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創業103年/ 300人超の設計部員在籍/設計施工率90%超

入居率97%の賃貸住宅を実現カギは「提案力×技術力」

景気変動に左右されにくい賃貸住宅経営。オーダーメイドの賃貸マンションの設計・施工に強い髙松建設は、創業以来、法人・個人の顧客から絶大な信頼を得ている。コンサルティング営業による提案、自然災害リスクを軽減する構造、各地域の入居者層のニーズを取り入れた間取りや機能などのおかげで、入居率97.3%※1を実現している。その根源となるのが「提案力」と「技術力」だ。※1. 髙松エステート大阪・東京/2020年3月現在

「ここ最近はホテルや商業施設への投資が多かったのですが、新型コロナ禍によって環境が大きく変わりました。ただ、投資意欲が衰えていない企業も多く、対象となるのは賃貸マンションや物流センター、一部のオフィスビルなどです」。土地活用や賃貸マンション建設などに強い髙松建設の取締役常務執行役員の井本清司氏は、不動産市場の現状についてこう話す。本業の業績が厳しい企業も、事業の第二の柱として土地活用や土地購入に関心が向いているという。

大阪に本社を置く髙松建設は、2017年に創業100周年を迎えた歴史ある企業。1983年に東京支店(現・東京本店)を開設し、現在は大阪と東京にそれぞれ本店を構えている。同社が得意とするのは、法人・個人が所有あるいは購入する土地を活用して、顧客のニーズに応じて企画提案、設計・施工・管理までをワンストップで請け負う業務だ。

賃貸マンションや店舗、RC戸建て住宅、オフィスビル、工場、物流センター、ホテルなど、手掛けた実績は幅広い。中でも賃貸マンション経営においては、多くの顧客から厚い信頼を集めている。

髙松建設が手掛けた賃貸マンションの施工例。 左)名古屋の中心市街地から離れた低層住宅地に位置する物件。1階に住戸専用トランクルームを設置するとともに、2階、3階の角部屋のバルコニー側の柱部分にも収納スペースを作った。収納量を充実させることで差別化を図っている。 中央)大阪のベッドタウンである吹田駅前の商店街の一角に建つ、個性的な外観デザインの物件。駅前では希少な子育て世代向けの間取りにしたことで人気物件となり、商店街を含めて活気あふれる街づくりに貢献している。 右)練馬区の元ゴルフ練習場だった広い敷地と立地を生かした、DINKS・ファミリー向けのゆとりある物件。中庭が好評で、募集からわずか2週間で満室となった

設計部員が社内に300人以上
高い設計施工率が高い入居率に

井本氏は「賃貸マンション経営は景気に強い」と語る。「バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など未曽有の混乱を振り返ると、株価などと比べて家賃の変動は少ないんです。特に三大都市圏は空室率が低く、都心部の入居率は安定しています。当社グループが管理する物件の入居率は97.3%に達します」。新しい物件だけでなく、中には築30年経過した物件もあるというから驚く。

髙松建設が顧客から信頼を得ているのは、単に建物を建てるのではなく、コンサルティングから企画提案、設計、施工、管理・メンテナンスまでワンストップでサービスを提供することで関係を構築するからだ。また入居率が高いのは、「徹底したマーケットリサーチで入居者層のニーズに合致した物件コンセプトをオーナーに提案しているから」(井本氏)である。

これこそが同社の真骨頂である「C&C」だ。営業担当はほとんど転勤のないエリア採用で、地域の市場特性を熟知している。オーナーの要望を取り入れつつ、入居者を集めやすい、かつ長く住んでもらえるようなデザインや間取り、機能・設備などを企画に落とし込む。「営業担当にはファイナンシャルプランナーの資格取得を推進しており、将来を見据えた事業計画を立案します。デザインの見栄えだけでなく、事業化に根拠を持たせるわけです」(井本氏)。これが同社のコンサルティング営業だ。

こうした「提案力」と対になるのが「技術力」である。髙松建設は設計もしくは施工のどちらかを請け負うのではなく、セットの請負が多い。これまで手掛けた物件の設計施工率は、実に91.85%に上る(2012~19年)。社内には設計部員が335人、国家資格保持者では1級建築士が218人、1級建築施工管理技士が345人在籍しており、技術の高さとともに、営業~設計~施工のスムーズな連携や意思疎通が大きな武器となっている。

髙松建設の優位性は数多い

ハード面では構造へのこだわりが強い。「当社は、建築基準法の定める耐震性能の1.15倍※2で設計・施工しています。震度6強の地震で損傷を防ぎ、震度7程度の地震でも倒壊しない頑丈な建物を目指しています。例えば、阪神・淡路大震災では、震度6~7の激震区域内にあった当社施工物件108棟において、崩壊や倒壊の被害はゼロでした」と、井本氏は胸を張る。※2.鉄筋コンクリートラーメン構造に限る。鉄骨造、鉄筋コンクリート壁式構造は除く

10階建て程度を想定して構造計算した1階部分の柱の形状

グループの総合力を生かして
オーナーと入居者の満足度アップ

当初の事業計画どおりに賃貸収益が上がるためには、入居が継続していかなければならない。そのため、建設後もクレームや改善点に謙虚に向き合い、運営やメンテナンスも徹底し、常に品質向上や顧客満足度アップに努めている。

「お客様に幸せをもたらし、お客様の事業を成功に導くためにも、建てた後からのお付き合いも大切にしています」(井本氏)。大手企業の顧客も少なくないのは、創業以来、一つひとつの依頼・要望に対して真摯に取り組んできたことで、高い評価と信頼を獲得してきたからだろう。

一方、入居率を高く維持するためには、入居者の満足度も上げなければならない。最近はソフト面に対する要望が増えていることから、髙松エステートでは近くコンシェルジュサービスを始める予定だ。

「家具のリースや家電などのレンタル、室内清掃、不要品の買い取りなど、外部の事業者と提携してリーズナブルに入居者に提供していきます。クレジットカード会社とも提携し、利用ごとにポイントがたまる仕組みも導入します。もちろん、オーナーが金銭的負担をすることはありません」。井本氏は入居率アップのための新しい取り組みについてこう話す。

三大都市圏では最近、同社が土地購入から企画・設計、施工した建物、つまり完成物件を求める顧客が増えてきたという。「より短期に事業化して収益を上げたい」というニーズが顕著になっており、2年前に専門部署を立ち上げた。

髙松建設グループによるサポート体制

「今後、当社の両輪である提案力と技術力に磨きをかけ、オーナーや入居者に寄り添っていきます。コンサルティングから設計・施工、管理・賃貸仲介、改修・メンテナンスに至るワンストップの総合力を、髙松建設のグループシナジーを生かしてさらに高めていくつもりです」(井本氏)

  • アフターコロナの安定した収益基盤として土地活用・賃貸経営が再注目