変化にチャレンジし続ける
リクルートグループの課題解決⼒ Case2 一人ひとりに合わせた
障害者支援を実現するために

厚生労働省「令和元年 障害者雇用状況の集計結果」のデータでは、障害者雇用率2.11%、法定雇用達成企業の割合は48.0%と過去最高を記録した。しかし、障害者支援施設に目を向けてみると、そこにはまだ課題がたくさんあるという。リクルートの「knowbe(ノウビー)」は、現場の課題を解決するために開発された、障害福祉に特化した運営支援サービス。プロジェクト推進グループのマネジャーである岩田圭市氏と、開発責任者であるアエーカ氏に、障害福祉サービスが抱える課題と開発の背景を聞いた。

障害福祉業界の課題を解決するために

現在、日本の障害福祉は、障害者総合支援法に基づき、就労支援から各種生活支援まで21種類のサービスが存在している。さらに就労支援にも、定着支援、移行支援、継続支援といくつかの種類がある。

障害福祉サービス利用者・事業所数も増加


出典:「厚生労働省 平成29年 社会福祉施設等調査の概況」をもとに作図

「平成30年の調査で障害者数は964万人、人口の約8%で、労働可能な年齢の方は377万人いらっしゃいますが、そのうち一般企業で働く方は約14%と少ないのが現状。また、一般企業への就労を支援する就労移行支援施設の他に、一般企業での就労が困難な方に働く場を提供する就労継続支援施設が存在しており、就職率や賃金を引き上げる方針が定められています。そこで働く方は30万人程ですが、平均収入は月1.5万円。このように、障害者の就労状況の改善を手助けできるところがまだたくさんあります」と話すのは、そうした課題を解決するために、リクルートの新規事業制度を通じて、障害福祉に特化した運営支援サービス「knowbe」を立ち上げた岩田圭市氏。障害者といっても多様性があることも障害福祉が難しい一因だという。

岩田 圭市氏

株式会社リクルート
次世代事業開発室 knowbeプロジェクト推進グループ
グループマネジャー

「就労を目指して施設に通う方は、18歳から65歳までと幅広い年齢。障害の特性も精神障害、知的障害、身体障害で全く異なります。その障害の程度も様々で、事務職を希望する人もいれば、体を動かして仕事をしたい方も。支援する内容は一人ひとり違うため、非常に時間と労力がかかります」(岩田氏)。

その課題を解決するために生まれたのが、「knowbe」だ。

障害福祉に特化した「knowbe」の特徴

障害福祉施設の業務支援

タイムカードから利用実績を自動で蓄積。そのデータを元に、国民健康保険団体連合会・利用者請求、工賃・給与計算に必要な作業を自動集計。業務の大幅な効率化が実現し、職員同士の情報共有もスムーズになり、支援品質の向上につながる。

施設利用者の就労支援

セルフマネジメント、対人コミュニケーションなどのスキルや、Excel・Wordなどのパソコンスキルまで、就労準備性に併せた各種オンライン学習プログラムを用意。利用者のニーズに合った支援が可能になる。

スタートは多様な施設利用者向けの
教育プログラムから

「knowbe」は、岩田氏と開発を担当したアエーカ氏が共同起案者となって立ち上げた事業。その背景には、身近に起こった出来事があるという。

「共通の知人がメンタル面で不調になり、休職後、退職してしまったんです。気づかずに何もできなかったことが悔しかったし、『働きたいけれど働けない』という状況を身近なこととして感じるようになりました。以前から新規事業に携わることも多く、やりがいを感じていたので、この出来事を通して感じた思いをもとに『みんながもっと自分らしく働けるような社会にできたら』と、検討を始めました」(岩田氏)。

日本の障害者900万人超のうち、約400万人が身体障害で、約100万人が知的障害、約400万人が精神・発達障害。精神・発達障害は増加傾向にあり、以前は定義がなく、埋もれていたものが発覚するようになった背景もある。それに加え、依存症や引きこもりなど、「働きづらさ」や「生きづらさ」を抱えている人は増えているという。

「専門知識があったわけではないので、まずは、ヒアリングから始めました。大企業からベンチャーまで様々な規模・業種の企業の人事担当、産業医、精神科医、そして、就労を支える施設の職員の方などです。なかでも、職員の方々は話を聞くほど『利用者の方をサポートしたい』という思いが伝わってきて、私たちも『何とかしたい』という思いが強くなっていきました」(岩田氏)。

開発を担当したアエーカ氏も、未知の分野に関わることでこれまでとは違った苦労があったという。

アエーカ氏

株式会社リクルート
次世代事業開発室
knowbe開発責任者

「まず取り組んだのは、就労支援のオンライン学習プログラムでしたが、モチベーションを保って学習し続けてもらうようにするのが難しいと感じました。就労経験がない方も多いため、実際の業務で起きうるシチュエーションを想定したコンテンツを作成、『何のために学習するのか』という目的を理解してもらい、業務の擬似体験もできます。また、働けるスキルがあっても、生活リズムが不安定で通勤ができないという問題を持つ方もいます。そこで、セルフマネジメントに着目して、ツール化する工夫もしました」(アエーカ氏)。

「想像もつかないような問題点もたくさんありました。ですから、精神科医などに学術的なノウハウをヒアリングし、また施設運営者の実務を通して⽣まれる事例を集めながら、進めていきました」(岩田氏)。