プラチナフォーラム 2019 経営者懇親会特別講演 Review 伝統と革新の両輪で花開く次世代のイノベーション

2019年4月24日、
日経トップリーダーが主催する1年に1度のイベント「プラチナフォーラム」が開催された。
多くの経営者が集い、特別トークセッション
「事業を成功に導く非連続性イノベーション」に耳を傾けた。

  • 高橋 伸忠 氏

    テーラーメイド ゴルフ株式会社
    ハードグッズプロダクト
    ジャパン&アジアディレクター

    高橋 伸忠

    成蹊大学経済学部卒業後、海外ゴルフメーカーに入社。その後、ゴルフグッズのプロダクトマーケティングやビジネスマネジメントなどの職種を経て、テーラーメイドに入社。2018年4月より現職。

  • 出井 伸之 氏

    クオンタムリープ株式会社
    代表取締役
    ファウンダー&CEO

    出井 伸之

    早稲田大学政治経済学部卒業後、ソニーに入社、主に欧州事業に従事。1995年社長就任。以後10年にわたり経営のトップとして組織をけん引、ソニー変革を主導した。退任後2006年にクオンタムリープを設立。

  • 鈴木 啓太 氏

    元浦和レッドダイヤモンズ
    元サッカー日本代表
    現AuB株式会社代表取締役

    鈴木 啓太

    2000年から15年まで浦和レッドダイヤモンズでプロサッカー選手としてプレー。元日本代表。引退後はアスリートの良好なコンディションの維持、パフォーマンスの向上を目的にAuBを設立し、代表を務める。

本フォーラムの特別講演として開かれたトークセッションには、元ソニー会長・現クオンタムリープ代表取締役の出井伸之氏、元サッカー日本代表で引退後はアスリートサポートビジネスを立ち上げた鈴木啓太氏、そして革新的なゴルフ用品メーカーとして知られるテーラーメイド ゴルフのプロダクトディレクター高橋伸忠氏の3人が登壇した。

テーラーメイドは、1979年の創業当初から新しい着眼点で製品開発に挑むイノベーションカンパニーである。出井氏と鈴木氏もゴルフ愛好家であることから、ゴルフに関する話題をはじめ、事業におけるイノベーションやトップリーダーのあるべき姿などについて、活発な意見交換が行われた。

非連続性イノベーションを生み出す経営姿勢とは?

ビジネスにおけるイノベーションを考えるとき、トークセッションのタイトルにもある「非連続性」がキーワードになるという。非連続というのは、日々の積み重ねが、ある瞬間に飛躍的進歩を生むことを指す。ビジネスや経営の現場では物事が少しずつ変化していくことが多い中で、時として起こる大きなイノベーションによって、一気に飛躍的進歩を遂げることもある。

「ゴルフでも、コツコツと練習を続けることで突然飛躍的にうまくなる瞬間がありますよね。私が経営する会社も、そうした飛躍を遂げる企業でありたいという想いで、『非連続性の飛躍』を意味する量子力学の用語である『クオンタムリープ』と名付けました」(出井氏)

「私は現役サッカー選手時代から、腸内環境を起点に全身のコンディションを整えることを習慣にしてきました。先ほど出井さんからゴルフの話が出ましたが、腸内環境も1日や2日で改善するものではなく、継続的な生活習慣の結果、大きな変化が起こると考えています。私は現役時代の自身の経験と、アスリートの腸内環境データの蓄積を掛け合わせて新しいビジネスモデルを生み出したいと思い、起業しました」(鈴木氏)

「イノベーションにおいても、自社の伝統を継承することと、これまでとは違った着眼点で新しい価値を生み出していくこと、この2つがかみ合うことが重要だと思います」(出井氏)

左から、高橋 伸忠 氏、出井 伸之 氏、鈴木 啓太 氏

トークセッション中は先ごろマスターズを制したタイガー・ウッズ選手の話題でも盛り上がった。

テーラーメイドの高橋氏は、出井氏と鈴木氏の話を受けて、約40年前に同社が世に送り出したメタルドライバーの例を挙げた。

「40年前、ドライバーのヘッド部分は木製が常識で、各メーカーが新製品の開発をする場合、木の材質や重さといった点ばかりに心を砕いていました。その時代にテーラーメイドは、金属製ヘッドという独自の着眼点を加え、メタルドライバーを生み出しました。新たな発想を追求しながら日々の開発を続けたことが飛躍的な製品開発につながったのだと思います」(高橋氏)

テーラーメイドの最新モデル「M5/M6」にも、この姿勢は貫かれている。このモデルは、生産ルールとなっている反発内に収めることを「目指して」製造するのではなく、いったんルールを超えるクラブを製造してから、1本ずつチューニングしてルール係数内に「戻す」という逆転の発想から生まれた手法で作られている。

「私は製品スペックを詳しく見てから購入しますが、M5/M6は素晴らしいイノベーションだと思いましたね。発表後すぐにM6をオーダーしました」(出井氏)

社会の変化に対応できる着眼点を持ったリーダーへ
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