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「パラスポーツ支援」への第一歩 社内体験会と観戦会のススメ 〜スタディ・スタートアップ〜

パラスポーツを応援する人を増やす東京都のプロジェクト「TEAM BEYOND」
その活動の一環として2019年9月27日、企業によるパラスポーツ支援の促進を目的とする
「第1回 BEYONDワークショップ」が開催された。
社内体験会や観戦会の実績がある企業による講演、パラスポーツ体験会、
様々な企業から集まった参加者同士でのワークショップを通して、パラスポーツ支援のきっかけを作り、
定着させるための具体策を探った。

NECのパラスポーツ推進。
日常化と共生社会の実現に向けて

「なぜ企業でパラスポーツを推進するのか」と問われることがありますが、NECがパラスポーツを通じて実現したいことは2つ。ひとつは、「パラスポーツが人と人をつなぐ」社会です。パラスポーツは障がい者だけでなく、誰もができるスポーツなので、一緒にできる場を作り、楽しむことで障がい者と健常者のバリアを超えられます。もうひとつは、「パラスポーツが地域をつなぐ」社会。全国に展開しているNECの支社支店がリードしながら地域と連携し、パラスポーツを通じて豊かな地域社会づくりを目指しています。

日本電気株式会社
東京オリンピック・パラリンピック推進本部
企画グループ主任
NECボッチャ部 部長
日本ボッチャ協会公認ボッチャ審判員(C級)

荻野 智史

こうした共生社会の実現に向け、キーワードとしているのが「パラスポーツの日常化」です。パラスポーツ推進を業務としてだけでなく、各部署の有志や会社公認の部活動、労働組合など様々なチャネルで行うとともに、推進する際は4つのポイントを重視しています。ひとつは、社内イベントや社員研修などに組み込んだりと「人が集まるところに持ち込む」こと。2つ目は、「アツい社員仲間をつくる」こと。3つ目は、毎回参加したくなるように体験会などは「とにかく、楽しく!」行うこと。4つ目は、理解が得られなくても「めげずに、続ける」こと。弊社でも意義を唱えながら継続し、仲間を増やしてきました。

具体的に社員向けのイベントとしては、車いすバスケットボールやボッチャ、ブラインドサッカーといったパラスポーツ体験会を年に数回実施。パラスポーツ観戦会については情報を社内サイトに掲載し、募集通知をメールで発信するといった周知活動を行っています。また、2017年にNECボッチャ部を立ち上げ、30名の仲間と活動中。大会出場や練習会、ボッチャ懇親会開催といった社内活動から、企業・自治体、学校などのイベントをサポートしたりと社外にも活動を広げています。

企業によってはボッチャセットを持っていないところも多いと思います。私たちもボッチャセットを持っていなかったときは、企業・団体向けの障害者スポーツ用具の貸出を行っている公益社団法人 東京都障害者スポーツ協会から借りていました。

こうした活動により、2017年度に比べて2019年度は観戦社員数が40人から230人と大幅に増加し、ボッチャ体験会・懇親会を自発的に行う社員や、地域でパラスポーツを推進する社員が増加。企業部活動は、パラスポーツ日常化の新たなプラットフォームになると実感しています。

誰でもすぐにでき、
初対面でも盛り上がるボッチャを体験

講演に続いてNECボッチャ部(高木 愛子さん、橘 晴子さん)のサポートにより、ボッチャ体験会が行われた。ボッチャは、重度の脳性麻痺者や同程度の重度障がいが四肢にある人のためにヨーロッパで考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目。ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青それぞれ6球ずつのボールをいかに近づけられるかを競うもので、近年では障がいの有無に関わらず、誰でも楽しめるスポーツとして注目されている。

今回の体験会では、まず参加者によるコートづくりからスタート。床にマスキングテープを貼っていき、会場内に3面のコートが完成した。

参加者は6チームに分かれて、各コートに2チームが集合。ルールの説明後、チーム対抗でのゲームが開始された。

参加者は、カーリングのように相手の球を弾いて邪魔をするといった戦術や投げ方のコツなどアドバイスを受けながら投球。初対面ながらすぐに打ち解け、チームで作戦を練ったり、一投ごとに「これはうまい!」「惜しいっ!」と歓声や笑い声が巻き起こり、大いに盛り上がった。

それぞれの今ある課題を洗い出し、
解決策を考える

ボッチャ体験後、次に取り組んだのは、社内でパラスポーツ体験会を進めるにあたっての課題や解決策をシミュレーションし、支援に役立てるためのワークショップ。参加者はグループごとに着席し、自己紹介の後、提示のあったテーマに取り組んだ。

まず、今ある社内での課題を青い付箋に書き出し、解決策を赤い付箋に記入。それらをホワイトボードに貼ってグループ内でシェアし、より効果的な施策を話し合った。

そして、グループで出た意見を代表者が全体に発表。「体験会に来るメンバーはいつも同じ。全社的に推進するために、気軽にできるボッチャを研修に取り入れてみる」「課題は主に時間、会場、モチベーションの3つ。時間については縛りを作らず、まず昼休みに食堂で短時間だけなどゆるく行う。会場は、ボッチャであれば、あまり場所を取らないので会議室や廊下などを利用できる。モチベーションについては、コミュニケーションツールとして軽い気持ちで始めてみるのが効果的ではないか」「パラスポーツブームを醸成するには、“しなやかな強制”がポイントに。朝活としてボッチャで体を動かし、朝食を楽しむ会などを制度化する」など様々な解決策が出た。最後の設問では、会社に戻っての目標を発表。「全国の支社を巻き込む」「役員対抗のボッチャ大会を企画する」「社内の懇親会や新人研修に取り入れる」といった決意が表明された。

パラスポーツ推進の様々なヒントが提示された今回のワークショップ。まとめとしてNECの荻野氏は「一社だけではパラスポーツ推進に限界がある。企業が連携し、東京2020大会の後もパラスポーツを盛り上げていきたい」と締め括った。

公益社団法人 東京都障害者スポーツ協会への用具貸出しに関しては以下ご参照ください。
https://tsad-portal.com/tsad/concierge#concierge