日経ビジネス電子版Special

進む「デジタル・プラットフォーマー規制」 自主規制と対話で構築するガバナンス・イノベーションを

透明性向上への
自主的取り組み

 ──一方で、プラットフォーム事業者に対する規律を巡る議論が活発ですが、御社として透明性向上への取り組みはいかがですか。

小堀 デジタル広告市場には一定のルールが必要であり、そのプラットフォームを提供する事業者には利用者、広告主双方へ透明性を確保する責任が求められています。当社では広告主には広告ポリシー、審査プロセス、データの使用制限などを明確に提示し、効果測定やコスト管理のための広告マネージャを提供。利用者に対してはデータの利用方法などを明確にしたデータポリシーを刷新し、プライバシーや広告設定ができるツールを新設するなど管理機能の改善も進めています。

 なるほど。利用者自身の希望に沿ったプライバシー設定ができるわけですか。

進む規制議論
その意義と懸念点

岸 氏
慶應義塾大学大学院教授
岸 博幸
1986年通商産業省(現経済産業省)に入省し、産業政策、IT政策、通商政策、エネルギー政策などを担当。経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を歴任。現在エイベックス顧問、ポリシーウォッチ・ジャパン取締役などを兼任。

──欧米での動きを受け、日本でも「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」が成立しました。内容についてお考えをお聞かせください。

 ECやアプリストアを運営するプラットフォーマーと出店者の取引関係の透明化、運営の公平性の確保、個人データの保護など、謳われている内容は至極真っ当ですが、本来、こうした問題は独占禁止法を適用するべきもの。ECの契約条件の明示義務などは過剰介入で、事後規制の独禁法に加え事前規制を課すやり方はイノベーションの担い手であるデジタル市場の成長を阻害しかねないと懸念を覚えます。小堀さんはどうお考えですか。

小堀 透明・公正な取引は大前提として当社でも強く推進してきました。ルール設定にはデジタル市場の実態を踏まえ、企業の成長、革新を妨げないための対話が必要だと考えます。当社CEOマーク・ザッカ―バーグは政府関係者などと議論をした上で規制を定める「スマートレギュレーション」を推進すべきと常々発言していますが、政府と民間で協調して規律を達成する「ガバナンス・イノベーション」が、日本でも求められていると考えます。

 それが正しいですよね。法には現実を踏まえたグランドデザインが欠かせない。政府には幅広い対話を求めたいです。

大きく変化する「現実」と
高まるSNSの役割

 今後生活のデジタルシフトは益々加速し、リモートワークの拡大によって自由時間を得ると「価値あるコミュニティ」を求める人が増えるはずです。これに対し、企業、自治体は「ファン」を離さない「スター」を輩出できるかが鍵です。それには御社のようなデジタル企業の果たす役割もさらに拡大していくのではないでしょうか。

小堀 今後もデジタル・プラットフォームを提供する事業者としての責任を果たしつつ、日本の課題や成長の機会に向き合い、イノベーションをサポートしてまいります。