日経ビジネス電子版 Special

フィリピン・リポート
~コロナ後の日本フィリピンの持続可能なパートナーシップ実現に向けて~

Philippines-Japan Business Investment Virtual Forum 2020

  • 開催日時 : 2020年12月1日(火)13:30~17:20(日本時間)オンライン開催
  • 参加者数 : 315名(登録者数 : 413名)
  • 共催 : フィリピン貿易産業省(DTI)、日経グループアジア本社、
    日経ビジネス、
    日本アセアンセンター、
    在京フィリピン共和国大使館
  • 協賛 & 協力 : Bases Conversion and Development Authority (BCDA)、BDO Unibank、
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)、シンスペクティブ、ITBPAP
  • 後援 : 中小企業基盤整備機構、国際協力機構 フィリピン事務所、
    ジェトロ・マニラ事務所
  • Webサイト : https://enavle.com/v/philippines_japan_Forum2020/

フィリピンと日本、
経済活動の再活性化が目指すもの

7,100以上の島々から成るフィリピン諸島。このフィリピンがコロナ禍という世界的危機を切り抜け、さらに国と経済を強固にしてコロナ禍の危機から浮上する。その鍵となるのは、日本とのパートナーシップである。

諸外国の例にもれず、フィリピン経済も新型コロナウイルスの世界的感染拡大により大きな痛手を受けた。しかし、アジア第3位の急速な経済成長を遂げるフィリピンは、発展する機会がまだ十分あり、そのためには緊密なパートナーシップが必要である――。

2020年12月1日、「フィリピン-日本 ビジネス投資バーチャルフォーラム 2020 (Philippines-Japan Investment Virtual Forum)」が開催された。財界人の情報交換の場である同フォーラムが開催されるのは第6回目。今回は日本、フィリピンから政府高官やビジネスリーダー315名が参加。経済予測、ビジネスに関する知見、革新的アイデアなどさまざまな意見交換が行われ、両国の緊密なパートナーシップをテーマにさまざまな議論が繰り返し論じられた。

H.E. Jose Castillo Laurel V

H.E. Jose Castillo Laurel V

Ambassador, Republic of the Philippines to Japan

H.E. Ramon Lopez

H.E. Ramon Lopez

Secretary Department of Trade and Industry

H.E. Carlos G. Dominguez

H.E. Carlos G. Dominguez

Secretary Department of Finance

藤田正孝 氏

藤田正孝 氏

国際機関日本アセアンセンター 事務総長

コロナ禍から立ち上がるフィリピン

世界がコロナ禍にあるなか、フィリピンではこの事態を楽観視できる理由がある。現在、フィリピン経済は2020年第3四半期に前年同期比で8%の成長を遂げ、2020年10月末時点の総外貨準備高は過去最高の1,040億米ドルに上った。

「フィリピン経済には回復の兆しが見え始めており、最悪の時期を脱したと思われる」とフォーラムの主賓として参加したフィリピン財務大臣のカルロス・G・ドミンゲス(Carlos G. Dominguez)氏はこう述べた。

また、主賓挨拶に立った日本アセアンセンター事務総長の藤田正孝氏は、デジタル化によりフィリピンの競争力はさらに強まり、現在や将来の危機に備えてより弾力性あるグローバル・バリュー・チェーンを築く下地がつくられるため、今後フィリピンへの期待感が高まると述べている。

「弾力性の問題はパンデミックだけから生じるのではない。弾力性を以前のレベルに戻すだけではなく、より高いレベルにする必要がある。より強靭なバリュー・チェーンを構築する必要があり、我々にはそれが可能だ」。その実現に向け、経済をよみがえらせて活性化し、ビジネスや投資、暮らし、国内需要を活発にするための戦略がすでに実施されている、とフィリピン貿易産業大臣のラモン・M・ロペス(Ramon M. Lopez)氏はフォーラムの歓迎挨拶ではっきり述べた。需要を活性化し供給を増大させるための鍵は、消費の活性化と生産能力の増強。そのためには、フィリピン経済の需要増を捉える力を地域産業に付けてもらうことである。

「しかし、より良い再建を行い、より良いフィリピンを取り戻そうとするなかで、われわれは日本のような海外パートナーの重要性を認識している。コロナ禍の間だけでなく、フィリピン経済を立て直す取組みにおいて、こうした海外パートナーが重要なのだ」(ロペス大臣)。

