言葉で説明する必要のない
みんなが笑顔になる空間を
昨年末には1400年の歴史を持つ長野県・善光寺のインスタレーションを手がけた。コンセプトは「開花- Blooming moment -」で、蓮をテーマに幻想的な世界を表現。好評をうけ今年も実施される予定。
「学生の頃、家族でフランスを旅行したときにある教会へ連れて行ってもらったんです。小さな教会なのに人がたくさんいるなって不思議に思っていました。最初は曇っていてわからなかったのですが、太陽の光が差し込むと床一面にステンドグラスの模様が広がって、その場にいた人たちが一斉に声を上げたんです。その時に『空間が変容する』ってなんて面白いんだろうって」
南仏ニースにある、アンリ・マティスが手がけたロザリオ礼拝堂を訪れたことが、空間デザイナーを目指したきっかけだという。自らの原点と位置づけ、いまも数年に一度はその地に足を運んでいる。しかし、長谷川さんがデザイナーを志した頃には、まだ空間デザインという概念はなかった。
「学校を卒業して最初に入社した会社が、本当にいろいろなデザインを任せてくれたんです。店舗ではなくある屋外空間に大きなクリスマスのインスタレーションを作る仕事があって、それがすごく楽しかった。訪れた人たちにわざわざコンセプトを説明する必要のない、ただ純粋にみんなが楽しいと思ってくれる空間を作る。そういう仕事をやっていきたいと感じた経験がいまの仕事につながっています」
かくして長谷川さんは、空間デザイナーとして活躍する。2004年に起業しベルベッタ・デザインを設立。表参道や横浜のイルミネーション、丸の内のクリスマスインスタレーション、ショールームや商品のパッケージデザインに至るまで、仕事の内容は多岐にわたる。
「空間デザイナーというと、日本では店舗やイベントデザインなどカテゴリーごとに特化している人たちが多いのですが、私は空間にまつわるものすべてを手がけています。大事なのは“空気をデザインする”こと。その場所にどんな空気を作るか、それを一番に大切にしています」