ゴミ削減はトップの意志と仕組みづくり
環境への社会的責任に取り組むロイヤルホールディングス

プラスチックの海洋への流出や投棄で、海岸に大量のプラスチックゴミが打ち上げられたり、動物が飲み込んで傷ついたりといった出来事が報道され、“脱プラスチック”の動きが世界中で加速している。例えば、飲食店ではプラスチック製ストローを、小売店ではビニール袋を廃止する方針を打ち出すところが増えている。そんななか、ロイヤルホールディングスは計画より1年も前倒しでプラスチック製ストローの廃止を実現した。そこには、早くからトップが食品ロス問題に責任を持つと同時に、従業員の環境への意識を醸成する仕組みがある。

石油から作られるプラスチック製ストローを廃止し、2020年中に直営全店は自然分解される植物由来の生分解性ストローに置き換える――。

ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」やステーキ店「カウボーイ家族」、ビジネスホテル「リッチモンドホテル」などを展開するロイヤルホールディングスは、2018年11月中旬から直営の9店舗でストローの切り替えを開始した。以後、2020年までに順次、直営店で生分解性ストローを導入していく計画だった。

ところが、すぐに現場から本部に「うちの店舗でも取り入れたい」という要請が届き始めた。ロイヤルホールディングスは計画を見直し、生分解性ストローの導入時期を早めた。この結果、当初の予定より1年の前倒しとなる2019年10月に、石油から成るプラスチック製ストローの廃止が直営全店で実現した。

「地球環境に対する世の中の意識が急速に高まっていると強く感じます」。ロイヤルホールディングスでCSR(企業の社会的責任)の活動を担当する成田鉄政・CSR推進部長は、こう話す。そこには、企業と消費者双方の変化がある。

企業では、生分解性ストローの利用が一気に広がった。このため、大量生産によるコスト削減効果が生まれ、石油のプラスチック製ストローとの価格差が10倍ほどから約4倍へと大きく縮まった。消費者も、ストローを必ずしも必要としなかった。ロイヤルホールディングスでは生分解性ストローへの置き換えと同時に、お客からストローを要求されたら提供する形に変更した。すると、ストローの使用量が4分の1以下に減ったのだ。

価格が4倍になっても、利用数が4分の1になったので、コスト面の負担は想定よりも増えなかった。「コストがかからなかった分については、今後、海洋のクリーンアップ活動などといった形で還元するつもりです」(成田部長)。

CSRの推進部署を立ち上げる

ロイヤルホールディングスが、「持続性ある取り組み活動を推進する」「CSR活動を定着させる」「具体的な活動を展開する」と掲げ、社長直轄のCSR推進部を新設したのは2018年3月のことだ。その責任者として、リッチモンドホテルを展開するアールエヌティーホテルズ社長などを務めた経験を持つ成田氏に白羽の矢が立った。

成田 鉄政(なりた・てつまさ)
ロイヤルホールディングスCSR推進部長兼お客様相談室長。1959 年、北海道生まれ。1982 年にロイヤルホールディングスに入社。ロイヤルホストの店長やリッチモンドホテルの支配人などを経て、2011年にリッチモンドホテルを展開するアールエヌティーホテルズ社長に就任。2018年3月から現職。

写真:菊池一郎

最初に成田部長が仕掛けた試みが「産地を知ろう活動」だ。「ロイヤルホールディングスが運営する店舗のために、米や野菜を作っている生産者の方々がいらっしゃいます。そこで、社員が生産者と収穫体験などを通じて交流する場を設けようと考えました。生産者の思いや苦労を知れば、料理やサービスの在り方や食材の取り扱い方も変わってくるはず。我々が目指す『日本で一番質の高い食&ホスピタリティグループ』に近づけると思いました」と、成田部長は狙いを説明する。

2019年度は北海道の田植えや佐賀県のタマネギ収穫など6回実施し、延べ230人が参加した。2020年度は新たな産地を加えて7回に増やし、延べ250人の参加を見込んでいる。

社員の意識は確実に変化している。例えば、食材のロスについて。「ロイヤルホスト」のビーフジャワカレーは、セントラルキッチンで下ごしらえし、冷凍パックの状態で店舗に届く。これをコックが鍋で最終調理して、お客に提供している。生産者と交流体験したコックは、冷凍パックされたカレーを最後の一滴までしっかりとしぼり取るようになったという。

「産地を知ると、食材をムダにできないという思いが芽生えます。その結果、料理はおいしくなり、ゴミも減りました。さらに、生産者との交流体験を周りにも伝えますから、食材をムダにしない意識がどんどん広がっていきます」(成田部長)。

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