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なぜお笑い芸人ゆりやんは英語が話せるのか?音・リズムから入った独自の学習アプローチ

ゆりやんレトリィバァさんといえば、堪能な英語を使ったアメリカ人のモノマネが印象的だが、実に小学校低学年のころから英語やアメリカに憧れ、独学で英語に磨きをかけてきた。芸人になり、さらに英語への思いを強くしたというゆりやんさん。新たな英語習得メソッドを提案する「GSET」のスタジオで是枝秀治代表が話を聞いた。

ゆりやん氏
ゆりやんレトリィバァ
2011年 4月 吉本養成所NSCに35期生として入学。17年 2月 第47回NHK上方漫才コンテスト 優勝、同年12月 NTV女芸人NO.1決定戦 THE W 優勝を果たし、芸人として活躍の幅を広げる。19年 6月 NBC「America`s Got Talent」に出演。インパクトの大きなパフォーマンスに加え、審査員とのやり取りで披露した流暢な英語も多くの注目を集めた。

英語への強烈なあこがれが原動力
早い段階で、“音”の重要性に気づく

 ゆりやんレトリィバァさんを一躍人気者にしたネタが、アメリカ人のモノマネだ。「いるいる」と同意しながら大笑いする一方で、コント内で披露される流暢な英語には大いに感心させられる。一体、いつから英語に親しんできたのだろう。

 「英語に興味を持ったきっかけは、中学2年生のときに観た映画『Back to the Future』です。主演のマイケル・J・フォックスがカッコよくてハマって、脳内で、マイケル→英語→ハリウッド→アメリカと段階を踏んで、いつの間にかアメリカが大好きになっていました。そうなれば、英語がしゃべりたい!と気持ちは熱くなる。教科としての英語は苦手でしたけど、英語そのものは大好きになっていました。

 そんなこともあって、中学校2年生のときには先生の勧めで英語のスピーチコンテストに出場しました。もちろんテーマは『Back to the Future』(笑)。『My favorite movie is “Back to the Future”』で始まるスピーチを作ったのですが、そのお手本をネイティブの先生がCDに焼いてくれた。それを繰り返し聞いて、とにかくマネをしました。たとえば日本人はfavoriteを『フェイバリット』と発音しますが、先生の発音は『フェ~~イブリッ』と聞こえて、最後の『t』はほとんど聞こえない。英語は文字と音が随分違うので、文字から覚えるのではなく、音から先に覚えるようにしました。あまりに何度も練習したので、今でもこのスピーチを諳んじられるほど。もう身体の一部になっています。

 また姉の持っていた洋楽のCDを片っ端から聞いていたのもこのころです。どうやったら『英語っぽく聞こえる』か試行錯誤していました」

 そんな英語の音マネの積み重ねを、思いもしないタイミングで披露することになる。

 芸人になり、とある番組で1分間のネタをやることになったのだが、当日になってもアイデアが出ない。そんなときふと頭をよぎったのが「My favorite movie is “Back to the Future”」だった。

 「そこからアカデミー賞授賞式のモノマネを思いついたんです。感極まって、何か言いたげなのに言わない、そんな女優さんいるでしょ。あのシーンを演じれば、40~50秒くらい黙ってても変じゃないし、やってみたら会場のお客さんの反応やスタッフさんの評判もよかった。そこでハタと気づいたんです。『なんだ、好きなコト、得意なコトが笑いになるんだな』って。それまではどこかで『芸人なら突飛なことをしなきゃいけない』って思い込んでいたんです」

 そこからの活躍は多くの人が知るところだろう。中学2年生のときに生まれた「英語好きの学生・ゆりやん」が「芸人・ゆりやんレトリィバァ」の進む道を決めてくれたのである。