働くと、ニューバランス

普通ではいけない。
嫌われることを恐れず
“らしさ”を追求する

星野リゾート
星野 佳路さん

1990年代に「リゾート運営の達人」になるというコンセプトを掲げ、全国各地の温泉旅館やホテルの再生事業をスタート。近年はインドネシアや台湾など海外にも進出し、現在は「ホスピタリティ・イノベーター」というビジョンを打ち出した。サービス業界にイノベーションを起こし続けている星野リゾート代表の星野佳路さんに、ビジネスとあえてスーツを着ないスタイルへのこだわりについて話を聞いた。(撮影協力:OMO5 東京大塚)

本当のファンを作るために
どうすればいいのか

2019年6月30日に星のやブランドとして海外2軒目となる温泉リゾート「星のやグーグァン」を台湾の台中郊外にある温泉地・谷關にて開業。“温泉渓谷の楼閣”をコンセプトに掲げ、全室半露天風呂付で谷關の自然を身近に感じられる空間を実現した。

 「我々がホテルを創るときに意識するのが、お客様は星野リゾートらしさを期待してくださるということ。ですから決してその期待を裏切ってはいけない。新しいサービスであったりデザインであったり、結果的にお客様にとって刺激的で楽しく過ごすことができるということにつながるものがなくてはいけないと思うんですね」

 星野リゾートは、“星のや”“界”“リゾナーレ”“OMO”といった様々なブランドを展開し、運営を手がける宿泊施設の数は38を数える(2019年8月現在)。星野さんは拡大戦略を進める一方で、顧客満足度の向上を偏重する昨今のマーケティング手法には容易く流されないこだわりを持つ。

 「ホテルの世界もそうなんですけど、色々なものが良くなった。悪いホテルなんてもうほとんどない。我々のホテルは普通であってはいけないと常々思っています。ただ普通ではない新しいものには必ず、好きという人と嫌いという人の両方が存在する。そこで顧客満足度調査をすると中庸なものがいいという結果になる。それではだめで、『すごく好きだ』と言ってくれている人の声を大事にする。『これ大嫌い』という人の声は気にしない(笑)。そこが私のこだわりなんですよね。本当のファンを作っていくためにはどうすればいいのかを考えるべきだと思うのです」

 近年は海外進出も手がけている。2017年にはインドネシア・バリ島に「星のやバリ」を、2019年には台湾に「星のやグーグァン」をオープンした。

 「世界をみると、ホテルというものは常に新しいものができている。世界中の都市やリゾート地で新しいホテルがどんどん生まれています。そして、これからもそういう時代が続いていくと思います。日本のサービスに対する評価は高いわけで、そこに対するニーズは確実にあります。ですから世界のホテル業界における、日本のホテル運営会社のシェアを高めていきたい。私たちなら必ずできると信じています」

ケガ対策として
選んだニューバランス

YOSHIHARU HOSHINO
1960年生まれ。長野県出身。慶応義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。1991年、家業の星野温泉旅館(現星野リゾート)代表取締役社長(現代表)に就任し、リゾート施設や温泉旅館の再生事業に着手。“星のや”“界”“リゾナーレ”“OMO”といったブランドを展開し、ホテル、温泉旅館、日帰り施設など50を超える施設の運営を手がけている。

 確固たる信念や思い、リーダーシップは学生時代を通じて育まれたものという。そして現在も自転車で通勤し、年間60日はスキーをする根っからのスポーツマンでもある。

 「小学生の頃にスピードスケートを始めて、中学生でアイスホッケーの選手になって、中学3年間、高校3年間、そして大学の4年間体育会にいました。中学2年からの4年間は毎夏、カナダでのサマーキャンプに参加して、大学では主将を務めました。アイスホッケーは冬のスポーツですから、夏は陸上トレーニングが中心になる。もう、ひたすら走る。合宿では山中湖を一日に2周したり、大学のキャンパスは日吉(神奈川県横浜市)にあったのですが、日吉の周辺では走ってない道がないくらいです」

 合宿のたび2〜3足のスニーカーを履きつぶすほどトレーニングに励んだ。そんなときに初めて手にしたのがニューバランスだったという。

 「大学2年だから、1980年代くらいの頃ですね。当時、日本ではニューバランスがまだあまり知られていない新しいブランドで、とりあえず試してみるかという感じで。私たちが靴選びにおいて一番重視していたのはケガ対策でした。ですから中敷きがとても重要ですし、ソールのクッションの度合いを気にして選んでいました」

