日経ビジネス電子版 SPECIAL

アフラックが目指す、
保険会社としての
これからの姿

リアルとデジタルの
融合による
新たな価値を提供

保険業界における革新的で優れたアイデアを表彰する「Innovation in Insurance Awards」※を昨年に引き続き、2年連続で受賞したアフラック生命保険。今後の保険イノベーションのあり方について、同社DX戦略をけん引する取締役上席常務執行役員でありCDIOの二見通氏に、ビジネスパートナーであるアクセンチュア金融サービス本部統括本部長の中野将志氏が聞いた。
※Efmaとアクセンチュア共催のアワードで、保険業界における企業の革新的なイノベーションの取り組みを紹介し、促進することを目的に2016年に創設。今年は世界55カ国、460件の応募。

「『生きる』を創る。」というブランドプロミスのもと、
CSV経営を実践

貴社では、2024年に迎える創業50周年に向けて、「生きる」を創るリーディングカンパニーへの飛躍を掲げられています。その実現のため、テクノロジーを活用したユニークなサービスを数多く展開されていますが、その背景にある想いをお聞かせください。

「がんに苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という創業の想いを受け継ぎ、保険商品を通じた経済的な安心という価値をお届けしてきましたが、人生100年時代を迎える今、「『生きる』を創る。」をさらに推し進めるために、我々アフラックは何をすべきかを役職員が熱く議論しています。

例えば、保険商品にとどまらず、健康増進サポートや病気の早期発見、治療中の支援、治療後のアフターケアからQOL向上まで、お客様をトータルにサポートするための商品・サービスの開発に積極的に取り組んでいます。こうした取り組みの中で、やはり日々進化し続けるデジタル技術の利活用は欠かせません。現在は、20年に策定されたデジタルトランスフォーメーション戦略(DX@Aflac)に基づき、フィンテック/インシュアテックの活用やデータの利活用、または業界の垣根を越えた企業間連携にも取り組み、「『生きる』を創る。」を実現するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させています。

そして、当社が今力を入れているのは「キャンサーエコシステム」の構築に向けた取り組みです。これは、がん患者を取り巻く社会的課題を包括的に解決するために、患者とその家族を中心として、様々なステークホルダーが連携・協業するためのプラットフォームを構築することを目指すものであり、デジタル技術も活用しながら新たな価値提供の枠組みをつくっていきたいと考えています。そしてこの「キャンサーエコシステム」の一環として、ここ数年でがんに関する課題の解決に取り組むスタートアップ企業等への出資や協業も加速しており、がんの予防から予後のアフターケアも含め、お客様一人ひとりに合わせた最適なサービスを提供していくことを目指しています。

アフラック生命保険株式会社 取締役上席常務執行役員 CDIO (チーフ・デジタル&インフォメーション・オフィサー) 二見 通 氏

アフラック生命保険株式会社
取締役上席常務執行役員 CDIO
(チーフ・デジタル&
インフォメーション・
オフィサー)
二見 通

2011年1月までAIGグループ会社にてCIO常務執行役員としてシステム部門、オペレーション部門を担当。11年4月メットライフ生命入社、CIO執行役員常務としてシステム開発部門を担当後、三井生命保険(現在の大樹生命保険)CIO常務執行役員を経て、15年1月、アフラックに入社。現在、取締役上席常務執行役員CDIOとしてIT・デジタル部門を担当し、デジタルを駆使した変革やビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

がん保険を中核に、DXにより新たな価値の提供を推進されているわけですね。一方、DXに後れを取った企業においても、コロナ禍を受け、デジタルシフトが加速化しています。先行してきた貴社はコロナ禍による変化をどのように捉えられていますか。

コロナ禍を受け、見えてきた変化は大きく2つあります。一つ目は、企業経営におけるデジタルのあり方です。従来は、サービス改善やビジネス変革を実現するためにデジタルをどのように活用できるかが、企業経営におけるデジタルの位置付けでしたが、これからはデジタルを前提とした企業経営・戦略に舵を切らねばならないということです。

二つ目は、「デジタルありき」の時代にシフトする一方で、リアルな世界の良さを改めて見直す動きが起きていることです。例えば、オンライン会議は確かに便利だけれども、人と直接会って話すメリットは変わらずある。コミュニケーションがオンラインに偏向することで生まれる課題も指摘されています。

そこで、ニューノーマル時代において重要な視点の一つとなるのが、リアルとデジタルの融合だと考えています。例えば、当社にはアソシエイツ(販売代理店)という大切な財産があります。長年、アソシエイツと共に対面による保険販売で事業を展開してきた当社だからこそ、リアルとデジタルが融合した世界を実現できるのではないかと考え、既にその取り組みを進めています。

「Innovation in Insurance Awards」の受賞理由にもなった「3Dアバターチャットボット」も、24時間365日利用可能という利便性に加え、「3Dアバター」が動作と音声を交えて回答するという新しいCX(顧客体験)の実現が高い評価を得ました。これもリアルとデジタルの融合の一つの形でしょうか。

そうですね。そもそもはコールセンターが営業時間外となる夜間や休日への対応、お電話によるお問い合せの増加に伴う運営コストの増大をいかに解消していくかという、お客様サービスの向上と業務効率化というミッションから構想がスタートしました。

とはいえ、既存のテキストのチャットボットでは味気ない。親しみやすく、お客様に新しいコミュニケーション体験をご提供したいという思いから、UI/UXを工夫し「3Dアバター」という趣向が生まれました。これもリアル(コンタクトセンター)とデジタル(3Dアバターチャットボット)が融合した一つかと思います。

3Dアバターチャットボット

契約者からの各種問い合わせに対応する「3Dアバターチャットボット」。24時間365日利用でき、リアルな表情の変化やまばたき、言葉に合わせた口の動きを3Dアバターで実現。自然なコミュニケーション体験を提供している。

今回の受賞は、DXによる新たな価値の創造と提供をミッションに取り組んできた方向性は間違っていなかったという確信と、グローバルで評価いただいたという自信につながり、今後に向けて大きな励みとなりましたね。