日経ビジネス電子版 Special
日経ビジネス電子版 Special 日経ビジネス電子版
M&Aを検討する中小企業者必見!

買い手は上限200万円、
売り手は上限650万円の支援
「経営資源引継ぎ補助金」
の申請締切迫る

中小企業庁による事業承継支援策

中小企業の事業承継支援策として新設された「経営資源引継ぎ補助金」は、新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策のひとつだ。補助限度額は買い手が200万円、売り手が650万円(廃業費用を活用しない場合は200万円)とされている。この補助金に関して、中小企業庁および経営資源引継ぎ補助金事務局担当者に概要を聞いた。

「経営資源引継ぎ補助金」とは?

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー マネージングディレクター 熊谷 元裕 / CSO CTO パートナー 前田 善宏

 昨今では親族間の事業承継が減少傾向にあり、後継者のいない多くの中小企業は廃業を迫られています。そこで、価値ある企業を存続させる手法として注目されているのがM&Aです。M&Aを進める際にはパートナー探しや交渉、専門性が必要となる契約書作成や企業価値算定などを行う必要があり、一般的に専門家のサポートなくして進めることはできません。一方で、仲介業者やファイナンシャルアドバイザーへの着手金は規模によっては100万円を超える場合もあり、特に初期コストの高さが二の足を踏む要因となっています。「経営資源引継ぎ補助金」は、こうした費用負担を軽減する補助金であり、中小企業者の経営資源の引継ぎを促進し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。


どんな企業が対象になる?

 「我が国の経済を活性化させる事業再編・事業統合を促進する」という観点から、政策的に支援する必要が認められる中小企業・小規模事業者に限ります(図表1)。例えば、地域で愛される小売店に後継者がおらず、コロナ禍で売上も落ちてしまった場合、同業者と事業統合することにより、仕入れ効率化や販路拡大などのシナジー効果が期待されます。また、これまで培われた老舗の看板や伝統の味、技術などが引き継がれることにより、地域経済の維持・活性化にも貢献できます。これはあくまで一例ですが、地域の雇用や経済を支える事業を行う中小企業者を対象とし、定性・定量の評価項目をもとに選定を行います。


図表を拡大する

対象となる費用は?

 対象となる費用と補助金の限度額は図表2の通りです。本補助金は「①経営資源の引継ぎを促すための支援」と「②経営資源の引継ぎを実現させるための支援」に分かれており、対象期間中に引継ぎに着手する場合と、引継ぎに着手し、かつ実現する場合によって補助上限額が変わります。前述した専門家への着手金は、一般的には不成立の場合にも返還されませんが、この部分が補助金でサポートされることで、M&Aへの第一歩を踏み出しやすくなると考えられます。また、売り手支援では事業譲渡等に伴う廃業費用も対象としています。例えば複数の事業を持つ企業が、好業績の事業のみ売却し、不採算事業を清算する場合には、事業譲渡に係る専門家費用に加え、廃業に伴う費用も補助対象となります。


図表を拡大する

申請の流れ、スケジュールは?

 経営資源引継ぎ補助金事務局が窓口となって、申請受付、選考、交付などを行います(図表3)。2020年8月22日までを申請期間とし、9月中旬頃を目処に選考結果をお伝えする予定です。事業実施期間は選考結果通知後から2021年1月を見込んでおり、その後実績報告などを経て、順次補助金が交付される流れとなります。

 申請手続きに必要な書類や方法に関しては、公募要領やウェブサイトからご確認ください。不明点については、電話やウェブサイトの問合せフォームから、事務局までお問合せください。

 補助金で支援する経費には価格の妥当性が求められるなど、通常のM&A専門家選定プロセスにはない対応をお願いすることもございますが、本補助金を積極的に活用していただきたいと思います。


図表を拡大する

中小事業庁に聞く

「経営資源引継ぎ補助金」の趣旨は?

──「経営資源引継ぎ補助金」事業の目的、趣旨、狙いを教えてください。

 本補助金事業は、新型コロナウイルス感染症の影響下でも、中小企業の貴重な経営資源や、雇用・技術を次世代へ引き継いでいただくこと、地域のサプライチェーンを維持していただくことなどを狙いとしています。

 そのために、中小企業の第三者承継時の負担である、M&A専門業者・士業専門家等の活用に係る費用(仲介手数料・デューデリジェンス費用、企業概要書作成費用等)の補助を行います。

──本事業を通じて交付される補助金がどのように活用されることを期待しますか?

 中小企業庁が実施している第三者承継の相談窓口の事業引継ぎ支援センターでは、足元大幅に事業承継に関する相談件数が増加している訳ではないものの、「これまで後継者不在を真剣に考えていなかったが、前倒しで相談に来た」という相談者もいらっしゃいます。

 本補助金の活用を通じM&Aが促進され、実現することにより、地域の雇用・活力を維持していただくこと、加えて、引継ぎ後のシナジーを活かした新たな取り組みを行っていただくことにより、地域経済を牽引していただくことを期待しています。


3分でわかる!「経営資源引継ぎ補助金」とは?

経営資源引継ぎ補助金事務局

電話 :03-6629-9134
サイト:https://k-shigen.go.jp/
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00(土日祝日除く)