ビジネスを取り巻く環境がめまぐるしく変わり続ける昨今、その変化に適応できる組織づくりが求められている。予測不可能な将来に対して、企業がとるべき最善策とは何か──。そこにひとつの解を示すのが、株式会社ゆめみが推進する「アジャイル組織」だ。2000年の創業以来、事業領域であるインターネットやモバイルの発達とともに組織を柔軟に設計してきた同社の片岡俊行代表に、これからの新しい組織のあり方を聞く。

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■Profile

株式会社ゆめみ 代表

片岡 俊行

1976年生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中の2000年、株式会社ゆめみ設立、代表取締役就任。在学中に100万人規模のコミュニティサービスを立ち上げ、その後も1000万人規模のモバイルコミュニティ・モバイルECサービスで成功。大手企業向けのデジタルマーケティング支援で関わったインターネットサービスは月間利用者数5000万人規模を誇る。現在は「アジャイル組織」への社内変革に取り組み、その成果を外部に公開することで日本のIT産業への貢献を目指す。

──「ゆめみ」という名前を知らなくても、大手ファーストフード店や有名百貨店などのアプリを通じて、多くの人が日々そのサービスを活用しています。まずは事業概要やビジネスモデルをご紹介いただけますか。

法人企業と共にインターネットサービスを提供する「BnB2C」というビジネスモデルを展開しています。一般的な受託開発とは異なり、お客様企業とビジネス方針や戦略を共有したうえで、一つのチームとしてエンドユーザーに対するサービスを継続的に企画・開発・分析・コンサルティングし、業務支援を行うのが特長です。なかには10年以上おつきあいいただいているパートナー企業もあり、そうしたお客様と一緒に日々5000万人以上の人が使うインターネットサービスを手がけています。

──2000年、京都大学大学院在学中に3人で起ち上げたベンチャーが、現在では従業員約200名規模の企業に。これまでの組織設計の変遷を教えてください。

最初は、従来型の経営管理システムを真面目に実行していました。誰も会社勤めなんかしたことがないので、もう手探りで実直に。でもつねに品質とスピードが求められるインターネットビジネスの領域においては、従来型の組織では追いつかず、結果、予算や人、工程、プロジェクトとすべての管理を担うマネジメント担当の負担が非常に大きくなってしまうんですね。そこで2014年にマネジメントの役割を分散し、それぞれの役割に人を割り当てるロールドリブンな組織設計に変更しました。そして2018年度からは、役割だけでなく権限をも分散する取り組みへと進化。ソフトウエアのアジャイル開発に倣い、当社ではこれを「アジャイル組織」と呼んでいます。

──「アジャイル組織」について、詳しくお聞かせください。

アジャイル(俊敏な)開発とは、仕様や設計の変更は当然あるという前提で、おおよその仕様をもとに実装とテスト実行を反復し、徐々に開発を進めていく手法のこと。このコンセプトに基づいた組織づくりが、「アジャイル組織」です。その背景には、予測不可能な世の中の環境変化があります。未来が予測できないのであれば、近い将来こうなりそうだと仮説を立てて実践し、その結果から判断して行動を修正していけばいい。つまり、環境変化やその時々の状況に適応しながら最も迅速かつ有効な成果を生み出すための組織戦略として、「アジャイル組織」を選んだのです。

──なぜ組織変革をしようと思われたのですか。

法人のお客様からは、もっと色々なサービスを展開していきたいというご要望をいただいていますが、それらをすべて実現するには1000人の組織が必要となります。でも現在200人で安定している組織が1000人になったとき、当社が評価いただいている「Quality(品質)&Agility(俊敏性)」を両立して維持していけるかという懸念がありました。200人を支える骨格では、1000人を歩かせられない。そこで骨格構造そのものを変え、何人であろうと自立歩行できる「自己組織化」を目指すべく、既存のシステムに大きく手を入れました。その過程で生まれたのが、「メンバー全員CEO制度」です。

──全員がCEO、つまり代表取締役権限を持つということですか。

その通りです。これまで代表の私が持っていた裁量権を、すべてのメンバーに委譲しました。CEOとなった全メンバーは、ゆめみ独自のルール「プロリク」により、あらゆる意志決定を行えます。プロリクとは、プロポーザルレビューリクエストの略で、実施を希望するメンバーが、他のステークホルダーのレビューを受けることで実施判断を自身で行う意志決定方法です。このルールに則り、すでに「大阪本社オフィス移転」や「ジム・運動補助制度」など数々の案件が決定し、実施を進めています。

