ESG/SDGsビジョン 株式会社 日立産機システム 植物の恵みがもたらす環境と経済性の調和

ESG/SDGsビジョン 株式会社 日立産機システム 植物の恵みがもたらす環境と経済性の調和

高層ビルや工場、データセンターなどの電力供給を支える変圧器。
バブル期に建設されたこれらの多くで、その更改が始まる。
ESG(環境・社会・統治)視点を取り入れた設備投資が求められる中、
配電用変圧器にも新たな選択肢が生まれた。

高層ビルや工場、データセンターなどの電力供給を支える変圧器。バブル期に建設されたこれらの多くで、その更改が始まる。ESG(環境・社会・統治)視点を取り入れた設備投資が求められる中、配電用変圧器にも新たな選択肢が生まれた。

変圧器の省エネ性能を追求
アモルファス変圧器

日立産機システムが、アモルファス変圧器を一般産業向けに発売したのは1997年のこと。規則的な結晶構造を持たないアモルファス合金は強くてしなやか、さびにくく、磁気特性に優れ、防犯センサーのタグ、電子部品などに利用されている。

アモルファス変圧器は、鉄心にアモルファス合金を採用することで待機電力(無負荷損)を大幅に低減。圧倒的な省エネ性能で、業界をリードしてきた。変圧器設計部 主任技師 篠原誠氏は、「当時、小型軽量化の市場ニーズに対し日立が新たに省エネルギーという価値を加え、変圧器の省エネ市場を開拓してきました」と説明する。折しも1997年は、国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択された年でもあった。

製造工程も省エネを極める。アモルファス変圧器を生産する中条事業所は、1974年の開設以来自社製品を中心に省エネに取り組み、その中で生まれたアイデアが製品に結実するというサイクルを繰り返し成果につなげている。エネルギー管理優良工場にも2度選ばれている※1

アモルファス変圧器は発売から改良を続け、「Superアモルファス変圧器」が2000年に、「SuperアモルファスXSHシリーズ」が2013年にそれぞれ省エネ大賞を受賞※2し、省エネ性能が高く評価されてきた。一方、課題もあった。アモルファス変圧器は特性上、どうしてもボディーが若干大きくなってしまうのだ。加えてお客さまの導入コストもやや高価となる。しかし、その高い省エネ性能を強みにしてお客さまニーズに合わせた提案で市場を切り開いてきた。

株式会社 日立産機システム 篠原誠氏

日立産機システム 変圧器設計部 主任技師。Superアモルファス奏シリーズの設計を担当

日立産機システムが、アモルファス変圧器を一般産業向けに発売したのは1997年のこと。規則的な結晶構造を持たないアモルファス合金は強くてしなやか、さびにくく、磁気特性に優れ、防犯センサーのタグ、電子部品などに利用されている。

アモルファス変圧器は、鉄心にアモルファス合金を採用することで待機電力(無負荷損)を大幅に低減。圧倒的な省エネ性能で、業界をリードしてきた。変圧器設計部 主任技師 篠原誠氏は、「当時、小型軽量化の市場ニーズに対し日立が新たに省エネルギーという価値を加え、変圧器の省エネ市場を開拓してきました」と説明する。折しも1997年は、国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で京都議定書が採択された年でもあった。

株式会社 日立産機システム 篠原誠氏

日立産機システム 変圧器設計部 主任技師。Superアモルファス奏シリーズの設計を担当

製造工程も省エネを極める。アモルファス変圧器を生産する中条事業所は、1974年の開設以来自社製品を中心に省エネに取り組み、その中で生まれたアイデアが製品に結実するというサイクルを繰り返し成果につなげている。エネルギー管理優良工場にも2度選ばれている※1

アモルファス変圧器は発売から改良を続け、「Superアモルファス変圧器」が2000年に、「SuperアモルファスXSHシリーズ」が2013年にそれぞれ省エネ大賞を受賞※2し、省エネ性能が高く評価されてきた。一方、課題もあった。アモルファス変圧器は特性上、どうしてもボディーが若干大きくなってしまうのだ。加えてお客さまの導入コストもやや高価となる。しかし、その高い省エネ性能を強みにしてお客さまニーズに合わせた提案で市場を切り開いてきた。