 奇しくも矯正靴の製造メーカーとして創業したニューバランスとリンクする出会いだった。

 「体育会系ですから少々足が痛いくらいじゃ休ませてくれない。ですからクッション度合いがすごくよくて疲れにくいことが大事でした。もちろん当時の流行りもありましたけど、私の同期の多くはニューバランスを履いていましたね」

 そして、いま星野さんはM990を履いている。ニューバランスにとって特別なMade in USAのモデルだ。職人による手作業の工程など、こだわりを現代に受け継ぐ。

 「踵のグリップ感が80年代のものとは劇的に違いますよね。足がすっぽり包まれている感じがして、踵やアキレス腱がしっかりホールドされている。そのあたりはかなり良くなっていて時代を感じますよね」

ストーリーのあるブランドに
人はシンパシーを抱く

M990 GL5
M990を履く星野さんのこの日のコーディネートはどこか和のテイストを感じさせるもの。米国での大学院時代にスーツを着ていると「歴史や文化のある日本人がなぜイギリス人のマネをするのか」と言われて衝撃を受けて以来、いつも日本を意識しているという。

 日本の会社が海外でホテルを運営していく上で大事なことは、ストーリーを描き出すこと。西洋の真似をするのではなく、日本の歴史や伝統、文化を打ち出していくことこそが自らの道だと話す。

 「背景にあるストーリーにシンパシーというか、共感を抱けることがブランドとして重要で。そういう意味では現代社会においてみんなが持っている課題感のようなものとストーリーがリンクすると、一番心に刺さるブランドになっていくんじゃないかと思います。お客様が我々に期待していることにしっかりと応えていく、それがもっとも大事なことです」

 自らが身につけるものにも常に意識を配る。スーツは1着ももっていない。

 「特に仕事のときには日本を感じるということをテーマにしています。例えば、今日の格好は襟が付いていなくて、ネクタイもありませんが、それも1つの日本の特徴だと思います。ビジネスのシーンでは、どうしてもスーツで西洋的なイメージになりがちですが、日本の旅館を運営しているわけで、リゾート、観光、旅館、日本といったイメージをうち出せるように、そこはこだわっています、

 伝統をビジネスチャンスへと変える、その挑戦はまだまだ続く。

 「日本的なホテルに泊まりたいとか、日本的なサービスを受けたいというニーズは、顧客満足度調査や市場調査からは浮かび上がってこないのです。でも確実に存在するし、日本で生まれ育ったホテル会社は、世界が求める価値をもっている。お客様の声を聞くだけではなくて、我々のこだわりのサービスに対するファンを自分たちで作っていこうという、自分たちで市場を開拓していくというフロンティア精神が大事です。伝統と新しい手法のいいバランスを見つけて、日本のホテルに対する理解者を増やしていかなければいけないと思うのです」

 伝統と新しい手法の組み合わせにかけて、ビジネスファッションとスニーカーを組み合わせることについて問いかけてみた。

 「私なんかはスーツも着なくなったわけですが、ネクタイをやめよう、スーツをやめよう、スニーカーで通勤しようということに踏み込めない理由は、『なんか批判を浴びるんじゃないか』、『怒られるんじゃないか』といった固定概念があるからだと思うんですよね。ネクタイをはずして、履いているモノが楽になれば劇的にストレスが軽減する。特に日本の通勤って階段を上下して、満員電車に乗って、さらに走って会社まで行くわけで、ある意味で体育会の練習以上に大変な、アスレチックな行為なわけですよね。であれば、ニューバランスのスニーカーで通勤してみるのもアリだと思います。実際にやってみると意外に誰も文句を言わないということに気づいて、それがきっと日常になると思いますよ」

「踵のグリップ感が
   
80年代とは劇的に違いますよね」

学生時代にトレーニング用として初めてニューバランスを手にしたという星野さん。当時から疲れにくい、ケガをしにくいといった観点で靴選びをしていたと話す。M990は衝撃吸収性にすぐれたソールと職人の手作業によって作られたアッパー素材を組み合わせたMade in USAのモデルであり、より高いホールド性を実現する。

M990 GL5
28,000円(税抜)

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