日経ビジネス電子版 Special
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新型コロナウイルスの影響により多くの企業がテレワークへとシフトした。しかし、急きょ導入することになったため、十分な準備が行えず、様々な課題が顕在化しているケースも少なくない。通信環境の問題、ITガバナンス機能の低下やセキュリティリスクの拡大、情報共有やコミュニケーションの問題、端末のスペック低下による生産性低下などはその一例だ。生産性を高めるテレワーク環境の整備をはじめ、「ニューノーマル」な働き方はどうあるべきなのか。本セミナーではこのヒントを探るべく、コロナ禍で導入されたテレワークの課題解決策、成功企業の事例、ソリューション紹介など様々な視点からの講演が行われた。ここではその内容を紹介したい。
基調講演
GMOインターネット株式会社 取締役 兼 グループコミュニケーション部部長 福井 敦子氏
withコロナ時代”における
最適なビジネス環境を
整備する
GMOインターネット株式会社
取締役 兼 グループコミュニケーション部部長
福井 敦子
 連結102社・約6000人の従業員からなるGMOインターネットグループは、2020年1月に国内初の新型コロナ感染症患者が確認されると同時に緊急対策本部を開設。他社に先駆けて在宅勤務体制を確立した。

 これが実現できた背景には、2011年の東日本大震災以降、常に継続してきたBCPの取り組みがある。「『人命確保』『サービス継続』『社会貢献』の優先順位で様々な施策を実施してきました。今回の事態においても、多様なコミュニケーションツールを活用することで、速やかなテレワーク対応を進めることができています」とGMOインターネットの福井 敦子氏は振り返る。

 在宅勤務体制構築のポイントは次のようなものだ。例えば、書類への押印業務がテレワークの妨げになりがちな事務・管理部門や、出社しなければ使えない専用システムがネックになるコールセンターなどのデジタル化を推進。具体的には、グループ会社が提供する電子契約サービスや自社開発のクラウドサービスなどの活用によって障壁を取り除いたという。同時に、入社式や株主総会などのオンライン化も進めた。

 また、コロナ禍は短期間では終息しないと判断したGMOインターネットグループは、緊急事態宣言解除後も、出社する従業員数を平時の50%に制限。テレワークと出社を組み合わせた働き方をいち早く定着させている。「在宅勤務では雑談などの非公式コミュニケーションが減り、チームビルディングが難しくなるという懸念がありました。そこで、テレワークと出社を半々にすることで、感染リスクを抑えつつ社内コミュニケーションを活性化しようと考えたのです」と福井氏。狙い通りの効果が出ているという。

 さらに、在宅勤務時の生産性を高めるための従業員サポートも展開。疲れにくい椅子やモニターの購入費、自宅の光熱費の補助、ベビーシッターサービスの開始など、様々な支援策の導入に向けて、目下準備を進めているという。「在宅勤務環境の改善を積極的に図ることは、テレワークが常態化する時代の企業の責務です」と福井氏は最後に語った。
特別講演
慶應義塾大学 総合政策学部・教授 島津 明人氏
コロナ禍とその先を
見据えて考える
ウェルビーイング」の
実現方法
慶應義塾大学
総合政策学部・教授
島津 明人
 在宅勤務が長期化する中、組織への帰属感や安心感を保つことが難しくなったり、孤独感を感じたりする従業員は少なくない。コロナ禍による急激な働き方の変化は「ウェルビーイング(個人や組織の健康)」に大きな影響を及ぼしている。「職場の役割を問い直し、非対面の働き方におけるウェルビーイングを考える必要性が高まっています」と慶應義塾大学の島津 明人氏は指摘する。

 大切なのは「親和性」「自律性」「有能性」という人間が持つ3つの欲求を充足させることだという。

 親和性とは「人とかかわり合いたい」という思いのことだ。これを満たすことがメンタルヘルス向上の1つのポイントになる。「しかし、現在はリアルに人とかかわり合うことが難しくなっています。そこで、親和性と社会的・心理的距離のバランスをうまくとることが、これからのウェルビーイングを実現するカギになります」と島津氏は言う。

 具体的に、1日1回は電話会議やWeb会議ツールによるコミュニケーションの機会を持つ、電話での会話を推奨するといったことが解決策になる。加えて、昼休みは自宅周辺を軽く散歩するといった「気晴らし」を積極的に行うことも重要性を増しているという。

 次の自律性は、自分の意思や判断で物事を決めること。読んで字のごとく、自らを律することで満たされる。在宅勤務でも起床時刻を一定に保ったり、身だしなみを整えたりすることが効果的だ。

 そして最後の有能性は、仕事で力や能力を存分に発揮し、他者に認められたいという思いのことである。これについては、手の届く範囲で達成感を得ることが大事になる。「在宅勤務の限界を理解し、適切な目標設定をする。同時に、所属するチーム内でも在宅勤務で成果を上げるための方法を常に考え、実行していくことが大切です。つまり、管理者側の意識の変化が必要な領域といえるでしょう」と島津氏は強調する。

 健康で活き活きと働く従業員が、組織の健全な成長を牽引する。ウェルビーイングの実現は、ニューノーマル時代の重要な経営課題の1つとなるはずだ。
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