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事業承継におけるPEファンドの役割

中小・中堅企業に特化し、過去30件超の支援実績 信頼を大事に、
時間をかけて承継を推進

ベーシック・キャピタル・マネジメント

プライベート・エクイティ・ファンド(以下、PEファンド)とは、複数の投資家から集めた資金をもとに事業会社の未公開株を取得するとともに、その会社の経営に深く関与し、企業価値を高めた後に譲渡することを目的とする投資ファンドだ。事業承継におけるPEファンドの役割とは?2002年の創立以来、18年の業歴を有するベーシック・キャピタル・マネジメントに聞いた。

事業承継におけるPEファンドの意義とは?

ベーシック・キャピタル・マネジメント 代表取締役社長 金田 欧奈氏

 事業承継は親族を含む個人への譲渡と法人への譲渡に大別され、昨今は法人への承継が急増しています。法人は、事業会社とPEファンドに大きく分けられます。

 事業会社への承継は、事業面、組織面で相性の良い相手を見つけることができれば最良の手段となりえます。しかし現実はそう上手く進まないことが多く、資本提携直前で破談、あるいは提携後に摩擦が生じて組織運営に支障をきたすといった話をよく聞きます。

 逆説的ですが、社長にカリスマ性、指導力があり、良い意味の「ワンマン経営」でうまく運営されている優良企業ほど事業承継に苦戦しています。理由として、個人依存度が高く組織が硬直化している、後継経営体制ができていない、そもそも株主を意識した経営に慣れておらず外部株主を受け入れる準備ができていない、などが挙げられます。社長の決断をすぐに実行に移せる経営体制の強みは、事業承継では弱みになってしまうのです。

 組織が抱えるジレンマを解消する「準備期間」が必要なケースが多く、それこそが事業承継においてPEファンドを活用するメリットです。3~5年程度の支援期間中に、資本と経営が分離された会社運営を浸透させつつ、新たな経営体制を構築することができます。支援期間の定めがあることはデメリットに感じるかも知れませんが、期限があるからこそ覚悟が決まり、役職員も事業承継に向けて一歩を踏み出すことができます。最終的には、安定株主となる相手探しも、交渉も、私たちがしっかりと務め、良縁を実現します。

ベーシック・キャピタル・マネジメント(BCM)とは

みずほ証券、オリックス、メリルリンチの共同出資により、2002年に設立。中小・中堅企業を投資対象とする投資ファンド運営会社として、30件以上の投資を実行してきた。事業承継、MBO(経営陣の独立支援)、カーブアウト、新興企業の成長支援など、さまざまなケースで企業の成長支援を行っている。

BCMの特徴

  • 豊富な実績と確かなバックグラウンド
  • 国内中小・中堅企業に特化した投資実績
  • 投資先企業とのパートナーシップを重視したアプローチ

投資先企業を選ぶ基準は?

 成長性、財務の健全性もさることながら「事業の社会的意義」にはこだわりがあります。単に儲けていればいいということは決してなく、社会にどのように必要とされて、どのような付加価値を生み出していけるのか。できるだけ長いストーリーが直感的に目に浮かぶような事業をされている会社に魅力を感じます。

 オーナーとしても、「自分が育ててきた会社を正しい方向に導いてほしい」という気持ちが強いものです。私たちはそうした想いを汲み取るため、数年をかけてじっくり話し合いを行うこともあります。


ベーシック・キャピタル・マネジメントの特徴は?

 ファンドというと目先の利益を追い回すイメージがあるかもしれませんが、私たちは互いの信頼を大事にし、会社に寄り添うことを明確なコンセプトとして打ち出しています。中小・中堅企業の企業価値を高めて事業を発展永続させることが目的であり、オーナーや役職員に感謝される、非常にやりがいのある仕事です。

 短期的な視座を良しとせず、事業の未来を見据えてしっかりと投資をする。そのため配当など、短期的な収益は一切求めず、じっくり時間をかけて事業の成長、組織構築を図ります。会社の将来を見据え、パートナーとしてともに成長していく姿勢が私たちの特徴です。

 一方で、「事業承継を成功に導く」という結果を出せなければ意味がありません。その点は過去30件超の支援実績が示していると考えます。当社ホームページに掲載している「投資先経営陣の声」をご覧いただければと思います。


事業承継の手段を模索する読者にメッセージを。

 事業承継を検討されながら迷っておられる経営者の方は多いと思います。生産性の向上が求められる機運の中で事業再編が急増しており、今後もますます増えていくでしょう。ここで受け身にならず、波に乗ることが重要です。機を逃さずに先手を打てば、適切な事業承継のチャンスとなります。これまで育ててきた会社を一段上のステージに上げ、安定的に発展できる基盤を作ることは、オーナーの決断にかかっていると言っても過言ではありません。機を逃せば、本人だけでなく、従業員やその家族、会社の未来を誤ってしまいます。大事な決断だからこそ、私たちも全力でサポートさせていただきます。ぜひお気軽に相談ください。

事業継承事例 株式会社ハート

オーナーの段階的引退を促し、業界大手バンダイと資本提携
支援期間2014年~2019年

 ハートは愛媛県松山市の玩具菓子メーカーです。オーナー社長(60代半ば)は仕事が趣味という方で、極めて誠実且つ頭脳明晰な人物、堅実な黒字経営を行ってきました。後継にバトンを譲りたい気持ちはあるものの任せられる人材はおらず、地方企業が独立して事業展開することの限界も感じておられました。

 そこで私たちは、後継の経営体制を構築しつつ、オーナーが段階的に経営から退くプランを提案しました。プロパーの取締役を社長に選任し、幹部には若手や女性を抜擢し、権限移譲を強く推進し、経営チームの若返りを図りました。玩具菓子という商品の特性上、特に商品開発部門は若い女性を中心としたチームに刷新するなど、丁寧且つ迅速に組織改革を進めました。

 元社長は組織がどんどん変わっていくことへの戸惑いもあるようでしたが、我々に一任いただき、5年超の時間をかけて、組織は大きな変化を乗り越えて強固になり、事業も活性化し、最終的に業界大手のバンダイと資本提携する運びとなりました。元社長からは「地方の中小企業がこれほどの事業提携に至るとは思っていなかった。自分たちだけでは決して実現できなかったと思う」と感謝の言葉をいただきました。バンダイとハートの事業面の相性は非常に良く、双方ともに期待度の高い、理想的な提携をお手伝いできた思い出深い案件です。(金田氏)

ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社
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