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ヤマシンフィルタ株式会社 代表取締役社長 山崎 敦彦 氏
フィルタメーカーならではの社会貢献は、フィルタ技術で世界中の健康と環境を守ること

ヤマシンフィルタ株式会社 代表取締役社長 山崎 敦彦 氏

1953年、東京都生まれ。1980年に東京大学農学部卒業後、小松製作所に入社。同年、山信工業(現ヤマシンフィルタ)取締役に就任。1990年、代表取締役社長に就任。米国などで次々と現地法人を設立。2014年、東京証券取引所市場第二部へ上場。2016年同一部へ指定替え。

 

建設機械用油圧フィルタ最大手でありフィルタ開発のパイオニアであるヤマシンフィルタ。1956年の創業以来、フィルタ専業で開発・製造を続け、現在建機の油圧フィルタ分野で世界トップクラスのシェアを誇る。同社が4月、独自開発の新素材「YAMASHIN NANO FILTER」を活かしてマスク事業へ参入した。同社社長の山崎敦彦氏に考えを聞いた。

※矢野経済研究所2007~10年度調査による

自社開発の新素材が「マスク」に最適

「現在、建設機械で使用される油圧フィルタ素材の主力はガラス繊維です。約30年前に弊社が開発したものですが、ガラス繊維に代わる次世代の素材として開発を進め、3年前に完成したのが『YAMASHIN NANO FILTER』です」

その特徴は直径200〜800ナノメートル(約0.0002〜0.0008ミリ)という極細の繊維が三次元に組み合う綿(わた)状であること。綿の内部は繊維の間にナノサイズレベルの無数の空間があり、高い効率で異物をキャッチすることができる。

「ポイントは繊維径を調節できること、繊維を綿状に加工できること、さらに量産できることにあります」。これにより異物の仕様に合わせたフィルタ製造が可能になった。折しも世界では感染症対策への意識が急激に高まる中、「マスクが足りない。フィルタがあるなら私たちが作れるじゃないかと思いました」。山崎氏はすぐにマスクの試作に踏み切った。

写真:綿状のファイバー、インナーシート、マスク

左から時計回りに、同社が開発した綿状のファイバー、インナーシート、マスク

インナーシート化で高性能・高耐久を実現

「YAMASHIN NANO FILTER」を使ったマスクの特長は高い捕集性能を長時間持続できることにある。一般的な使い捨てマスクの多くが静電気の帯電により花粉やウィルス等を捕集する。このため呼気の水分や時間の経過で捕集力は大幅に低下する。しかし「YAMASHIN NANO FILTER」は繊維の緻密さで捕集するので、長時間使用しても効果が落ちにくいのである。高性能マスクの不織布で使用される繊維の多くは直径3000ナノメートルと、その差は歴然だ。

「認証試験をしている一般財団法人カケンテストセンターの分析によれば、100ナノメートルの微粒子の捕集率は99.9%という結果が得られました。現在、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格認定マスクとしての申請を進めています」

本来であればマスクの形で製造すべきところ、すぐにでも欲しいという需要に応えて、まずインナーシートとしてロールシート状での提供を始めた。布マスク内に1枚挟み込むだけで、捕集性能を格段に向上させることができる。さらに「YAMASHIN NANO FILTER」を使ったマスク量産への準備も進行中だ。「マスクの性能は素材に加えてその形状も重要です。現在製造ラインを準備しており、5月末から月180万枚の生産が可能になる予定です」

グラフ:使用時間 - 性能保持率(それぞれの初期捕集性能を100%とした相対値)他社の不織布マスクと比較して、時間が経っても高い性能保持率を維持。※自社調べ。自社評価、他社評価結果より、測定条件:粒子0.3マイクロメートル

YAMASHIN NANO FILTERを使用したマスクは静電気に依拠しないことで高い耐久性を発揮

エアフィルタ分野でも世界を目指して

ヤマシンフィルタは2019年、大阪に本拠地を置くエアフィルタメーカー(アクシー)を買収した。その背景にあるのが全世界、特にアジア圏における大気汚染に対する問題意識である。

「経済が成長すると大気汚染が進む。根本的な問題解決は政治が行うことですが、特定の建物や乗り物内といった空間であれば、私たちの技術が役立つ。また高捕集フィルタを備えた空調機器が普及すれば使用電力も節減でき、二酸化炭素排出量も削減できます」

世界的にも公共施設でのエアフィルタの需要は高まりを見せており、エアフィルタ製造を手掛けてきたアクシー社のノウハウと、ヤマシンフィルタが持つ高性能フィルタ製造技術が融合すれば大きなシナジー効果が生まれると山崎氏は語る。今後は油圧フィルタのモデルチェンジに向けた準備、ナノフィルタを使った健康へのサポート、そしてエアフィルタのグローバル展開を3本の柱に進めていくというが、「その目的は社会貢献です」と続ける。

「弊社の社是は、私の父である先代が考案した言葉『仕濾過事(ろかじにつかふる)』。これはフィルタで社会のお役に立つという意味ですが、いまこそ社是を実行できる時。フィルタのプロとして、皆様の健康と社会と環境の改善に積極的に関わっていきたいと考えています」

ロゴ:ヤマシンフィルタ株式会社

ヤマシンフィルタ株式会社

〒231-0062 神奈川県横浜市中区桜木町1-1-8 日石横浜ビル16階

マスク販売についての詳細はこちら

https://yamashin-filter.shop-pro.jp/

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