC)、ソフィーナビューティカウンセリングに加え、売場づくりを支援する花王フィールドマーケティングの3社とグループを形成し、一体となって“現場力”を高めることで、販売促進や顧客満足度の向上に取り組んでいる。

花王プロフェッショナル・サービス株式会社
経営企画部 営業情報グループ
原田 政邦氏
※旧職、花王グループカスタマーマーケティング株式会社 管理部門 営業情報部

消費者ニーズの多様化が進む中、競争力の強化を図るためには現場の働き方改革が欠かせない。グループ全社員15,000名のうち約9,000名が現場で働くKCMKグループにおいて、従来の課題について当時KCMK 管理部門 営業情報部に所属していた原田政邦氏(現職、花王プロフェッショナル・サービス株式会社 経営企画部 営業情報グループ)はこう話す。

「従来、業務効率やコミュニケーションの向上を目的に、一部の社員にスマートフォンを貸与していましたが、KCMKグループ全社員を対象にしていませんでした。特に店頭でカウンセリングを行うビューティカウンセラー(BC)やビューティアドバイザー(BA)は、コミュニケーション手段が固定電話のみ、BYOD(私物端末)の利用も禁止されていました。それは、セキュリティ面で課題のあるSNSの利用などシャドーITの利用リスクを避けるためです。ただ、一方でタブレットで円滑なコミュニケーションを図ったり、業務を効率化しお客様との接点を増やすために自分たちも利用したいという現場の声は強くなっていました」

KCMKグループは、セキュアな環境のもとでコミュニケーションの質とスピードの向上を図り、現場力をさらに高めるために2017年より準備を進め、2018年にグループ全社員に対しタブレット端末、スマートフォンの貸与を開始。同時に Microsoft 365 のコラボレーションツールである Microsoft Teams(以下、Teams)を本格的に導入した。

「タブレット+Teams」でPCを持たない現場の働く環境を整備

グループ全社員に「タブレット+Teams」を貸与
“習うより慣れよ”の精神で現場に浸透

KCMKでは、Teams をグループ全体に展開する前に自社でパイロット導入し、使い方やノウハウの蓄積を行った。原田氏はビジネスのコラボレーションに Teams を利用するメリットについて「チャット、資料共有、Web会議の3つが連携して行えることと、常に新機能の追加があり、使いやすさが進化していくこと」の2点を挙げた。KCMKグループの標準ツールとして Teams を普及させるために、まずツールの整理を行ったと原田氏は振り返る。

「固定電話、パソコン内のメール、スマートフォン内のメール、社内イントラ上で発信する掲示板など、グループ各社では様々なコミュニケーションツールが利用されていました。各社の担当者に集まってもらい、ツールの使い方についてガイドラインを作成しました。その中で、小さな組織単位でコミュニケーションを深めるためのツールが Teams、指示命令系統で利用するのが Outlook、グループ全社員が閲覧するのが掲示板と、大きく3つのツールを使い分けることを定めました」

KCMKグループ各社で利用していた様々なツールを集約しガイドラインを整備

カネボウビューティカウンセリング株式会社
ビューティマネジャー
宝力 直美 氏

作成したガイドラインのもと現場に対し「タブレット+ Teams」による働き方改革をどう推進していくか。固定電話が主要なコミュニケーション手段だったBC、BAに対し、Teams の導入研修を実施したとKBC ビューティマネジャー 宝力直美氏は振り返る。

「私は百貨店のビューティマネジャーをしています。総勢32名、年齢も様々なBCに対しタブレット端末の使い方から説明しました。日常生活でスマートフォンを使いこなしているBCはスムーズに操作できましたが、数名は少しとまどっていました。“習うより慣れよ”の精神で、働く仲間同士で教え合ったりしながら使っていくうちに、苦手意識のあったスタッフも Teams に慣れていきました。今では Teams でチーム全体に情報を発信した際も、すぐに既読してくれるほど浸透しています」

Teams で200名のBCが参加するWeb会議を開催
BC一人ひとりにきめ細かいフォローが可能に

現場の最前線に立つBC、BAは空き時間にバックオフィスでタブレット端末を使って Teams を利用している。BC、BAをマネージメントするビューティマネジャーの業務は Teams によって大きく変わった。「Teams を使ってチーフBCを中心にミーティングが行われており、その内容をチーフBCからTeams でフィードバックを受けています。また、お客様から『このような質問がありました』など店頭での情報がBCからチャットですぐに上がってくるため、店頭のカウンセリング活動をタイムリーにフォローすることが可能です。お客様サービスが接客担当という点ではなく、チーフ、マネージャーなど組織として面での対応が可能となりました」(宝力氏)

