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協賛講演

アビームコンサルティング

RPAを導入したものの、効果が限定的だと感じる企業は少なくない。なぜそのような事態に陥ってしまうのか?それは現場主導の取り組みに終始しているからだ――。様々な成功事例を基に導き出したDX成功のポイントが語られた注目のセッションの内容とは?

RPA導入/DX推進の成果が
実感できない理由とは?

アビームコンサルティング
戦略ビジネスユニット
Business & Digital Transformationセクター長
執行役員 プリンシパル
安部 慶喜 氏

登壇者を務めた安部氏は、セッションの冒頭、RPA BANKと自社が共同で実施した「RPA利用実態調査」の結果を紹介。

この結果によれば「従業員数1000人以上の企業で83%、300~1000人未満の企業で74%、300人未満の企業で68%がRPAを本格展開」しており、「規模にかかわらず『RPAを本格展開している』企業は増加傾向にある」という。

しかしその一方で「RPAの効果をなかなか実感できていない企業が多い」ことを示す結果も明らかになった。「RPAを本格展開している企業のうち、20%以上の削減効果を出せている企業は17%にすぎない」というのである。

以上の結果を受けて、安部氏は「様々な企業でRPA展開等の取り組みが進む中で、成果が出ている企業とそうでない企業の差が見えてきた」と説明。このところは様々な企業から「RPA、実は大して成果が出ないのではないか?」という言葉をしばしば耳にする。しかし安部氏は「そんなことはない」と断言し、次のような言葉を続ける。

「産業によらず、規模によらず、RPAは成果が出ます。では、なぜ成果が出ている企業と出ていない企業が存在するのか?その理由は明確です。成果が出ていない企業は、RPAを単なるシステム化、自動化のツールとして見なしているのです。成果の出ている企業は、DXの実現を目指し、自動化からさらに踏み込んで考えています。経営トップがしっかり推進し、全社で目標を作り、それに向かって全力で突き進んでいるのです」

つまり、日本企業の多くは「RPAで業務を置き換える」ことに終止しているのだ。RPAの活用を大きな成果につなげていくためには、次のステージに移行して、DXを実現していかなくてはならないのである。

改革の成功体験から変革意識の浸透・定着へ至る「DX成功企業がたどる3つのステップ」。社員が“抜本的な改革”の成功体験を実感することで、改革意識を浸透させ、変革することが当たり前という企業文化を醸成していく。

現場巻き込み型の改革で
社員を動かす

DXに取り組む様々な日本企業の事例を見てきた安部氏の見解では、DXを成功させている企業の多くは「1.トップが号令を出し、制度・ルールを含めた業務改革に取り組んでいる」「2.抜本的な改革の成功体験を積み重ねている」「3.デジタルを活用するだけではなく企業文化を変える」という3つのポイントを実践しているようだ。

さらに成功までのプロセスは、次の3つのステップを順番にたどっていることがほとんどだという。

第1のステップは、デジタルテクノロジーを実際に利用して「現場主導のトライ&エラーで社員がデジタル化の効果を実感する」フェーズ。繰り返しになるが、現状では数多くの日本企業はこの段階で止まっている。

次のステップは「トップ主導で抜本的な改革を進めていく」フェーズ。この段階では、ボリュームが大きく効果が見込める業務を対象に、制度やルールの見直しまで踏み込んで、業務を再構築していくことが求められる。そのような取り組みの成功体験を積み上げていくことで、これまでのやり方を「変える」ことに対する、社員の心理的な抵抗感をなくしていくのがポイントだ。

第3ステップは「自ら変革するという意識を社内に浸透・定着させる」フェーズ。ここで重要になるのが、恒常的に社内の改革を推進する体制、仕組みを構築し、自ら持つことだ。「ここまで実現して、初めてDX成功と言える」(安部氏)のである。

セッションではこの3つのステップにのっとって、DXを進めてきた製造業と金融業の事例が紹介された。そこではいずれも大きな成果を上げていることが明らかにされている。

特に印象的だったのが製造業の取り組みだ。先に紹介したフェーズの第3ステップに当たる段階で、改革の成果を組織・個人評価に組み込む他、現場の業務見直し案を表彰するロボットコンテストなどを開催し、「現場巻き込み型の改革」を推進。さらにはプロジェクト実施前に経営トップが宣言した通り、DXが生み出した利益を全社員に賞与として還元したのである。以上の取り組みを行った結果「どのようにしたらRPAを業務に利用可能か」を業務担当者が主体的に考え、「とりあえずやってみよう」という精神が根付いたという。

真っ向から勝負しなければ
DX実現は不可能

今後の社会やビジネスの不透明性が増す「VUCA(ブーカ)」時代を迎え、全ての企業は、モノの評価や価値が常に変わっていくことを認識し、その変化に合わせて自らも変革し続けていく必要があることを忘れてはならない。

「ABCDX Frame」をまとめた図。DXの軸となるABC Engineは「柔軟な経営・組織運営を実現する能力」「新たな価値を提供するビジネスを構築する能力」「多様な他社・他者と共に価値を創出する能力」から構成される。

安部氏はこう説明した上で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉の「トランスフォーメーション」とは、まさにそこで求められる「継続的な改革」を指していると解説。そしてデジタルテクノロジーは、あくまでこの変革を実現させるための道具にすぎないことを強調した。

続いて安部氏は、自社が標榜する「ABCDXフレーム」というフレームワークに言及。

これはDX推進に求められる「Agile Management=柔軟な意思決定力」「Blue Ocean Design=新しい価値を創造し、提供する力」「Co-Creation Style=イノベーションを創出するために必要な共創力」という3つの組織的能力をまとめたもので、「ABCDXフレーム」の「ABC」はその頭文字から取られている。

つまりはこのような組織能力を企業内で醸成させてDXを進め、変革の成功体験を積み重ねていく――これこそがDX成功のカギなのである。

セッションの最後、安部氏は「今ここで変わらないと日本企業はダメになります」と強い口調で話し、次のような言葉で話を締めくくった。

「DXは日本企業でも必ず成功できます。ただし、真の変革に正面から向き合えた企業でしか成功は得られません。ぜひ真の変革に正面から向き合って、改革して、トランスフォーメーションしてください。必ず成功できると私は確信しています」