Proposal Review Request プロリク

──かなり重要な案件だと思いますが、これらもメンバー一人の意志決定で実施されるのですか。

はい。普通は、誰かが発案してもそれを意志決定するのは、上司なり別の人ですよね。でも、実際にはやらない人が決める、わからない人が承認するというのはおかしなこと。大きな案件であればあるほど、それをきちんと考え、仮説を立てた人が責任を持って遂行すべきなんです。そのためには裁量権限を拡大しなければならないので、代表取締役の権限を全メンバーに委譲しました。この意志決定の仕組みのポイントは、「絶対に否決しない」こと。問題点の指摘やアドバイスをレビューで伝えることはできますが、否決はできません。いわゆる“ちゃぶ台返し”のリスクを防ぐことによって、周囲はアドバイスをしやすく、また発案者も意見を聞き入れやすくなり、結果的に適度な距離感での連携のもと、全体感をもって案件を進められるというわけです。

──稟議やエスカレーションのルールがない分、意志決定のスピードも上がりますね。

プロリクのレビューは48時間以内に行う取り決めとなっていますので、それはもう速いですね。日々あらゆる意志決定がなされ、実行に移されています。意志決定を行った本人は「遂行責任」を追いますが、「結果責任」を問われることはありません。なので、まずはとにかくやってみる。やってみてうまくいかなければやめればいい、というのがゆめみの方針です。インターネットサービスのように、アプリが毎週更新され、不具合を修正しながら使い勝手を向上していくのと同じです。意志決定や実施のスピードを上げつつ、トライアンドエラーを繰り返しながら反復学習していく。これがゆめみの目指す「アジャイル組織」の実践方法なのです。

2019. 3~4月のメンバーによるプロリク事例

──法人企業とのビジネスで最も重視していることを教えてください。

一つは、当社の強みである「Quality&Agility」の実現です。今後メンバーがどれだけ増えても、品質と俊敏性の両立については徹底していきます。そしてもう一つは「Bad News Fast」、つまりミスや問題が起きても隠さず、お客様ともすぐに共有していく文化を大切にしています。これは社員にもつねに口酸っぱく言い続けているのですが、ちょっとした過ちでも直ちに必ずオープンにすること。それが早ければ早いほど解決のスピードも上がるし、リスクが最小の時点でお客様にオープンにする透明性があるからこそ、お客様とも一つのチームであり続けられるからです。ゆめみでは、悪い情報を隠した場合は厳罰対象、逆にすぐ共有した場合は賞賛の対象としています。

──法人企業とワンチームでビジネスを継続していくために、工夫されていることはありますか。

インターネットビジネスは日々新しい技術が生まれる分野なので、お客様も相当勉強されています。我々はプロフェッショナルとして、そのお客様より遥かに多くのことを学ばなければなりません。そこで、メンバーの自発的な学びを最大限に支援する制度として「勉強し放題制度」を設けています。これは、書籍資料や研修受講、資格取得、体験イベントなどにかかる費用を事前申請不要で100%補助するというもの。

また、業務時間の10%を自分の好きなことにあてられる「10%ルール」を用意し、これも自発的な学びの機会としています。多角的な視野で見聞を広めることは、お客様とのビジネスを通じてエンドユーザーに届けられるより良いサービス、より豊かな体験へとつながります。そのための投資を、ゆめみは一切惜しみません。

──最後に、これからパートナーとなるかもしれない企業に向けてメッセージをいただけますか。

ゆめみは、今後1000人体制を目指していくなかで、1000人が1000人の多様性を発揮し、お客様のあらゆるご要望にお応えできる組織づくりに取り組んでいます。魅力的なインターネットサービスを展開したいお客様はもちろん、組織改革に悩まれている方にも、先んじて試行錯誤を繰り返してきた我々と共にビジネスをしていくことで、新たな可能性を見出していただければと願っております。それを実現するためにも、ゆめみでは「アジャイル組織」のフレームワークやノウハウを社外にも公開していく予定です。

社外CEOとして当社の組織運営にご参加いただき、そこで得たものを社内に持ち帰って改革につなげていただく。こうしたオープンソースのような環境を構築することで、お客様の組織づくりにも貢献できる企業でありたいと考えています。仲間として、CEOとして、共に未来を築いていただけるよう、これからもゆめみは挑戦し続けます。

組織づくりで試行錯誤を繰り返してきた我々と共に、
ビジネスの世界で新たな可能性を見出していきましょう

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株式会社ゆめみ

https://www.yumemi.co.jp/ja

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