設立初年度売上高1.7億円から
2年6ヶ月で35.6億円を達成

畑野 幸治

畑野はたの 幸治こうじ

株式会社FUNDBOOK 代表取締役CEO

東京都生まれ。大学在学中よりインターネット広告事業を手がけ、2007年4月に株式会社MicroSolutionsを設立して代表取締役に就任。2011年9月に株式会社BuySellTechnologiesが現在運営す るネット型リユース事業を創業。2017年9月に保有していた同社の株式を株式会社ミダスキャピタルへ譲渡した。2017年8月、同社で立ち上げたM&A仲介事業をスピンアウトして株式会社FUNDBOOKを設立し、代表取締役CEOに就任。設立3期(2020年3月期)にして35.6億円の売上高を達成する。

2020年3月期の決算では、3期目にして売上高35.6億円に到達しました。強烈な印象を受けますが、急成長の要因についてお聞かせください。

まず背景として日本のビジネスにおいてM&Aが持っていたハゲタカファンドのようなイメージが改められ、企業価値を高める手法としてM&Aが選択されているという点があります。例えば創業間もないベンチャーが「より豊かな資本の元で商品開発をするため」に大企業の傘下入りするなど、前向きな考えでM&Aを選択する事例も増えています。また経営者の高齢化や125万社と言われる後継者不在企業の事業承継問題を解決する手段としてもM&Aが求められています。

では「M&Aをしたい」というニーズに対して、誰が成功まで導くのか?経営者はM&Aを顧問弁護士や会計士、地元金融機関の担当者などに相談する方が多いですが、彼らもM&Aの専門家ではないので、なかなかうまく進みません。そもそも地域に同業の譲受企業※の数が少ない、情報が入ってこないというケースもあります。地方都市の製造業が譲渡を考えている場合、同じ地域の製造業が手を挙げなければ、結局譲受企業が見つからず、時間切れで廃業ということも珍しくありません。

そこでM&Aの仲介会社に頼ることになりますが、従来型のM&A仲介は、案件の開拓から成約に至るまで、基本的にはアドバイザーの力に依存するところが大きくなります。ここで第一の問題になるのが、そもそもアドバイザーがどれだけの譲受企業の候補を持っているのか?という点です。人によっては10社だったり、50社だったりするでしょう。100社の候補があったとして、1件ずつ担当者に対し、コンプライアンスに則って打診を行う、というのはとても負荷がかかり、時間も要します。運よく譲受企業が現れたとして、譲渡企業と共に検討、交渉、最終契約に至るまでスムーズに進捗するかは、アドバイザーの力量に頼るところが大きくなります。このような属人的なM&AがこれまでのM&A仲介のあり方でした。

このように人間がマッチングを行うには限界があり、その問題点を解決するため、オンライン型でM&Aのマッチングを行うサービスも出てきています。こうしたサービスでは、譲渡企業が自身で企業情報や条件をサイト上に掲載、譲受企業は自由に閲覧が可能です。しかし掲載情報の信ぴょう性や譲受企業の実態が把握できないなど、マッチングが困難になるケース、マッチング後の交渉フェーズで破談になってしまうケースも少なくありません。

FUNDBOOKではこれらの問題を解決する答えとして、アドバイザーの仕事を分業化することでM&Aの複雑なプロセスを効率的に進める仕組みをつくり、さらに専用のWEB上のプラットフォームで信頼できる情報のみを公開。双方にとって理想的なM&Aをスピーディーに実現できるシステムを構築しました。需要の高まりだけではなく、この2つの融合によるビジネスモデルが設立時から徐々に成長を遂げ、2年半で35.6億円の売上高となりました。未上場かつ3期で35億円を達成したM&A仲介企業はこれまでに存在しないでしょう。

FUNDBOOKの業績推移

FUNDBOOKの業績推移
2017年8月の会社設立から3期で売上高35億円に到達

この数字は、私がこの事業においてもっとも大切にしているカスタマーサクセスが実を結んだ結果であるとも言えます。M&Aを決断されるオーナー様だけでなく、従業員の皆さんやそのご家族に至るまで、M&Aに関わるすべての方が幸せになるべきという価値観に基づき、これまでにないM&A仲介モデルを創出しました。

