日経ビジネス電子版 Special
日経ビジネス電子版 Special 日経ビジネス電子版

新型コロナウイルスの影響により多くの企業がテレワークへとシフトした。しかし、急きょ導入することになったため、十分な準備が行えず、様々な課題が顕在化しているケースも少なくない。通信環境の問題、ITガバナンス機能の低下やセキュリティリスクの拡大、情報共有やコミュニケーションの問題、端末のスペック低下による生産性低下などはその一例だ。生産性を高めるテレワーク環境の整備をはじめ、「ニューノーマル」な働き方はどうあるべきなのか。本セミナーではこのヒントを探るべく、コロナ禍で導入されたテレワークの課題解決策、成功企業の事例、ソリューション紹介など様々な視点からの講演が行われた。ここではその内容を紹介したい。
基調講演
株式会社クロスリバー 代表 株式会社キャスター 事業責任者 越川 慎司氏
テレワークの導入に
成功した企業が
実践している
7つのルール」とは
株式会社クロスリバー 代表
株式会社キャスター 事業責任者
越川 慎司
 Withコロナの時代、もはやテレワークは避けて通れない働き方となった。これから企業が目指すべきことは、テレワークという手段を前提に「会社が成長すること、そして社員を幸せにすること」だとクロスリバーの越川 慎司氏は語る。

 これまで623社のテレワークを支援してきた同社は、導入に成功した企業が実践している要素を「7つのルール」として抽出。それを失敗企業に適用したところ91%が軌道修正できたことから、「再現性のあるルール」だと太鼓判を押す。

 「最も重要なのが『①雑談で心理的安全性を確保する』こと。上司や部下、チームメンバーと腹を割って話せる関係性は雑談で深められます。そこで会議の冒頭2分間は必ず雑談を入れてください。お勧めのテーマは皆が興味のある飲み物と食べ物。例えばランチに何を食べたか画像もアップすると話が膨らみ、互いの心理的安全性が確保できます」(越川氏)

 「②業務の見せる化を浸透させる」こともポイントだ。在宅勤務でサボる人の94%がオフィスでもサボるというデータがある。「つまり、サボる・サボらないは場所の問題ではなく責任と評価の問題。そこで社員の行動目標やゴールを明確化し、業務の進捗を自ら見せていく姿勢を徹底することが大事です」と越川氏は話す。

 その進捗状況をメンバーに見せていく上で重要なのが「③情報の透明性」だ。そのためテレワーク中は「予定表を共有」「フィードフォワード(進捗20%でフィードバック得る)」「資料はクラウドに保存」「個別チャットを避けグループチャット」という4つのルールを徹底することが大切だという。

 情報共有とともに必要なのが「④感情共有」だ。オンライン会議中は「いいね」「888888(パチパチパチ=拍手)」などで相手と感情を共有。「今ちょっといいですか」と話しかけられる関係性を構築し「⑤孤立化を防ぐ声がけ」ができるようにする。またテレワーク疲れは特に目と腰に来る。そこで画面にペットを登場させて相手の目を和ませたり、フィットネスの動画を共有しながら皆で体を動かしたりするなど「⑥ファン要素を入れる」ことも重要だという。

 「最後に、テレワークでの業務はメリハリがつかず労働時間が延びる傾向にあります。そこで「⑦長時間労働を抑制する時間管理術」として、金曜に15分だけを振り返る時間を設け、無駄な会議を減らしていきましょう。この7つのルールの中からまずは1つでも試していただければ必ず成果が出ます」と越川氏は講演を結んだ。
特別講演
武田薬品工業株式会社 グローバルHR ジャパンアドミニストレーション ワークスタイル・イノベーション ヘッド 久司 美穂氏
テレワークを成果に
結び付けるために
武田薬品が実践している
取り組みとは
武田薬品工業株式会社
グローバルHR
ジャパンアドミニストレーション
ワークスタイル・イノベーション ヘッド
久司 美穂
 武田薬品は、ダイバーシティ&インクルージョンの重点項目の1つとして2016年5月から「フレキシブルワーク」と名付けたワークスタイル変革に取り組んでいる。2008年に、主に時差のある海外拠点とコミュニケーションを取る従業員を対象として在宅勤務制度とフレックスタイム制度を導入。2016年には在宅勤務制度の条件を撤廃した。

 2018年8月には、さらにフレキシブルな働き方を実現するために1日の最低勤務時間を廃止したり、半日休暇取得日もフレックス勤務を可能にしたりするなどの施策を実行。併せて、在宅勤務制度をテレワーク勤務制度に変更し、一定の要件を満たせば自宅以外での勤務を可能にした。同社の久司 美穂氏は、フレキシブルワークの目的を「チームも個人も最大限のパフォーマンスを発揮できる職場環境を整備することと、一人ひとりがパフォーマンスを発揮できる最適な働き方を探求することです」と説明する。

 コロナ禍の2月17日以降は、日本のMR(医薬情報担当者)を含め可能な限り在宅勤務を要請。約9割が在宅勤務で仕事を進めたという。3月7日には、約5万人の従業員を対象としたグローバル規模での在宅勤務を実施している。

 「テレワークで成果を出すためには、上司と部下の信頼関係がとても大切です」と久司氏は指摘する。同社では、上司と部下の間の対話の頻度と質を高めるために「クオリティカンバセーション」という取り組みを行っている。この取り組みでは、上司と部下が年間を通じて目標と優先順位、育成プランについて話し合う。

 期初に話し合いの場を持つだけではない。プロジェクトやイベントが完了したときや、上司または部下が何か気になったときなど、継続的・日常的に振り返りやフィードバックを行う。目標設定や優先順位の更新、必要なサポートの内容を確認していくことも大きな特徴だ。この場で、モチベーションの源泉についても話し合うという。久司氏は、この取り組みを「プロセスではなく人にフォーカスすることで、一人ひとりの行動を結果に結び付けることに大きく役立っています」と語る。

 現在多くの企業がテレワークに取り組んでいる。しかし同社のように長期的に取り組んできた企業は、感染対策だけでなく、生産性や働きやすさの向上といった価値にその軸足を置いている。今後テレワークの定着を検討する企業にとっては示唆に富んだ取り組みだといえるだろう。
富士通
富士通
新型コロナウイルスが
作り出した新常識
ニューノーマル時代、
働き方改革の実践法とは
日鉄ソリューションズ
日鉄ソリューションズ
紙とハンコを劇的に減らして
業務の生産性を飛躍的に高めるには
インフォマート
インフォマート
経理部門でもテレワークが可能に!
請求業務を革新する
「新しい働き方のノウハウ」とは