マイクロソフトは2020年3月29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界的にリモートワーク推奨の動きが広がった結果、同社のクラウドサービスの利用度が775%の上昇を遂げたと発表した。日本でもテレワークへの移行が待ったなしとなった今、業務コミュニケーションツールを活用し、いかに企業活動を止めないかが重要となる。本記事では、日本マイクロソフトで Microsoft Teams を担当する春日井良隆氏を直撃。初めて導入した企業、すでに使い始めている企業にとっても役立つ機能や使い方のポイントを聞いた。

ユーザーが急激に増加、
「 Microsoft Teams 」が今選ばれる理由

日本マイクロソフト株式会社
Microsoft 365 ビジネス本部
製品マーケティング部
エグゼクティブプロダクトマネージャー
春日井 良隆 氏

ここ最近の Microsoft Teams(以下、Teams )で行われているミーティングの増加は驚くべきものだ。2020年3月16日のミーティング時間は9億分。それが約2週間後の3月31日には27億分と3倍になった。これは1人が1日に1時間使ったとして、ユーザー数が1500万人から4500万人に増加したことを示す。さらに5月には7500万人を突破したことをCEOのサティア・ナデラ氏が発表するなど、その利用数は加速度的に増加している。また、Fortune 100企業の93%、日経225企業の84%が利用しており、世界的にも大企業の利用が多いことも特徴だ。

これだけユーザー数が多いのはなぜだろうか。その最大の理由を春日井氏は、「ユーザーがやりたいことが統合されていること」だという。リモートで会議を行う場合、URLなど口頭では伝えにくい情報の共有は意外と面倒。また会議で使った説明資料を後からメールで送ろうと思っていても、会議が終わると忘れてしまいがち。その点 Teams は、Web会議に加え、チャット、ファイル共有を包括して提供するので、ほとんどのことが会議の場で完結することができる。

もう1つの特徴は強固なセキュリティと徹底したプライバシー保護。春日井氏は、「マイクロソフトはもはやセキュリティベンダーであり、 Teams に限らずあらゆるアプリケーションにおいて、開発の段階からセキュリティとプライバシーの保護を徹底しています」と胸を張る。 Teams 内で交わされる情報を堅牢なマイクロソフトのデータセンター内で保護し、暗号化や多要素認証など重層的な仕組みで情報漏洩を防止。不審者の会議への乱入を防ぐため、ゲストの身元を確認するまでロビーで待機させる機能などもあり、参加者のプライバシー保護に関しては、ユーザーの Teams データを使って広告配信をしない、参加者の会議中の行動をトラッキングしないなどをユーザーに対して確約しており、定期的に透明性レポートも提供している。

さらに春日井氏はデバイスを問わないことも特徴の1つとし、「マイクロソフト製品なので、 Windows や IE でしか動かないと思われがちなのですが、Teams はMac OS、iOS、Androidにも対応しており、Linux向けにプレビュー版も出しました。ブラウザーも Internet Explorer 、 Microsoft Edge だけでなく、ChromeとFirefoxにも対応しており、ほとんどの環境の人とコミュニケーションが可能です」。

スムーズで
効率的なWeb会議を実現

それでは、 Teams を使ったWeb会議の手順を紹介しよう。

まず主催者が参加者に招待を送る。予定表で「新しい会議」を設定し出席者を追加するだけで、招待メールが相手に届く。未登録の社外ゲストもメールアドレスを入力すれば招待可能だ。 Teams は利用企業が多いので、外部組織のコラボレーションも容易。例えば本記事の作成も日経BPと Teams のWeb会議を通して実施しており、チャットや資料の共有など必要な時に必要な機能を使いながら、物理的な対面機会がない中で完成に至っている。

実際の会議では、背景のぼかしや背景画像の選択で、会議に集中できる環境を整備。最近は、テレビ局や出版社がドラマのセットや人気マンガによる会議用の背景画像を提供しており、それらを手元に保存しておけばいつでも使うことができる。「Web会議ではアイスブレイクが結構大切です。目を引く背景で会議に挑むと話が弾み、議論にもいい影響を与えます」と春日井氏は語る。

手元でアップロードした画像を選択するだけで簡単に背景画像を変更することができる

Web会議ではお互いの表情だけでなく、チャット画面、資料共有なども同時に活用することができるので、オンラインでもリアルに近い会議が可能となる。さらにホワイトボードを共有し、相互に書き込みながらアイデア出しをするようなこともできる。