従来、店頭から直帰するBCと直接顔を合わせるのは月一回のBC会議くらいだったと宝力氏は話す。「今は Teams のチャットを使ってBC一人ひとりと面談を行い、必要であればチーフBCの参加を促し、悩み相談やアドバイスも行っています。Teams を使うことで情報伝達のスピードはもとより、コミュニケーションの頻度が向上したことで、BCに対するケアもきめ細かく行えるようになりました。また教育・人材育成部門から提供された情報の共有にも Teams を活用しています。さらにチーフBCへの指導・育成や、KCMKの営業部門との連携も Teams で行っています」

本取材は Teams を活用し、テレワークにて実施

コロナ禍の在宅期間中に、Teams を活用したトレーニングも行っていると宝力氏は話す。「メイクしたドール(顔の人形)や用紙に描いた眉のアーチなどの写真を送ってもらってアドバイスをしたり、みんなで上品なメイクや眉の達人を決めたりと、Teams を使って在宅勤務でも楽しく技術習得やノウハウの共有を実現しています。今後、店頭での勤務が再開されたときも、フェイシャルマッサージ動画などのコンテンツを配信し、いつでもどこでもスキルアップが行える環境の提供に Teams を積極的に活用していきます。また勤務先が異なるメンバー間の情報交換にも利用するなど、仲間としての一体感の醸成にも役立つと考えています」

毎月一回開催するBC会議も Teams で実現したと宝力氏は話す。通常はオフィスで50名のBCが参加する会議を4日間に分けて実施しています。緊急事態宣言のもと外出自粛が続くなかで、Teams のWeb会議を利用して200名のBCが一堂に会する会議を開催できました。タブレットでも発言者の声は良く聞こえて、会議に集中できました。参加者からはとても楽しく有意義だったとの声が寄せられています」

現場でのコミュニケーションエラーを解消
接客力の向上やスキルアップのための時間を創出

現場への Teams 導入の効果について原田氏は「コミュニケーションエラーが起きにくい環境になってくると、仕事もスムーズにまわりはじめます」と話すとともに、「時間短縮」のメリットを強調した。「BC会議やミーティングはもとより、各種研修会や新商品勉強会なども Teams を利用することで移動時間を短縮できます。Teams により削減できた時間を自分のスキルアップやプライベートの充実に費やし、そこで身に着けた知識や価値観を接客に活かすことでお客様満足度につながります。時間をどう使うか、時間をいかに生み出すか、その両方で Teams は非常に有効だと思います」

2018年に Teams 導入後、現場を支えるオフィスで働く6,000名の社員には、当初普及がなかなか進まなかったと原田氏は話す。

「KCMKグループ推進体制を構築し、勉強会を開催するとともに、支社でまだ Teams を利用していない社員に対しフォローするファシリテーターと、自ら使うことで各組織ごとのメンバーに広げていくアンバサダーの仕組みをつくりました。ファシリテーターとアンバサダーの活躍によりオフィスで働く社員の利用率が大きく伸びました」(原田氏)

2019年2月にKCMKグループ推進体制の構築し、利用率がグループ全体で約88%に急伸

グループ全体に Teams の利用を拡大していく過程で、KCMKの営業情報部に様々な疑問や質問があがってきたと原田氏は付け加える。

「日々寄せられる質問を解決するために Teams を使って日本マイクロソフト カスタマーサクセスマネージャーとの間でやりとりを行いました。疑問点を書き込むと、すぐに回答が返ってくる利便性に加え、質疑応答が記録として残ることから、ノウハウの蓄積も行えます。メールとは異なり、一緒に仕事を進めていくことができるという Teams のメリットを、本プロジェクトの推進でも実感できました」(原田氏)

オフィスにおける Teams 導入で会議のあり方も大きく変わったと原田氏は指摘する。「Teams によりWeb会議が簡単かつ便利にできることで、会議の回数や移動時間の削減、対応速度の向上が図れるとともにペーパーレス化にもつながっています。また、意見のある人が『挙手』ボタンを押して知らせることができる機能が追加されるなど、よりスムーズなWeb会議の進行が可能です」

現在、KCMKグループにおいて、Teams は業務を行う上で欠かせないコラボレーションツールとして定着している。「2019年12月末の段階でKCMKの Teams 利用率は90%を超えました。花王グループ全体でも2020年3月時点で80%の利用率となっています。Teams がなかったら、コロナ禍の在宅勤務でマネージメントやコミュニケーションができず、シャドーIT利用のリスクも拡大していたと思います。メールだけでは仕事はできません。チャット、Web会議、資料共有の3点セットがあって、初めて在宅勤務やリモートワークが可能となります」

今後について原田氏は次のように話す。「オフィス側、現場側と意見を出し合い、新たな働き方を生み出していく“場”に Teams はなっていくと思います。各部門のシナジー効果を高めるために、Teams の果たす役割はますます重要になっていきます。また今後は、ルールを踏まえながら、社外とのコラボレーションにも Teams の活用を視野に入れています」と原田氏は展望を示す。

本取材は Teams を活用し、テレワークにて実施

消費者起点、現場主義を大切にする花王・KCMKグループ。Teams によるコラボレーションで顧客に新たな価値を提供するために同グループの挑戦は続く。

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