大豆由来のエステル油に着目
エコ、安全、小型化への挑戦

配電用変圧器市場では長らく、アモルファス変圧器=省エネ=日立産機システムと認知され、評価も高い。しかし、現在は競合企業もアモルファス変圧器をラインアップに加え、省エネ性能をアピールしてきた。そこで、省エネに加えて新たな環境性能を求め、開発に挑戦。その結実が9月に発売した新型環境調和型変圧器「Superアモルファス奏(かなで)シリーズ」である。

配電用変圧器を構成する部材の多くはリサイクルが可能で環境性能は高い。しかし絶縁油として用いられる鉱油は焼却処分される場合のCO2排出量が多く環境負荷が大きかった。そこで、再生可能資源である植物由来の素材に着目。試行錯誤の上、原料にはアメリカ大豆サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)※3に準拠した大豆によるエステル油を使用している。「生分解性による安全性(土壌汚染の抑制)、カーボンニュートラル※4(CO2削減)、引火点の高さ(消防法の対応)、そして長いスパンで持続可能な製品をめざしました」(篠原氏)。

今回採用した大豆油は生分解性が高く、万一事故や災害で漏油しても土壌や河川、海洋汚染の懸念が少ない。大豆は成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、焼却や処理をしても大気中のCO2増減に影響を与えず、カーボンニュートラルに貢献する。

また、鉱油は消防法で危険物の扱いとなる引火点が142℃だが、大豆油の引火点は320℃。熱に強く指定可燃物として扱うことができ、保管時の条件が緩和される場合がある。篠原氏は、「日本の油入変圧器は、多くが105℃までの耐熱性能です。ここにメスを入れようと奏シリーズを開発しました。規格化には時間がかかりますが、日本の規格を変えるつもりで取り組んでいます」と意気込みを語る。

大豆油の耐熱性能はコンパクト化にも寄与した。耐熱性能に優れた絶縁紙と組み合わせることで冷却機構の小型化に成功。トップランナー変圧器2014※5と比べ据え付け面積を最大18%縮小※6。リプレース対象となる高経年変圧器との比較では、31%もの縮小化※6を実現している。

省エネ性能も進化を遂げた。変圧器では電力損失をいかに減らすかが省エネ性能を大きく左右する。奏シリーズは30年前の変圧器に比べて損失電力を約半分に削減。エネルギー効率の良さが際立つ(図)。

アモルファス変圧器は、電力損失のうち受電中に常に発生しており、待機電力に相当する無負荷損が極めて少ない。リプレース対象となる1990年製の約半分に抑えている

年間損失料金の比較

アモルファス変圧器は、電力損失のうち受電中に常に発生しており、待機電力に相当する無負荷損が極めて少ない。リプレース対象となる1990年製の約半分に抑えている

開発には苦労もあった。耐熱クラスを上げると発熱により省エネ性能が落ちてしまうのだ。「課題を解決するため、冷却構造を中心に全体の設計と実測を繰り返しました。省エネを極めようとするとボディーが大きくなるので、そのバランスをとるのが大変でした」と篠原氏。

奏シリーズは、新規の設備はもちろんリプレースにも適している。とりわけ設備に使用される油の成分に気を使う食品工場や、周囲に住宅が迫り万一の汚染に配慮が必要な施設などに最適だ。最後に篠原氏は、「これからも環境負荷の軽減とエネルギー性能の追求をめざします。お客さまにはそれらを活用し、さらに優れた製品やサービスを生み出していただきたい」と締めくくった。

※1 1978年度「通商産業大臣賞」、2005年度「経済産業大臣表彰」を受賞 ※2 一般財団法人 省エネルギーセンター主催「省エネ大賞」(製品・ビジネスモデル部門)において、「資源エネルギー庁長官賞」を受賞 ※3 アメリカ大豆輸出協会(USSEC)が開発し、温室効果ガス削減や生物多様性に配慮し、持続可能な手段で生産されていることを示す認証プログラム ※4 一連の人為的活動を行った際に、排出されるCO2と吸収されるCO2が同量になること ※5 省エネ法に盛り込まれているトップランナー制度(エネルギー効率を高めるため、機器ごとに基準値を設定する施策)に適合した変圧器 ※6 当社比、三相1000kVA/50Hzの場合