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「自動車リース会社」から「モビリティ・ソリューション・プロバイダー」への進化 住友三井オートサービス

100年に一度の自動車産業の変革期

日本の法人向け自動車リースで圧倒的なシェアを持つ住友三井オートサービスが、モビリティの最適化を中心軸とした発想で新サービスを開発した。フリーアナウンサーの平井理央氏が代表取締役社長の露口章氏に自動車リースの潜在力を聞いた。

自動車リースの利用比率が高まっている

平井 理央氏

平井 国内の自動車リース市場は、どのような状況にありますか。

露口 新車販売台数がここ数年、頭打ちであるにも関わらず、リース台数は伸び続けています。法人のみならず個人も含め、リースの利用比率は高まっています。自動車は購入時の煩雑な手続きが面倒ですが、リースの形態にすればハードルを下げられます。自動車も、所有するものから使用するものへ変わってきているのでしょう。

平井 自動車産業は、CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)と呼ばれる技術トレンドが広がっているようですね。

露口 100年に一度の大変革期という非常に面白い時代に突入しています。自動車メーカーが抱く危機感は我々にもあり、新たなる価値の創造が持続的成長に不可欠だと強く感じています。当社はこの大変革期を技術革新で新たなサービスを生み出せるチャンスとして捉えています。

モビリティ・ソリューション・プロバイダー

平井 どのような取り組みが社内で進んでいるのですか。

露口 当社の将来像を「モビリティ・ソリューション・プロバイダー」と定義し、新規ビジネスの創出とサービスの領域拡大の両輪で、総合モビリティサービスの先駆者を目指しています。その一環として、2016年度より若手や中堅社員も参加する全社横断の「モビリティ・ソリューション開発プロジェクト」を組成しました。これまでの経験や英知を結集しAIやIoTを駆使して新たなサービスを企画・開発する試みです。近い将来の全車コネクテッド化を目指し、車両のビッグデータを活用した新サービスで社用車管理の高度化を図っていきます。

モビリティの最適化でスムーズな移動体験を

露口 章氏

平井 サービスの領域を拡大するうえで、重視していることはありますか。

露口 底辺に据えているのはお客さまの目線です。我々自身が、リースの社用車ありきの発想から頭を切り替えること。例えば、法人のお客さまにとってリースの社用車は移動の一手段に過ぎません。レンタカーやタクシー、鉄道、バスと様々な選択肢がある中で、モビリティの最適化によりスムーズな移動体験をご提案できれば、お客さまの満足度向上につながるはずです。お取引のある全国4万社のお客さまが不便を感じていること、面倒な作業になっていることをきちんと理解することが、顧客ニーズを捉える出発点です。

平井 今後リリースされるサービスはあるのですか。

露口 2019年2月に企業と従業員が一台の自動車をシェアするサービスをリリースしたばかりです。面白み溢れるサービスを通じて、多くの日本企業が元気に変わっていくお手伝いをしたいと願っています。

社用車をプライベートにも活用させる画期的なカーシェアサービス『Scash(スカッシュ)』

企業と従業員でのシェアリングは難しいと捉えられてきた社用車。住友三井オートサービスは、IoTを駆使することで効率的に社用車をシェアリングできるサービス『Scash(スカッシュ)』を開発した。平井理央氏が同社の次世代モビリティ推進室長の横山満久氏に背景やスキームを聞いた。

企業と従業員でのシェアリングは難しいと捉えられてきた社用車。住友三井オートサービスは、IoTを駆使することで効率的に社用車をシェアリングできるサービス『Scash(スカッシュ)』を開発した。平井理央氏が同社の次世代モビリティ推進室長の横山満久氏に背景やスキームを聞いた。

なかなか実現しない社用車のプライベート使用

平井 一台の自動車を、企業と従業員でシェアするサービスを開発されたと聞きました。どういった経緯があったのですか。

横山 私たちは自動車リースの会社で、多くの法人のお客さまとお付き合いがあります。日頃のお客さまとの会話からよく聞かれるのが、従業員の自家用車と社用車の併用による時間の無駄です。特に地方では一家に数台の自家用車があり、マイカー通勤は一般的。一方で会社の営業活動では社用車を用いるため、マイカーで通勤し社用車に乗り換え営業し、また会社に社用車を戻しマイカーで帰宅する方も目立ちます。

平井 子どもの保育園の送迎を車で行う従業員の方もいらっしゃるでしょうし、自宅から私用を済ませながら社用車で直行直帰ができれば、貴重な朝の時間も有効に活用できそうですよね。

横山 確かにそうなのですが、社用車を就業時以外で利用するには2つの障壁があります。1つは、燃料等の費用を算出し精算するといった従業員と社内担当者の手間がかかること。もう1つは、事故を起こした際の責任の区分を明確にしづらいことです。そのため、従業員のプライベートに企業が社用車の利用を認める機会はなかなか実現しませんでした。

サービス概要

ビジネスモデル特許を登録したサービススキーム

『Scash(スカッシュ)』のアプリ画面

平井 ニーズは確かにあるのに、これまでなかったサービス。それを、御社で実現させるということですね。

横山 はい、その通りです。私たちのカーシェアリングサービス『Scash(スカッシュ)』は、公私の利用区分を判定する仕組みを開発した点が大きな特徴です。これはビジネスモデル特許を登録したスキームで、リース車両に取り付けた車載器の車両稼働データに、専用アプリの利用データを紐付けたものです。それによって私用分の費用明細を企業にご提供できます。あとは企業の方で、あらかじめ取り決めた割合に応じて企業と従業員が利用分を負担することで1台の社用車をプライベートにもシェアリングすることが叶います。また、事故の対応についても、プライベートでの事故のリスクを最小化する保険をご用意いたしました。

優秀な人材の囲い込みや獲得につなげる

平井 理央氏

平井 包括的なパッケージサービスになっているのでストレスがなく安心ですね。企業や従業員の方に幅広いメリットを提供できそうですね。

横山 いくつものメリットを創出できると考えています。リースの社用車は、レンタカーや他のカーシェアリングと比べ、利用する従業員にとって乗り慣れた安心感があります。マイカーを所有するより割安な維持費用で自動車を使用できるでしょう。

 企業の立場で考えると、在宅勤務制度の充実で、優秀な人材の囲い込みや獲得につなげることが期待できます。また、従業員のマイカー借上制度を採用している医薬品メーカーや自動車ディーラー、金融、不動産関連といった企業でも、リース社用車と『Scash』に切り替えていただくことで、業務上の事故などリスク管理の強化が図れます。これまであいまいだった公私区分を精緻化させ、車両管理の透明性を上げられます。大きな視点で見ても、走行距離削減によるCO₂排出量の削減や渋滞の回避、駐車場用地の有効活用などエコフレンドリー効果が得られ、企業の社会的責任を果たすひとつとなるはずです。

働き方改革をアピールできる絶好のサービス

横山満久氏

平井 単身赴任を含めて転勤が多い方にとっても、マイカーを使用しなくて済む仕組みは利便性が高そうですね。

横山 そもそも、従業員の1日の働き方や時間の使い方を変えるという意味では、企業の働き方改革にもつながります。

平井 残業が減る代わりに家に持ち帰る仕事が増えたなど、働き方改革がうまく進まないといった話を聞くこともありますが、『Scash』は企業にとって、働き方改革の姿勢を具体的にアピールできる要素を持つサービスとも言えますね。

横山 『Scash』を通じて、企業や従業員の方にとってリースの社用車への満足度をより一層高めていければと考えています。

お客さまのニーズ

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