「ふるさとチョイス」「Google Play」「ニコニコチャンネル」などでの決済開始を次々に発表し、日本市場におけるプレゼンスを高めているペイパル(PayPal Pte. Ltd.本社:シンガポール)が、2019年12月6日、「モバイルコマースに関するグローバル調査(PayPal mCommerce Study)」を発表した。日本を含む世界11カ国、22,000名のユーザー(コンシューマー)と4,600のサービス事業者(マーチャント)を対象に行われた調査結果から得られたトレンドと、日本の特異点とは?そしてグローバルなオンライン決済サービスのプラットフォーマーであるペイパルの日本市場での今後の展開施策について、ペイパル 東京支店 カントリーマネージャー 瓶子昌泰氏にお話を伺った。

ペイパル 東京支店 カントリーマネージャー 瓶子昌泰氏

今回の調査の目的は何でしょうか。

ペイパルでは定期的に各種調査を行っているのですが、今回は近年、注目度の高いモバイルコマース(モバイル端末でのECでの取引)についてフォーカスしています。国ごとの特徴、ユーザー側、サービス提供事業者側双方の進捗度合いの把握および、ビジネス展開時の障壁、ビジネスチャンスを理解するための指標となるべく、実施しました。調査対象国は日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、ブラジル、メキシコ、インドの11カ国です。

調査でどのような把握が得られたのでしょうか。

要点は大きく「モバイルコマース」「越境EC(海外オンラインストアの利用)」「ソーシャルコマース」の3つに分類されます。順を追ってご紹介します。

モバイルコマース

日本のモバイル利用は73%4位
しかしモバイル最適なECサイトの整備状況では49%最下位

「モバイルコマース」については、日本はECサイトでの買い物にスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を利用する割合が73%となり、11カ国中4位です。1位がインド、2位がブラジル、3位がメキシコで、日本と同率の4位にイギリス、オーストラリア、以下イタリア、スペイン、アメリカ、ドイツ、フランスと続きます。「好んで使用するデバイスは」という質問に対しては、PC(デスクトップ、ノートを含む)の割合(46%)とモバイル端末の割合(45%)はほぼ同率です。他国の傾向では、ヨーロッパやアメリカでは買い物は自宅でくつろぎながらPCで、という層が多く依然としてPCが好まれる一方、メキシコ、ブラジル、インドではモバイル端末利用がPCを上回っています。

先進国中では日本はモバイル利用が比較的高い順位なのですね。

そうですね。日本は通勤に公共機関を利用する人が多く隙間時間に買い物をすることが多いことや、ソーシャルゲームを楽しむ若い世代が多いことなどの理由が想像できます。しかしその一方で、サービス事業者側が「モバイルに最適化されたサイト、もしくはアプリを提供している割合」では日本は49%にとどまり、11カ国中最下位の結果となりました。こちらも1位はインド(81%)、2位ブラジル(74%)、以下ドイツ、イタリア、フランス、スペインのヨーロッパ勢が続き、オーストラリア、メキシコ、イギリス、アメリカ、ときて日本です。同率10位のイギリス、アメリカでも57%ですし、世界平均の63%と比較すると、やはり日本はECサイトのモバイル最適化が立ち遅れており、改善の機会があると言えます。

日本のサービス事業者のモバイル対応への遅れは、何が原因だと考えられますか。

先に述べたようにECサイト利用者の7割以上はモバイルユーザーですから、対応の重要度は把握されていると思いますが、中小規模の事業者ではまだ手が回らない、というのが現状ではないでしょうか。逆に言えば、Z世代(18-24歳)やミレニアル世代(25-36歳)などの若い世代を取り込むべくモバイルに最適化されたECサイトを提供すれば、まだまだ日本のEC市場は伸びしろがあるとも言え、ビジネスチャンスと捉えられるのではないでしょうか。そして、我々の立場からすると世界中の中小企業に、モバイルでのシームレスな購入体験を提供することでビジネス継続を確保していただく役割があると考えます。これらの企業がモバイル決済を充実させることで、潜在顧客が増加する可能性があります。

越境EC日本はグローバルで最も“国内志向”が強い

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