もう一つ大きな特徴が、 Microsoft 365 Apps for enterprise (旧称:Office 365 ProPlus )との連携だ。 Microsoft 365 Apps for enterprise は、常に最新の Outlook 、 OneDrive 、 Word 、 Excel 、 PowerPoint 、Teams を利用できるクラウドサービスである。 Word や Excel 、 PowerPoint を Teams 内でも起動できるので、Teams 上での連携時にそれぞれのアプリを個別に起動させる必要がなく、Teams 内での共同編集が容易にできる。また、Teams 上で使用した作業ファイルは、直接そのファイルへのリンクを指すことができるので、探したりファイルを示す際の手間が省ける。 Outlook との連携も可能で、メール文を引用してメンバーに見せたり、逆に Teams で受け取った情報を Outlook でメンバー外の人へ送ることも簡単にできる。

Web会議では、交わされる音声を認識して、自動的に字幕表示する機能もある。春日井氏は、「本国のスタッフとの会議も頻繁にあるのですが、私はあまりヒヤリングが得意ではないので、会話が文字で表示されるだけでも、随分と理解の助けになります」と語る。2020年5月現在は英語のみの対応だが、将来的には日本語や自動翻訳にも対応するという。

左下の部分に発言した内容が自動的に表示される

会議後には、会議中の録画や共有したい文書などを簡単に共有可能。なお録画ファイルは通話に参加した人、ミーティングに招待された人しかアクセスできない。会議後にフォローが必要な場合はチャットを利用して追加の情報交換ができ、必要に応じてまた会議を設定すればよい。

3周年を迎えて
大幅に機能強化

Teams の活用はWeb会議に限らない。一斉休校が続く学校での利用も多く、例えば千葉大学教育学部付属小学校では遠隔授業のプラットフォームとして Teams を導入。全児童にアカウントを配布し、授業だけでなくホームルームやお昼ご飯を一緒に食べるなど、様々な場面で Teams を活用している。また立命館小学校では、 Teams のライブイベント機能を使って保護者に卒業式の様子を配信した。

Teams で配信した立命館小学校の卒業式の様子

大阪市では新人職員の研修やオリエンテーションに Teams を活用。熊本市でも新型コロナウイルスに関する情報収集と共有プラットフォームとして Teams を活用している。

このような多様な利用が急拡大するなか、今年3月12日 Teams は3周年を迎え、多くの機能強化を実施。例えば背後の雑音を自動的に除去するAIによるノイズリダクションを搭載することが発表された。「自宅では子どもが後ろで騒いだり、クルマの騒音が気になることもあります。そういったノイズが抑制されるので、会議に集中できます」(春日井氏)

また最近力を入れているのがハードウエア連携だ。コンシューマ向けでは有名なBoseのヘッドセット、ディスプレイに接続して高品質なWeb会議が行える「コラボレーションバー」という新しい発想のハードウエアなど、Web会議を快適にする様々なハードウエアとの連携を実現。特に画期的なのが、ハンズフリーのコラボレーションを可能にするRealWearのARヘッドセットである。ヘルメットを装着すると、マニュアルなどバーチャルな画像が投影され、現場の様子もリモートで見せることができる。製造業や建設業など現場作業が欠かせない業種で、遠隔地にいる専門家の指示を仰ぎながら両手を使って作業を行えるようになる。

Web会議を快適にする様々なハードウエアとの連携を実現

テレワーク実現のため、
6カ月の無償提供や各種サポートを用意

これまで国レベルで働き方改革が求められながら、なかなかテレワークが進まなかった日本。しかしここにきて必要に迫られ、多くの企業が右往左往している。そこで日本マイクロソフトは、「セキュア リモートワーク相談窓口」を開設。低コストで迅速かつ安全にリモートワークを実施したい組織に対し、電話やWebでの相談に応じている。

同時に Teams を含む Microsoft 365 の6か月間無償提供や Teams オンサイトトレーニングの無償提供、 Teams を使ったライブイベントの支援サービスなども提供している。

セキュアな業務と、新たな価値の創造をサポートする

さらに、 Teams の使い方を学べる「 Microsoft Teams ウェビナー」を用意。テレワークやオンラインイベント実施のポイントを学べるオンデマンドビデオ、日本マイクロソフト自身が実践したテレワークの取り組みを記したガイドブック、各種マニュアルなど必要な情報を網羅している。春日井氏は、「マイクロソフトは皆さまがテレワークを実現できるよう、できる限りのサポートを行っていきます。なにはともあれ、まずはやってみましょう」とエールを贈る。

3周年で大規模な機能強化を行った Teams だが、画面分割を、現在の4分割から9分割に増加するなど、これからも機能強化は続くという。無償提供や各種サポートにより挑戦しやすくなった今、ぜひ Teams を利用してより生産性の高いテレワークを実現させてほしい。

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