オープンバンキング×コネクティビティで
実現する世界観を追求

デジタルの力で顧客起点の
サービスを目指す。
「みんなの銀行」の挑戦

九州・福岡を本拠地とするふくおかフィナンシャルグループから、国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が誕生した。デジタルネイティブ世代をターゲットとする新たなビジネスモデルを擁する銀行の登場で金融業界、そしてそのサービスのあり方はどう変わるのか。みんなの銀行・横田浩二頭取に、設立をサポートしたアクセンチュアの中野将志氏が聞く。

CHAPTER 01

「3年後になければ
企業存続に関わる」
という危機感から始動

中野 いわゆるチャレンジャーバンクと呼ばれるデジタルバンクの盛り上がりは、欧州をはじめ海外が先行し、日本ではふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の下、「みんなの銀行」が国内初のデジタルバンクとして2021年5月よりサービスを開始されました。日本でこれまで、デジタルバンクがなぜ登場しなかったのか。考えをお聞かせください。

横田 銀行業界全体で見ると、システムやサービス、業務フローなどのデジタル化は既に一定レベルで確立しており、インターネットバンキングサービスやネット銀行も数多く登場しています。

しかし、デジタル技術の活用はチャネルの効率化や省力化のために行われ、ダイレクトチャネルもリアルの補完としてしか捉えられてこなかった、ある種の“誤解”があったと思います。この誤解が、デジタルバンクの登場、従来の銀行業務からの進化を遅らせた大きな理由の一つと捉えています。

インターネットバンキング、ネット銀行やデジタルバンクも、チャネルという捉え方をすれば同じですが、我々はデジタルバンクに関して別の捉え方をしています。

デジタルバンクの真価とは、データとコネクティビティにあります。デジタル技術を活用してお客様の声、アクションといったデータからインサイトを得て、様々な外部サービスとの融合・連携をはかることで、利用者のニーズに応じてパーソナライズ化されたサービスを提案・ご提供することができます。

顧客や他企業と結びつく、いわゆるオープンバンキングによって付加価値を提供する「エコシステム」を前提としたビジネスモデルであり、その世界観を当行が先行する形で世に浸透させていきたいと考えています。

デジタルバンクの真価は
  『コネクティビティ』にあります

KOJI YOKOTA

横田 浩二
株式会社みんなの銀行 取締役頭取
ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社
代表取締役
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
取締役執行役員

1982年福岡銀行入行後、ニューヨーク支店勤務を経て、経営企画部門で経営統合プロジェクトを担当。その後、経営管理部長、執行役員営業推進部長、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員、取締役副頭取を歴任。2021年5月に開業したみんなの銀行において、取締役頭取を務める。

中野 FFGさんでは、2016年、ネオバンクのiBankマーケティングを設立するなど以前から先進的な取り組みをされています。とはいえ、地域に根付く歴史ある地方銀行として、全く新しい別組織を立ち上げ、ゼロからデジタルバンクを設立する構想には様々な議論があったのではと思います。グループとしてどう決断されたのでしょうか。

横田 実は、この10年の福岡銀行の窓口来店客数の推移を見ると約3割減少し、新型コロナウイルス感染症の拡大以降はさらに1割以上が減少しています。これはオンライン取引が増え業務効率化が進んだといったプラス材料という側面もありますが、貴重な顧客接点が失われ、大量の顧客が離れていく可能性があるという重大なリスクでもあります。

また、今後、高い技術レベルとスピード感を持つフィンテック企業の金融業界参入を見据えるならば、デジタルバンクの取り組みは「今はなくても困らないが、3年後になければ企業存続に関わる」という思いは当時から、経営陣全員が共有する危機感でした。

企業内のDX(デジタルトランスフォーメーション)による構造改革については、数年前から取り組んではいたものの、既存の巨大なシステムのDXから進めていたのでは時間が足りません。ならば並行して、一足飛びにデジタルバンクを設立しようという経営判断により、2019年2月、最終承認を得ました。

また、先行してiBankマーケティングの運営で、顧客とデジタルを起点とするマーケティングの重要性、データの価値について理解が進んでいたことも大きかったと思います。