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被災マンションの再建は困難が伴う。工事費の急騰で事業性が圧迫される中、生活の再建と並行して建物の再建も進めなければならないからだ。事業協力者として木造密集市街地の共同建替えにも参画する旭化成不動産レジデンスでは、災害への備えとして平時からの建替え検討を勧める。

被災マンション建替えは慌ただしい。建替え理由が被災にあるだけに公的な支援を期待できるが、それを受けるには期限がつきもの。限られた期間内に合意形成を進めなければならない。

2016年4月に起きた熊本地震の被災マンション「上熊本ハイツ」も同様だった。建替え事業の事業性を考えると、億単位の解体費用の負担は公的支援を有効活用したい。それには、2017年10月までに権利者の合意を得る必要があった。

順調に手続きが進み、被災マンションは2020年7月、「アトラス上熊本」に生まれ変わる。熊本地震による被災マンションの中では建替え第1号。事業協力者は、再建に向けた検討作業や合意形成を被災直後から支援してきた旭化成不動産レジデンスだ。

迅速な合意形成が可能だった理由は、どこにあるのか――。

旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所所長の重水丈人氏が指摘するのは、管理組合活動への意識の高さだ。「上熊本ハイツ」は管理組合の自主管理。しかも理事は、区分所有者全員が輪番制で担当してきた。

「居住者は全員避難していたものの、多くの人は隣の県立総合体育館に避難していたため、連絡をすぐに取れたのは好都合でした。区分所有者に対する説明会には常に、9割以上もの人が参加していたそうです」(重水氏)

被災マンション「上熊本ハイツ」の建替え

復旧・復興時は工事費急騰
事業性が損なわれる問題も

ただこの例はあくまで特別。一般的には被災マンションの建替えは困難が伴うと考えたほうがいい。

重水氏は解説する。「被災マンションの建替えでは生活の再建と同時に建物の再建を進めなければなりません。公的支援を得るにも期限があるため、迅速に進める必要があります」。

事業性にも響く。震災後、被災地では復旧・復興に向けた工事が集中するため、工事費が急騰する。工事費が上がれば、それだけ区分所有者の資金負担は増す。合意形成には妨げになる。

耐震性の低さなど災害に対する弱さが心配されるマンションにとって一番はやはり、平時のうちに備えておくこと。余裕を持った検討が、誰もが納得のいく結論を導き出せる。

とはいえ、「上熊本ハイツ」で建替えに踏み出せたのは、被災したからこそ。平時の検討は動機付けが弱い。「被災」という共通体験がない中で区分所有者の意識をそろえるには、合意形成を支援するノウハウが不可欠だ。

旭化成不動産レジデンスでは東京圏を中心に高経年マンションの建替えに事業協力者として参画し、そのノウハウを磨いてきた。最近は、木造密集市街地の共同建替えにも参画し、権利者の合意形成を支援している。

その一つが、東京・中延の共同建替え事業だ。老朽化した木造家屋が密集する一帯は2019年2月、安全性の高い鉄筋コンクリート造の「アトラス品川中延」に生まれ変わった。

木造密集市街地(東京・中延)の共同建替え

安全なまちづくりにも貢献
共同建替えでも合意形成を

地元品川区では防災面で課題を抱えていたこの地区で、2007年度から防災まちづくりに取り組んできた。地元では機運が高まり切らない中、旭化成不動産レジデンスが合意形成の支援事業を区から受託し、実現に向け動き出す。2014年3月には権利者が共同建替えを具体的に進めるための準備組織を立ち上げ、旭化成不動産レジデンスを事業協力者として事業化の道を探り始めた。2016年2月には事業主体を立ち上げ、行政のお墨付きを得る。

マンション建替え研究所の長谷川敦氏は「デベロッパーとして共同建替え後の姿を具体的に示しながら、これまで培った合意形成を支援するノウハウを生かし、事業化に至ることができました」と、完成までを振り返る。

合意形成の支援で大事なことは何か。重水氏は「権利者には、社員自らが面談することです」と言い切る。

合意形成では、権利者一人ひとりに正しい情報を伝えると同時に、一人ひとりから意見を聞き取り、それを建替え計画に反映させることが、極めて重要である。それを確実にやり切るには、社員自らが個別に面談するのが一番という。「社員自ら靴を脱いで権利者宅に上がり込むデベロッパーは珍しいかもしれません」と、重水氏は笑う。

旭化成不動産レジデンスにとっては、高経年マンションの建替えも木造密集市街地の共同建替えも、果たす役割は同じ。権利者の合意形成を支援し、災害に対して安全・安心な住まいづくり・まちづくりに貢献することだ。

高経年マンションの中には耐震性が十分でないものが少なくない。地震災害への備えを、どうするか――。検討を始めるなら、平時からだ。重水氏は「災害への備えとして、平時のうちから建替えに向けた検討を始めておくことがお勧めです」と呼び掛ける。

建替えを検討中のマンション管理組合の皆様向けに12月6日からセミナーを開催します。
詳細は、マンション建替え研究所のホームページをご覧ください。

Content

旭化成不動産レジデンス

建替え検討は平時から、余裕を持って進める再生後の姿を示し、合意形成を支援
社員自ら権利者に向き合い、意向確認

タカラレーベン

活性化を後押しし、地域社会に恩返し建替えへの参画で社会課題に挑む
合意形成と事業化に独自性を発揮

日鉄興和不動産

成功に導くには、合意形成こそ欠かせない個別面談にも社内スタッフで対応し
権利者一人ひとりの意向に向き合う

総論

取り組み姿勢で事業協力者を選び
当事者意識を忘れずに合意形成へ