治療法が見つかっていない疾患領域の研究開発に注力し革新的医薬品を提供するグローバル・バイオファーマ企業、ブリストル マイヤーズ スクイブ。「患者さん第一」というコンセプトは全事業活動に貫かれている。

一口にがん患者と言っても悩みや課題は人それぞれ

一般社団法人
全国がん患者団体連合会
理事長

天野慎介
悪性リンパ腫の患者としての経験をもとにグループ・ネクサス・ジャパンを設立し、がん患者支援活動に尽力。全国がん患者団体連合会理事長のほか、国や自治体による審議会の委員なども務める。

天野慎介氏(以下、天野) 私は27歳の時に悪性リンパ腫を発症し、患者として感じた情報の圧倒的不足と患者同士の交流機会の少なさを解消すべく、悪性リンパ腫の患者団体を立ち上げました。その活動を通してがんの種類によって抱える悩みや必要な情報が違うこと、地域による違いもあることなどを知ったのですが、同時に共通する課題があることもわかりました。政策提言など社会に働きかけるために、意見を集約して伝えるよう2015年に全国がん患者団体連合会を発足しました。活動内容は政策提言や情報発信などのほか、全国に多数ある患者団体の横のつながりを作るために、年1回のイベント「がん患者学会」を開催しています。

ジャン=クリストフ・バルラン氏(以下、JC) 素晴らしい活動ですね。当社は「サイエンスを通じて、患者さんの人生に違いをもたらす」というビジョンのもとに活動しています。すべての活動は患者さん中心であり、一人でも多くの患者さんのお力になりたいので、協力し合っていければと思います。

天野 私たちがん患者は、製薬会社の薬で命を助けられています。2006年にがん対策基本法が制定されたのを機に治療法の開発や標準治療の普及が進み、宣告された余命よりも長く生きる方が増えました。しかし、すい臓がんなどの難治性のがん、患者数が少ない小児がんや希少がんについては今なお新たな治療薬が待たれています。また、患者は身体的苦痛と精神的苦痛に加えて、経済や就業にまつわる社会的苦痛も抱えていますから、ただ治るのではなく、より良く治る薬が必要です。副作用の少ない薬、自分らしさを保ちながら治療を続けるための薬に対するニーズは高まっています。

患者中心の医療を実現するために必要なこと

ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
代表取締役社長

ジャン=クリストフ・バルラン
リヨン大学で獣医学の博士号を、マンチェスタービジネススクールで経営学修士号をそれぞれ取得。複数の製薬会社で活躍した後、2012年ブリストル マイヤーズ スクイブに入社し、17年11月から現職。

JC 当社では2023年までに250万人の日本の患者さんの人生に違いをもたらすことを「ジャパン2023」として掲げました。250万人という数値は、重点領域のがんや免疫疾患、心血管疾患などの患者さんに対し、製品や臨床試験を通じて人生に違いをもたらすと期待される人数を積算したもの。一般に企業は売上高やシェアを指標としますが、当社はどれだけの患者さんの人生に貢献できるかを考えています。

天野 患者中心の医療を実現するには政策も重要です。最近ではゲノム医療が進歩し、日常の診察のなかで遺伝子変異が見出される事例や遺伝性腫瘍が見つかる事例が出てきました。しかし、日本では理解が不十分で、患者とその家族への精神的なサポートや意思決定の支援などの仕組みが確立されていません。このままでは雇用や保険などで差別的な扱いが出てくるのではないか、患者が社会的不利益から擁護されないとそれがゲノム医療の研究の妨げになるのではないかと危惧しています。研究が適正に推進され、その成果が患者に還元されるためにも、患者が社会的不利益から擁護されるような法的規制が必要だと考えています。

同じゴールを目指すには患者との相互理解が必須

JC 私は、以前フランスで小児がんの患者さんと出会い、支援の必要性を感じました。現在、日本でも小児がんの患者さんが社会的孤立に陥らないよう闘病中の子どもたちをサポートしている患者団体を支援しています。また、当社では9月最終週をグローバル ペイシェント ウィークと位置づけ、世界中の拠点で患者さんと交流しています。今年は新型コロナに対する支援として、全世界の社員のアクティビティに応じて、会社が国際赤十字等に寄付をするチャリティイベント「BMS for Community」を実施しました。

天野 すごいですね。製薬会社の社員と家族が患者さんのためにボランティア活動に参加することは患者にとって励みになると思います。今、医療における患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)に注目が集まっています。治療の選択肢として臨床試験や治験に参加する患者が増えています。研究は医師や企業だけが行うのでなく、患者と共に作り上げる流れが生まれていると感じています。大切なことは相互理解だと思うのです。例えば、ある医療者は生存期間の延長につながる臨床試験を企画していたのですが、PPIの場では患者から「延命も大事だけれど、日常的な手足のしびれがつらいので、それを軽減するような臨床試験の方が良いのでは」といった意見が出たりします。両者の考えが違うことが問題なのではなく、医療者と企業、患者が同じゴールを目指すためにはそれぞれの考えや思いを理解することが大切なのです。御社の取り組みはそういった相互理解につながるものではないかと感じました。

ブリストル マイヤーズ スクイブの米国本社で行われた「グローバル ペイシェント ウィーク」の昨年のキックオフイベント。6年前から始まったこの取り組みは、全世界のブリストル マイヤーズ スクイブに中継され、世界中の社員が患者に思いを馳せ、決意を新たにしている。

日本で昨年実施されたチャリティイベント。参加者が1マイル自転車を漕ぐごとに、10ドルが世界中のがん研究を支援するUnion for International Cancer Control(国際対がん連合)に寄付された。

ブリストル マイヤーズ スクイブの米国本社で行われた「グローバル ペイシェント ウィーク」の昨年のキックオフイベント。6年前から始まったこの取り組みは、全世界のブリストル マイヤーズ スクイブに中継され、世界中の社員が患者に思いを馳せ、決意を新たにしている。

日本で昨年実施されたチャリティイベント。参加者が1マイル自転車を漕ぐごとに、10ドルが世界中のがん研究を支援するUnion for International Cancer Control(国際対がん連合)に寄付された。




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