FUNDBOOKの構想や私のM&A仲介事業にかける想いに賛同して入社してくれるメンバーも増え、それがこの成長に繋がったのだと思います。異業種から未経験で入社して活躍しているメンバーもいますし、2020年4月には新卒社員を51名迎え、現在は総員219名になりました。セールスイネーブルメント専門の組織があり、短期間でプレイヤーを育てられることもFUNDBOOKの強みです。設立1期、2期で人材や組織づくりに投資し、3期でようやくFUNDBOOK独自のモデルが機能してきました。とは言え、これがゴールではなく、継続的な成長を実現するためにまだまだ組織構築や環境整備に取り組んでいくつもりです。

譲受企業=買収を検討している企業、譲渡企業=売却を検討している企業

属人的な手法に陥りがちなM&A
FUNDBOOKは6部門で連携

FUNDBOOKのM&A仲介モデルと、従来型の属人的なM&A仲介との違いについて、もう少し詳しくお聞かせください。

大きな違いのひとつは、譲渡企業、譲受企業のマッチングにプラットフォームを活用している点です。従来型のM&A仲介では、譲渡を検討している企業はアドバイザーに譲受企業を探してもらうことになります。この時、担当者が1件ずつ「こういう会社が売りに出ています。買いませんか?」と当たっていきます。これは非効率であり、担当者が抱える打診先も限られてしまうのは先ほどお伝えした通りです。

FUNDBOOKのプラットフォーム上では、譲渡企業が全国4,000社の譲受候補企業へ一斉に打診することが可能です。また、掲載情報は弊社の専門チームが作成するので、結果として膨大な数のオファーが得られ、合理的なマッチングができます。

もうひとつの違いが、従来型のM&Aではアドバイザーが基本的に一人で行ってきた、ソーシング、マッチング、エグゼキューション、法務・税務・財務等のM&Aにおけるコア業務のフォローといった一連のプロセスにチームで取り組む特化型分業戦略です。

FUNDBOOKのプラットフォーム戦略

全国・全業種の候補企業とスピーディーかつ
透明性の高いマッチングを実現

  • 譲渡企業は約4,000社の候補企業とのマッチングが可能
  • 通常半年~1年かかるM&Aのリードタイムを大幅に短縮
  • 経験豊富なアドバイザーすら想像できないエリア・業種を超えたマッチング
FUNDBOOKのプラットフォーム戦略

特化型分業戦略について具体的に教えてください。

FUNDBOOKのM&A仲介サービスは計6部門で連携しています。まず、潜在顧客の獲得を「マーケティングチーム」が行い、顕在顧客から商談の獲得を「セールスディベロップメントチーム」というインサイドセールスに特化した部署が行います。次いで会社を譲渡したいという企業を担当する「エグゼキューションチーム」が案件化し、マッチングは「プラットフォーム」で行います。譲受候補企業への打診や条件調整を「カバレッジチーム」、企業価値評価や各種資料の作成、コア業務のフォローを「セールスアナリティクスチーム」が担当します。この分業体制により、フィールドセールスが顧客と関われる量が各段に違ってくるのです。アドバイザーは顧客を成功へと導くための経営相談や戦略づくりなどに存分に時間を使えます。

プラットフォームによってマッチングの質と量を高めること、分業体制によってガバナンスをきかせつつ、効率性と専門性を高めてアドバイザーがカスタマーサクセスへの想いを最大限に生かせること。この2点が従来型のM&A仲介サービスと大きく違う点です。

FUNDBOOKのプラットフォームに掲載される情報はどのように作成されているのでしょうか?

