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野村不動産の「H1O」幸せな働き方を、オフィスから考える

日本企業の約8割を占める小規模企業に適したオフィスは不足している。そうした現状を打破するため、オフィスを知り尽くした野村不動産が新たな提案を始めている。

日本企業の8割を占める10人未満の企業が求めるオフィスを提供

 労働時間の短縮、生産性向上への取り組み、副業の解禁など、社会全体で働き方改革が進んでいる。こうした変化を受けて、個人の仕事への向き合い方も変わってきた。野村不動産常務執行役員で都市開発事業本部長を務める黒川洋氏は「そもそも、日本企業の8割は中小企業です。東京に限っても、U-10企業、つまり従業員数が10人未満の事業所が全体の8割を占めています」と話す。

 一方で、小規模事業者が快適に利用できるオフィスは不足している。『PMO』ブランドで中規模オフィス事業を展開してきた同社はそこにニーズを見いだし、2019年11月にサービス付き小規模オフィス『H¹O(ヒューマン・ファースト・オフィス:<通称>エイチ・ワン・オー)』ブランドをスタートさせた。H¹Oのオフィス1区画の面積は約20㎡(7~9人利用)が最も多く、最小で約5㎡(1~2人)、最大で約20人利用と人数に応じて選択可能。会議室、ラウンジ、複合機などは共有すること、内装・インテリアのデザインにこだわることで、小規模事業者が自前で整えられないようなオフィス環境を提供することに成功した。これらにより、U-10企業にとって重要な人材の確保や取引先拡大のための企業ブランド力の向上をサポートする。そんなH¹Oのコンセプトは、オフィスで働く一人ひとりに寄り添い、「個」のポテンシャルを最大化することを目指す、『ヒューマン・ファースト』なオフィスだ。

 「これまでのオフィスでは、作り手や管理する側の都合が優先されていることもありました。しかし、これからは企業単位ではなく、働くヒト単位で顧客を捉え、個人が自分らしく、イキイキと働くことができるオフィス環境を提供する必要があると考えています。少数精鋭になるほど個人の能力発揮いかんが業績を左右すると考えています」

大企業の集中する東京でも、従業員数が10人未満の事業所が全体の8割を占めている(総務省·経済産業省「経済センサス‐活動調査結果」平成28年版)

専有部はセキュリティと快適性、共有部は柔軟性と効率を重視

 H¹Oは、小規模事業者のニーズに合った4つの特徴を持っている。

 1つ目は、セキュリティ·プライバシー面に配慮し、専有契約部分を完全な個室空間としたことだ。小規模オフィスの中には、音漏れやのぞき見対策が不十分であったり、区分けはされていても空調が一元管理されていたりするところもあるが、H¹Oでは完全に独立したセキュアな環境を用意し、かつ全室個別空調で快適な空間を確保できる。

 2つ目は、ABW(Activity Based Working)を促進する、入居者のみが使える共用ラウンジの完備。3つ目は、来訪者を出迎える有人レセプションだ。小規模事業者にとって負担になりがちな、来客対応や郵便物や宅配便の不在時受け取りなどを担う。

 4つ目の特徴は、最新のテクノロジーを導入し新しい働き方の価値を提案していることだ。3D顔認証など、最大5段階のキーレスハイセキュリティ、室内のCO2濃度が高くなると自動的に換気し集中力を維持する仕組み、スマートフォンで照明・空調を遠隔操作でき、共用ラウンジやトイレの空き状況が分かるシステムなど、個々人のニーズにきめ細かく寄り添った、まさにヒューマン・ファーストな環境を最新のデジタル技術で整えている。

 「これらを導入することで、H¹Oで働く個人が自分らしくクリエーティブに働き、生産性を高めるサポートをしていきたいと考えています」

働く個人を最優先に考えた新しい形のオフィスがスモールビジネスを支援する

 コワーキングスペースやカフェとは一線を画すこうしたオフィスのあり方には、同社のポリシーが反映されている。

 「私たちは、多様な働き方に対応し、居心地が良いと個人が感じ、その能力を最大限発揮できるオフィス環境を提供することで、スモールビジネスを支援していきたいと考えています。様々な“働く場所”の選択肢がある中で、選ばれるオフィスでありたいと思っています」

 H¹Oは2019年10月に入居希望者の受け付けを始め、2023年度末までに東京都内を中心に15カ所で展開する予定だが、すでに多くのスタートアップ、大企業のプロジェクトチームなどから引き合いがあるという。

 「定年退職後に起業したシニア層の方からのお問い合わせもいただいています。私たちはH¹O事業を通じて、国籍や老若男女問わず、日本や世界にイノベーションを生み出し得る少数精鋭企業の方々に選ばれ続けるオフィスでありたい」

 そこで働く個人を最優先に考えたヒューマン・ファーストという思想の下、H¹Oという新しいオフィスの提供を通じ、野村不動産は、新しいビジネスの創出を支援していく。

Well-beingな環境を提供する入居テナント専用の共用ラウンジは、24時間365日利用可能。個人作業や打ち合わせ、リフレッシュなど様々な用途で利用することが可能。スマートフォンで混雑状況を確認することもできる
The voice of the person in charge
黒川氏
野村不動産株式会社
常務執行役員
都市開発事業本部長
黒川 洋 氏
中規模事業者向けのオフィス事業で得た知見をスモールオフィスに展開する

働き方が変われば、仕事をする場所の選択肢が増えます。しかし、集って働くオフィスがなくなることはないでしょう。ただ、オフィスに求められることは変わります。私たちは、中規模事業者向けの『PMO』ブランドの運営で培った経験を生かし、そうした変化に柔軟に対応しながら、働く個人を第一に考えたオフィスを提供していきます。


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