日経ビジネス電子版 SPECIAL
SPECIAL INTERVIEW

MUFGがウェルスマネジメントの
デジタルプラットフォームを構築
銀行、信託、証券の壁を越え、
「顧客最優先」のサービス実現へ

宮田氏武藤氏

02デジタルを「標準」に、
ヒューマンタッチを付加価値として提供する

お客さまに気づきを与え、その対策を提示する上で必要になるのが、グループ横断での顧客目線の視点とサービスの提供です。そのために、MUFGでは新時代のウェルスマネジメントを提供する新しいプラットフォーム「MUFG Wealth Management Digital Platform」を構築しました。その背景をお聞かせいただけますか。

当グループは銀行、信託、証券を中心とした多数の企業で構成されています。あらゆるサービスを提供する機能を持ち、経験豊富な人材も擁しています。ですが、これらがバラバラと連携なく活動していては、顧客目線での包括的なサービスを届けられません。グループ各社の情報の共有と、お客さまの課題に対する適時適切な対応の実現には、グループ横断でのデジタルプラットフォームが必要不可欠でした。

これは、我々の戦略的ビジネスパートナーである米モルガン・スタンレーが、10年以上前からウェルスマネジメント層のお客さまを対象としてデジタルプラットフォームを構築し、成功を収めてきたことからも明らかです。彼らが10年以上かけて築いてきた実績に対して、私たちは現在の中期経営計画の3年間で構築し、次の3年で追いつくのが目標です。

具体的に、どのようなプラットフォームを構築したのですか。

大きく3つの機能から成ります。1つ目は「統合View」で、銀行・信託・証券で散在していたお客さまの資産情報をまとめ、1画面で確認できます。2つ目は「ゴールプランニングシステム」です。お客さまの人生のゴール、ライフイベントに応じたキャッシュフローや総資産に対する課題・ニーズを見える化し、それに応じて、アドバイザーがポートフォリオ運用や、資産承継、事業承継の対策案をお客さまにお示しすることができます。ここではバランスシートアプローチを採用しているため、金融資産だけでなく、不動産や企業オーナーの方であれば自社株式なども含まれ、今までは見えにくかった将来に向けての資産の課題が包括的に明らかになります。

そして、3つ目が「ネクストベストアクション」という機能です。お客さまの属性、状況などに合わせて、アドバイザーが次に取るべきアクションについて、アナリティクスモデルを活用したシステムによるレコメンドを発します。当グループのアドバイザーも、その経験値や能力は様々です。このレコメンドを「標準」として扱い、ここにアドバイザーがそれぞれのお客さまのニーズや課題に応じた工夫を加え、グループ横断でサービスを提供していきます。アドバイザーの工夫の部分はまさにヒューマンタッチであり、これが付加価値であると考えています。

MUFGグループ横断の新システム
“MUFG Wealth Management Digital Platform”
MUFGグループ横断の新システム“MUFG Wealth Management Digital Platform”
MUFGグループ全体の顧客データ基盤の上に、ウェルスマネジメントのサービスを提供するデジタルプラットフォームを構築。「統合View」「ゴールプランニングシステム」「ネクストベストアクション」の3つの機能を提供する。

システムから提示されたレコメンド結果をアドバイザーの方が見て、そこに顧客視点で自分なりの工夫を加える。それにより、テーラーメイドで質の高いサービスを効率的にお客さまに対して提供できるということですね。

まさにそこを狙っています。

グループ横断での取り組みということですが、顧客に対する秘密保持契約などの扱いも一括して行えるのでしょうか。

グループ横断の統合データベースの開発も並行して行っており、個人情報保護やファイアウォール規制などをクリアする形で、今回のプラットフォームと連携させています。これにより、お客さまは安心して統合したサービスをご利用いただけます。

素晴らしいですね。また、グループ横断でのデジタルプラットフォームの開発は大規模なプロジェクトになりますが、プロジェクトの推進体制で工夫されたことはありますか。

私がユニット長を務めるウェルスマネジメントユニット内にプラットフォーム構築チームを立ち上げ、グループ各社と密に連携しながらプロジェクトを統括しています。また、米モルガン・スタンレーともコミュニケーションを取りながら進めています。

武藤 惣一郎氏
アクセンチュア株式会社 マネジング・ディレクター ビジネス コンサルティング本部
コンサルティンググループ キャピタルマーケット プラクティス
アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ・中東地区統括 兼 日本統括
武藤 惣一郎

03デジタルプラットフォームを通じて、
企業のパーパスを実現する

アクセンチュアは今回のデジタルプラットフォーム構築において、当初の戦略立案の段階からシステム構築まで一貫して参画させていただきました。MUFGにとってアクセンチュアの役割・貢献はどのように見えていますでしょうか。

ビジネスパートナーとして、富裕層ビジネスに対する理解、調査力、国内外の展開力などが、他社と比べて一段と深く、秀でていたと感じています。また、MUFGのお客さまについて、我々が知り得ないことも含めた定量的・定性的な分析をしていただけたことは大きな気づきになりました。同時に、ロールモデルであるモルガン・スタンレーのサービスを含め、グローバルな視点からの知見も提供いただけました。

これによって我々は、マーケットの中でMUFGができていること、できていないことを理解した上で、日本のお客さまとWin-Winの関係性を構築するには、どういう戦略が必要なのかを考えることができました。最初の戦略段階のアドバイスが、非常に大きかったと思います。

ありがとうございます。ウェルスマネジメント向けデジタルプラットフォームは、いよいよ今年度下期に全店で稼働するとうかがっています。本プラットフォームをグループ全体にどのように展開されていきますか。

やはり、サービスを提供するのは人です。デジタルプラットフォームは、それを実現するために必要な手段です。私は、改めて当グループの全社員に、パーパスに立ち返り、もう一度MUFGの存在意義とは何かを思い起こしてもらいたいと考えています。

そのパーパスとは、「日本で暮らす方々の人生の豊かさを実現する」「MUFGを通じて企業などが成長、発展していく」「世界が進むチカラになる。」ということです。社内ではこの意識を浸透させるカルチャー改革を進めていますが、パーパスを実行する基盤としてリリースされるのがこのデジタルプラットフォームです。

ウェルスマネジメントに関わる業務は、資産運用、資産承継、事業承継など多岐にわたります。このプラットフォームに情報が集約されることで、グループ各社のアドバイザーは、お客さまの全体の状況を知った上で、グループ全体の力を結集して適時最適なサービスを提供できるようになります。新しい考え方に基づく新しいサービスの提供こそが、これからのMUFGの存在価値なのです。

このプラットフォームが、お客さまの中長期的な資産と事業を成長させる原動力になり、それがひいては、日本全体の豊かさと発展の原動力になると信じています。

MUFGのパーパス実現のため、アクセンチュアはこれからも全力で支援させていただきます。本日はありがとうございました。

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