近年、国を挙げて推進の取り組みが活発化しているキャッシュレス化。数々の企業が様々な決済サービスを提供している中、8月、横浜銀行が国内金融機関初の取り組みを開始した。そこで、決済サービスコンサルティングの宮居雅宣氏と、横浜銀行デジタル戦略部の島山幸晴氏、河原隆史氏の3名で、キャッシュレス社会の実現をテーマに鼎談を行った。

──まずは、日本のキャッシュレス化の現状について教えてください。

宮居:驚異的な人口減少に見舞われる我が国において、安心安全で便利な金銭授受のデジタル化=キャッシュレス化は、生産性向上、経済活動や労働の効率化、社会コストの削減、地域の活性化などのためには不可欠です。さらにこのコロナ禍においては、感染リスクを低減させるという側面もあります。2019年10月の消費税率引き上げに伴い導入された「キャッシュレス・ポイント還元事業」により、キャッシュレスを利用する消費者は増えており、政府も引き続きキャッシュレス化を推進、その浸透スピードは今後も加速すると思います。

ただ、日本は今、キャッシュレスという手段が目的化している感が否めません。現金は、物理的に紙幣や硬貨を製造するコストがかかります。また、その現金を運搬したり警備するコストもかかります。店では、現金と帳簿を付け合わせる作業時間、マンパワー、そして人件費がかかります。こういった一連の現金関連コストを削減でき、少子高齢化で急速にシュリンクする日本経済に安心と安全をもたらすことができるのがキャッシュレス化であるという意義・目的を、今一度明確にして取り組んでいくことが大事だと思います。

国内金融機関初。横浜銀行のキャッシュレス決済サービス

―─8月20日に、横浜銀行のキャッシュレス決済サービスアプリ「はまPay」が、機能を強化して新登場しました。その概要と、狙いをお聞かせください。

河原:はまPayでは、2017年7月より、QRコードによるキャッシュレス決済サービスを提供してまいりましたが、口座とひも付くプリペイドカードをスマートフォン内で即時発行し、iD加盟店でのタッチ決済を可能にする、新しい仕組みを追加搭載しました。QRコード決済と非接触IC決済が1つのアプリで利用できるのは、国内金融機関初となります。

キャッシュレス比率が30%程度にとどまっている日本において、今後の普及のためには、いかに現金のマーケットをキャッシュレスに移行するかが重要です。そこで注目したのが、現金派の消費者行動。ATMで預金口座から現金を引き出し、財布に入れて、買い物をし、現金がなくなるとまたATMに行く。その流れをスマホの中で実現したのが、口座とひも付くプリペイド型のタッチ決済機能で、この仕組みであれば、現金志向の強い方にも抵抗なくご利用いただけるのではないかと考えました。

チャージは、1日10万円、1カ月100万円が上限。金額指定・特定日指定によるオートチャージも可能です。チャージさえしておけば、24時間365日、いつでも使用できます。ちなみに、同じキャッシュレス決済でも、デビットカードは、休日の夜中など、基幹システムのメンテナンス時には使用できないケースがありますが、プリペイド型にはそういった心配がありません。ここは、今回の新機能開発においてこだわった一つのポイントでして、利便性を感じていただけるのではないかと思います。

宮居:そこは私も全く同感で、なるほどと思いました。プリペイド型は、不正利用の不安を解消すると同時に、使い過ぎの防止にもなります。また、口座の残高や使った金額を常にスマホで確認できるので、お金の管理を強化することができると思いますね。

島山:セキュリティについては二段階認証や1口座に対して1台のスマートフォンのみ登録が可能といった「安心・安全」な対策を行っていますが、キャッシュレスの進展に伴い、不正取引の手口も巧妙化してくることから、さらなる強化を進めています。

横浜銀行のキャッシュレス決済「はまPay」

国内金融機関初、銀行口座とひも付くプリペイドカードをスマートフォン内で即時発行。「Apple Pay(iOSの場合)」、「おサイフケータイ(Androidの場合)」を通じ、国内100万店舗超のiD加盟店でタッチ決済(非接触IC決済)ができる。オートチャージ(金額指定・特定日指定)も可能。また、決済利用金額の0.25%がチャージ残高に還元される。先行して提供していたQRコード決済も引き続き利用可能。2つの決済サービスを1つのアプリで提供できるのも国内金融機関初。

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