掲載情報は、セールスアナリティクスチームがM&Aを進めるにあたってお客様にご提供いただく60品目以上の資料を精査したうえで作成するので、譲受企業がM&Aを進めるかを検討するのに十分な情報が網羅されています。

譲受企業にまず閲覧いただくのは譲渡企業が特定されない範囲の基礎情報(ノンネームシート)ですが、人気案件であれば閲覧数は500件を超えることもあります。もっと詳しく知りたいという方には、弊社アドバイザーを介して譲渡企業のオーナー様に許諾を取り、詳細な企業概要書を開示します。企業概要書には会社情報、事業の詳細、市場環境、財務データなどが集約されており、強固なサイバーセキュリティのもと情報漏洩対策にも万全を期しています。従来はペーパーやメールでやりとりされるのが一般的でしたが、弊社のプラットフォームを通すことで、人為的な情報漏洩のリスクを低減しつつスムーズに検討を進めることが可能です。

またマッチング後の交渉フェーズについてもFUNDBOOKのアドバイザーが責任を持ってサポートを行います。この点も、テクノロジーとM&Aの専門家が介在してM&Aの総合支援を行うFUNDBOOKのハイブリッドモデルの大きな特徴です。

FUNDBOOKの特化型分業戦略

M&Aのプロセスを6つの専門チームが連携して進めることで
効率性と透明性を向上させ、カスタマーサクセスを追求

  • 顧客の要望に合わせたM&A支援体制の構築
  • ブラックボックス化していた打診先や進捗状況の見える化
  • 譲渡側と譲受側のどちらにも偏らない公平公正なサービス
FUNDBOOKのプラットフォーム戦略

日本発の「M&A仲介」サービスには
ビジネスの可能性があふれる

FUNDBOOK社の可能性と、今後の展望についてお聞かせください。

M&Aについては前述の通り、経営者の高齢化と後継者不在という事業承継問題を解決する手段として活用されており、企業成長のためにM&Aを活用するという柔軟な考えを持つ経営者も増えてきました。政府も2029年頃までに年間6万件のM&Aという目標を定めていますし、今後さらにニーズは高まっていくでしょう。

事業承継の手段として、例えば医療介護(ヘルスケア)業界、ハウスメーカー業界ではM&A件数が年々増加しており、業界再編が進んでいます。一方でIT企業をはじめとする若い経営者もM&Aに前向きです。弊社では売上高の約3分の1が若手経営者によるものですし、様々な変化がM&A業界に起き始めているようです。

先日は東北地方の建築設計事務所を四国の電気設備会社が譲り受けるという、我々も想定外のマッチングが成立しました。業種の壁、エリアの壁を超えて理想的な相手と巡り合うことができるのは、FUNDBOOKのプラットフォームであればこそと言えます。このようなマッチングに限らず、まだまだ私たちにも予想できない、未知の可能性があると感じています。

足元では新型コロナウイルスの影響によりM&A市場の動向を不安視される方も多いですが、2008年のリーマンショックの際もM&Aを取りやめる企業もあれば、むしろ事業拡大や人材獲得の好機と捉える企業もありました。その点では、リセッションの影響を受けにくい事業だと思います。移動が制限されている状況においても、弊社のプラットフォームの活用により、マッチングの機会は保たれており、M&Aがもたらす可能性は今後さらに大きくなると感じています。2020年中にはこれまで以上にマッチングの質とスピードを高める新たな機能を実装する予定です。

M&A仲介は、実は日本発のサービスです。海外では、譲受企業と譲渡企業の双方にFA(フィナンシャルアドバイザリー)が付き、彼らは顧客の利益を最優先するので交渉は基本的に対立構造となります。それに対して日本の中小企業同士のM&Aは私たちのような仲介会社が間に立ち、双方が手を取り合って成功を目指すM&Aが前提となっています。日本発のM&A仲介の品質を高めたFUNDBOOKのモデルは、優れた企業の存続、成長を実現し、すべてのステークホルダーの幸福を実現できるM&A仲介の理想型であると自負しています。

将来的には海外においても、FUNDBOOKのM&A仲介サービスを展開していくことを視野に入れています。お客様の成功を積み重ねて成長を続け、グローバル企業と肩を並べられるような企業を目指します。

中小企業の存続・成長を支え、日本の社会・経済に貢献していく