自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えつつあると言われている。世界各国でガソリンやディーゼル車から電気自動車に移行するEV(電気自動車)シフトが加速し、国内でも充電スポットなどの環境整備は急速に進んだ。こうした中、国内のEV先駆者である日産自動車が新たに「日産リーフ e+(イープラス)」を発表した。日産は以前から災害時の電力供給源として日産リーフのバッテリー活用を提唱してきたが、今回大きくパワーアップしたe+によって、V2H(Vehicle to Home)としての活用がいよいよ現実味を増している。昨年災害時に停電が各所で起きた際、地域一帯が停電に見舞われる中、自治体や店舗などでは、実際にEVを活用して活動を行っていたところもある。「限界費用ゼロ社会」を目指す中、V2HとしてEVの導入を真剣に考える時代に入ったといえる。

EVの航続距離や耐久性に不安

EVシフトが加速している。欧州では多くの国でガソリン車やディーゼル車の規制を予定。近年EVシフトが顕著な中国では、今年1月からPHEV(プラグインハイブリッド車)を含むエンジン車の製造工場について新増設の規制を始めた。

とはいえ、すぐにEVに乗り換えるには不安を感じているドライバーも多い。まず、最大の不安は航続距離だろう。一般的にガソリン車に比べると航続距離は確かに短い。ガソリンスタンドに比べて充電環境が未整備という印象もあり、長距離移動には不安が残るかもしれない。EVへの不安の多くは「長距離移動中に充電設備が見つからずバッテリーが切れてしまうのでは」「充電に途方もない時間がかかるのでは」などといったものだろう。

こうしたEVに抱く不安は当然といえば当然であるが、実はそのほとんどがすでに過去の話となっている。

日産リーフ e+は約40%長い航続距離(458km〔WLTCモード〕)を実現

日産は、2010年に初代日産リーフを発売以来、このようなドライバーの不安を払拭するため、製品の強化や環境の整備に努めてきた。コンビニやショッピングセンター、道の駅の駐車場、高速道路のサービスエリアなどにEV用充電器を設置する取り組みを進め、現在全国では、急速充電器が7,600基、普通充電器が22,100基(2018年10月末現在 ゼンリン調べ)にまで増えている。

EVドライバー向けのアプリ「NissanConnect EV」も提供。近隣の充電スポット案内や、バッテリーの状態確認や充電の開始、エアコンのタイマー予約などが可能だ。さらに、このアプリは今年春ごろリニューアル予定。従来から提供する充電スポット案内に加えて、充電器が空いているかどうかまで確認できるようになる。

日産リーフ e+のバッテリー。バッテリーパックのサイズや形状はそのままに、バッテリー容量を55%、エネルギー密度を約25%アップした。

日産リーフ e+のバッテリー。バッテリーパックのサイズや形状はそのままに、バッテリー容量を55%、エネルギー密度を約25%アップした。

また、日産リーフ e+は、既存の日産リーフに比べて大幅にバッテリー性能が向上した。総電力量が従来の40kWhから62kWhとなり3割以上もアップ。航続距離も、日産リーフの322km(WLTCモード)/400km(JC08モード)に対し、日産リーフ e+は458km(WLTCモード)/570km(JC08モード)と、大幅に伸びている。通常バッテリー容量が増えれば、それだけバッテリーが大きくなり、その分車内空間が狭くなる。しかし、日産リーフ e+の新たなバッテリーは、エネルギー密度を約25%向上。室内空間を犠牲にすることなくパワーアップを実現している。

さらに、従来の急速充電は最大出力が50kWだったが、日産リーフe+は最大出力100kwの高出力急速充電器に対応※1。そもそも航続距離が500kmもあるのであれば、ほとんどの場合日中に充電が必要になることはないはず。充電で足止めになるようなことは、あまり考えなくてもいいだろう。

※1 日産リーフ e+は高出力急速充電器で充電した場合、バッテリー充電受け入れ性の最適化やバッテリー保護のため、最大充電電力は70kW程度になります。

バッテリーの8年保証と使い方診断で安心

日産リーフは、バッテリー容量を8年または160,000km保証されている。さらに、専用のメンテナンスパック「NISSAN EV あんしんプラス」を利用すれば、半年ごとに最長5年間点検・整備を受けられる。その際、法定点検だけでなくEVバッテリーの使い方診断も実施。バッテリー容量の低下要因や、長く快適に使い続けるためのアドバイスを受けられるので、劣化を遅らせることが可能になる。

日産は、住友商事と共にリチウムイオンバッテリーの再利用、再販売、再製品化、リサイクルを推進するため、2010年に「フォーアールエナジー」を設立。使用後にも高い残存性能を有する車のバッテリーを有効活用し、持続可能な低炭素社会の実現に貢献してきた。ここで培った再生化技術により、新品に比べ半額程度で再生バッテリーを提供するプログラムも用意している。

次ページでは、EVならではの災害対策について紹介する。

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