由利本荘沖洋上風力のイメージ
(提供:秋田由利本荘洋上風力合同会社)

温暖化ガス地球環境に負荷の少ない再生可能エネルギー拡大の動きが活発化してきた。社会の再エネへの期待も高まり、コロナ禍の中でも発電量は減っていない。その再エネの開発・運営を専門とするのが2000年創業のレノバ。多様な専門性を持つプロフェッショナル集団が、太陽光・木質バイオマス・風力・地熱といったマルチ電源の再エネ発電所を国内外で開発・運営している。レノバの経営方針や今後の展望を、日経ビジネス発行人 伊藤 暢人が代表取締役社長CEO 木南 陽介氏に聞いた。

マッキンゼーを経て起業
25カ所の再エネ発電所を開発

――モーリシャス沖の貨物船座礁による重油流出事故は環境に甚大な影響を及ぼし、日本には厳しい目も向けられています。エネルギー分野でも日本の動向に改めて世界の注目が集まりそうですが、現状をどう捉えていますか。

株式会社レノバ
代表取締役社長CEO
木南 陽介氏

「日本は石油、石炭など化石燃料に依存し、環境負荷の少ない再生可能エネルギーへの取り組みは欧米に比べ遅れていました。しかし、東日本大震災後のエネルギー政策転換によって再エネを取り巻く環境はがらりと変わり、近年さらに変化の速度が加速しています。社会の再エネに対する期待も高まっています。コロナ禍で電力需要が減る中でも再エネによる発電量は減っていません」

日本は2030年に総発電量の22~24%を再エネで賄うことを目標に掲げる。今年7月、梶山弘志経済産業相が非効率な石炭火力発電の休廃止に言及するなど、政治の世界でも再エネ拡大の動きが活発化してきた。

――御社は再エネ事業の専門企業です。ここまでの歩みを教えてください。

「幼少の頃、故郷の六甲山の開発で自然と人間のせめぎ合いを目の当たりにした私は環境問題に関心を持ち、大学で制度とサイエンスの両面から幅広く環境を学びました。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルティング経験を積んだ後、2000年に起業。まずは環境・エネルギー分野の調査・コンサル事業から始め、後にリサイクル事業に進出しました。震災後の政策転換で事業環境が整い、ようやく、ずっとやりたいと考えていた再エネ事業に乗り出しました」

レノバは現在、国内外に25カ所、合計で約1.8GWの再エネ発電所を開発・運営している。6月には初の海外プロジェクトとして、ベトナム・クアンチでの陸上風力発電事業にも着手した。

多様なプロフェッショナル集団が連携し
地域と共存共栄する再エネ発電所を実現

――御社の強みは何ですか。

「当社は、新規開発、事業推進、ファイナンス、エンジニアリング、リサーチ・渉外の各チームが、それぞれ専門性を発揮しつつ有機的に連携してプロジェクトを推進します。これにより、発電設備の仕様検討から運営まで一気通貫に行う自社主導の開発が可能となるのです。設計の肝を担うエンジニアリング部門にも、海外での洋上風力プロジェクトを経験した人材を含め、土木、建築、機械、電気など幅広い専門性・スキルを備えた多彩な人材がそろっています。地域の自然や景観、インフラ状況を考慮した難易度の高い設計であっても、チーム一丸となって最適解を具現化します」

――地域で信頼を勝ち取り事業を成功させるのは容易ではありません。

「地域の方を尊重し、時間をかけてコミュニケーションを取りながら、プラスとなる接点を見いだし、ご理解・ご支援いただけるよう努めています。私たちが特に大事にしているのは地球・地域という2つのステークホルダー。『地域との共存共栄』という言葉を念頭に置き、再エネを通じて各地の課題を解決し、長く良好な関係が築ける策を提案します」

その代表例が地元企業と共同で取り組む秋田のバイオマス発電所だ。県内林業者の協力を得て秋田杉の未利用材のサプライチェーンを構築。約100人の新規雇用を生むなど、林業活性化に貢献した。

2021年6月の運転開始を目指し建設中の苅田バイオマス発電所(福岡県)。設備容量75MWと国内最大級

国内最大級の洋上風力に挑む
先行事例つくり業界の見本に

――島国の日本では今後、洋上風力発電の存在感が増すと考えられます。

「再エネの普及、主力電源化に必要な発電所の大規模化という点で、海洋国家の日本では、洋上風力発電に大きな可能性があります。日本で最大規模となる秋田県由利本荘市沖の洋上風力発電事業は、当社が他社に先駆けて5年前から検討を始めました。漁業関係者をはじめとする地域の皆さまとも対話を重ねながら検討を進めており、地域との共存共栄の実現を目指しています」

人口減少率が全国最大の秋田県は経済活性化策の1つとして洋上風力発電に期待をかける。由利本荘市は7月に洋上風力発電設備を優先的に整備できる「促進区域」に指定された。

レノバは有力企業とコンソーシアムを組んで事業を推進。100人を超す大規模なものから町内会単位のものまで述べ40回以上に及ぶ住民説明会を開催し、地元の関係者との対話を重ねてきた。風車や洋上の建設業者の選定を終え、この1年を日本最大級の洋上風力発電事業開発の「集大成の年」と捉えて全力で準備を進める。

再エネ事業を運営する地域とは良好な関係の構築に努め、社員は地元のお祭りにも積極的に参加する

――今後の展望を聞かせてください。

「『日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニー』を目指す当社にとっては今がスタートポイント。100年後もエネルギーに困ることのない社会を目指し、見本となる再エネ発電事業の先行事例をつくっていきたいと思います」

創業から20周年を迎えた同社は、長期的視点で地域経済や社会の活性化につながる自立可能なエネルギーシステムを構築し、日本とアジアのエネルギー市場変革への貢献を期す。

お問合せ

株式会社レノバ

〒104-0031 東京都中央区京橋2-2-1
京橋エドグラン18F

https://www.renovainc.com/