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2020年8月に完成した新宮益坂ビルディング。渋谷駅との間は徒歩でわずか数分の好立地ゆえ、建替え前は事務所仕様に改修し、賃貸に回す区分所有者が少なくなかったという

日本初の分譲マンションと言われる東京・渋谷の旧宮益坂ビルディング。老朽化した建物が2020年8月、再び分譲マンションに建て替えられた。合意形成に難しさを抱えていたこのマンションで事業推進を支えてきたのが、豊富な実績を誇る旭化成不動産レジデンスだ。同社の強みは、どこにあるのか――。

渋谷駅から宮益坂を上り青山方面に向かう。沿道の一角ではこの5年、街並みががらりと変わった。地上11階建ての老朽マンションが取り壊され、同15階建ての分譲マンションが2020年8月、新しく誕生したのである。

名称は昔も今も変わらず、宮益坂ビルディング。元の建物は、東京都が1953年に分譲した日本初の分譲マンションと言われる。1990年代から建替えを検討する動きがみられ、30年近い時を経て実現した。

宮益坂ビルディング(旧宮益坂ビルディング)

この事業に旭化成不動産レジデンスが参画したのは、2011年3月。旧宮益坂ビルディング管理組合によって事業協力者に選ばれ、建替えを事業面から支える役割を担った。

旭化成不動産レジデンス
マンション建替え研究所
副所長 大木 祐悟 氏

当面目指したのは、管理組合の集会での建替え決議である。旭化成不動産レジデンスの社内シンクタンクであるマンション建替え研究所副所長の大木祐悟氏は、合意形成を図る難しさをこう指摘する。

「所有目的が居住用か投資用か、建物への思い入れがあるかないか、それらによって区分所有者の考え方はまちまちです。しかも皆さん、理解度が高く、意見もしっかり主張されます。建替えには賛成でも、各論に踏み込むと、なかなかまとまりません」

同社では合意形成に向け、管理組合の委託を受け参画していたコンサルタントとともに、100人を数える区分所有者との個別面談に踏み切った。そこでは、個人的な相談に乗り、建替えへの本音も引き出す。

高齢者には専門チームで対応
仮住まいの段階も支援の手を

2012年4月には、管理組合の集会で建替え決議が成立。以降、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替法)」の規定に沿って手続きを進め、2016年10月に解体工事を迎えるに至った。

管理組合とともに建替えを実現に導いた旭化成不動産レジデンスのサポート力は、どこにあるのか。

一つは、旧宮益坂ビルディングの事例でも発揮された合意形成のサポート力である。合意形成の段階では、建替えを検討する老朽マンションで多くを占める高齢の区分所有者へのきめ細かな配慮が欠かせない。そこに専門チームで臨む独自の体制を築く。

サポートを担うのは、「安心サポートチーム」の女性スタッフ。このチームは個別面談のほか、「よろず相談会」「茶話会」など気軽に相談を持ち掛けられる場も用意し、高齢の区分所有者に寄り添い安心を提供する。

写真左は「よろず相談会」、写真中は「ワークショップ」。さまざまな「場」を用意し、合意形成をサポートする。写真左・右は高齢の区分所有者を支える「安心サポートチーム」の女性スタッフ

任務は建替え工事中にも及ぶ。工事の始まりと終わりには、区分所有者は仮住まいとの間で2度の引っ越しを強いられる。高齢の区分所有者にとって負担は大きい。安心サポートチームは仮住まい探しや引っ越し作業にも手を差し伸べる。

「初」を経験し「知」を獲得
研究所でノウハウに昇華する

もう一つは、多くの経験を積み重ねる中で培った「知」の力である。

旭化成不動産レジデンスが分譲マンションの建替えに乗り出したのは、2000年以降。2020年10月現在、着工済みで36件の建替えに事業者等として参画してきた。

2004年12月施行のマンション建替法が全国で初めて適用された諏訪町住宅(東京都新宿区)の建替えを、事業協力者として支援した経験も持つ。「法施行の前から、弁護士とともに法律を読み解き、準備を重ねました」(大木氏)。

同社ではこのほか、さまざまな「初」を経験してきた。都市計画法の一団地の住宅施設の廃止を伴う建替えや隣り合う分譲マンション2棟の同時建替えなど、その都度、地元行政とも協議を重ね、管理組合と一緒になって道を切り開き、「知」を獲得してきた。

訴訟リスクへの備えも、「知」の一つに挙げられる。建替え決議までの手続きに不備が疑われれば、無効確認を求める訴訟を起こされかねない。手続きミスは徹底排除しなければならない。

旭化成不動産レジデンス
マンション建替え研究所
主任研究員 重水 丈人 氏

例えば建替え決議集会への招集通知。旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所主任研究員の重水丈人氏は具体の備えをこう明かす。

「招集通知のひな型やチェックリストを作成し、ミスの排除に役立てています。さらに、招集者である管理組合の理事長について管理者選任にあたり不備がないか、他にも管理規約や登記事項証明を招集前に再確認するなど、用意周到な準備をサポートしています」

経験を積み重ねる中で培ってきた「知」は社内で共有し、組織として活用できるような体制を整える。「『知』の力はともすると、担当者個人に蓄積されがちです。それを集約し組織で活用できるようにすることも、建替え研究所の役割の一つです」(大木氏)。

豊富な経験を組織のノウハウに昇華させる体制。そこに、旭化成不動産レジデンスの本気度が見て取れる。

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