二国間の絆を深めることで
より強い国づくりを実現する

日本とフィリピンは投資、通商の両面で長いあいだ強い結びつきを保ってきた。たとえば、日本はフィリピンにとって第2位の貿易相手国であり輸出市場であるとロペス大臣は指摘している。日本は輸入供給国としても第2位であり、2019年に承認された投資額では第4位である。

日・比両国が徐々に経済を再開するなか、駐日フィリピン大使を務めるホセ・カスティーリョ・ラウレル五世(Jose Castillo Laurel V)氏は両国のより緊密な協力体制を歓迎している。

ラウレル大使は「自信をもって言えるが、フィリピンの経済界も日本の経済界も、二国間関係の強化を望んでいる。駐日大使としての経験に基づけば、日本は今後もフィリピンでの事業に強い熱意と関心を寄せると思われる」と述べた。

ドミンゲス大臣も、雇用を創出し、国民を貧困から救うため、積極的なインフラ整備政策「Build Build Build」が重要な戦略となった点を強調している。コロナ禍にあっても、フィリピンに対する日本の強力な支援は続いている。とりわけ、ソフト面を支援するプロジェクト・ローンや政府開発援助の面で、日本の支援は大きい。

ドミンゲス大臣は「幸いにも、フィリピンは開発支援パートナー各国からの借款を迅速に利用することができた。また、民間金融市場では非常に低金利、タイト・スプレッド、長期の返済期間で資金が調達できる。必要性が非常に高い支援の提供について、日本政府や日本国民は極めて寛大に応じてくださっている。企業活動や公共交通機関が次第に再開されている今年(2020年)第4四半期には、更なる改善が見られると期待している。こうした兆しはフィリピン経済が立ち直る途上にあることを示している。2021年は力強い景気回復に向かう道筋がはっきりと見える」と日本の支援の重要性を述べている。

デジタル変革で経済の成長と強化を図る

フィリピンがポストコロナの新たな時代に備えるにあたって、その鍵を握るのはデジタル化への取組みである。だからこそ、フィリピンは情報通信技術省(DICT)を通して情報通信技術の発展に向けて国家をあげた取組みを積極的に推進している。

DICTは、フィリピンITビジネス・プロセス協会(ITBPAP)との連携による「デジタル・シティー2025(Digital Cities 2025)」プログラムを通じて、フィリピンの経済成長を牽引する動力源としてIT産業およびITビジネス・プロセス・マネジメント(IT-BPM)産業の弾力性を高めようと取り組んでいるところである。また、2022年末までに農村部に10万人の雇用を創出し、農村地域の産業振興による地域経済の強化も目指している

「そのためには、中心となる4つの介入策が必要だ」とDICTのICT産業振興局長(Director, ICT Industry Benchmarking and Promotions)エミー・ルー・デルフィン氏は述べている。そうした介入策としては、制度開発や人材育成、インフラ開発、マーケティング、広報活動などが挙げられる。

デルフィン氏は「労働市場に適応するために、(政府は国民に)新しい技能を身に付けてもらう機会を提供している。そうした技能の習得は職探しをするための手段になり、マイクロ・ビジネスや小規模ビジネスの起業を容易にする」とデジタル化による産業振興策の効果を述べた。

ITBPAPの会長兼CEOのレイ・ウンタル氏は「IT-BPM産業の強化にはフィリピンのデジタル労働力が必要不可欠。社員のスキルアップと再教育を国レベルで支えるプログラムを設けることで、より持続可能な雇用が創出され、企業の競争力を高めることができる」と繰り返し述べた。

「ITBPAPはこれまでずっとスキルアップと再教育の枠組みづくりに力を注いできた。十分な資金を得られれば、5年間で100万人のフィリピン国民の技能開発を目指す枠組みとなる」(ウンタル氏)。

Ms. Emmy Lou Delfin

Ms. Emmy Lou Delfin

Director ICT Industry Benchmarking and Promotions Department of Information and Communication Technology (DICT)

Mr. Rey Untal

Mr. Rey Untal

President and CEO Information Technology and Business Process Association of the Philippines (ITBPAP)

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