アラスジャパン
社長
久次 昌彦氏Masahiko Hisatsugu

Profile
日本のPLM導入の初期からコンサルタントとして活動し、大手製造業とも深く関わる。SAPジャパンでPLM事業の創設に携わった後、現職。PLM業界で20年以上の経験と実績を持つ。
製造業向けのPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)サービスを提供するアラスは、2000年に米国で設立。07年にPLMのサブスクリプションサービスの提供を開始した。現在の契約社数は365社以上、契約更新率95%、過去3年間の売上成長率44%と、業界をリードする成長を続けている。
日本法人であるアラスジャパン社長の久次昌彦氏は、サブスクリプションビジネスの特徴と、従来の売り切りビジネス、保守ビジネスとの違いについて解説する。
サブスクリプションビジネスというと、ネットフリックスのような音楽配信サービス、セールスフォースのようなクラウドビジネスなどが思い浮かぶだろう。昨今では他業種にも広がりを見せているが、製造業ではまだ少ない。
久次氏は、サブスクリプションで成功している企業に共通する要素の一つは、「商品」に対する考え方をしっかり持っていることだという。「売り切りではモノに対して価格を付けますが、サブスクリプションでは、あくまでもサービスを売るという考え方に立ちます。また、売り切りでは売ったモノ以外の機能はオプションですが、サブスクリプションでは新しい機能は原則として価格に含まれます」
また顧客に対する考え方も、売り切りでは「1対多」なのに対し、サブスクリプションは「1対1」を基本として、顧客の顔が見えている売り方を考える。顧客との関係は、売り切りでは購入した時点で関係が切れることも多いが、サブスクリプションでは、むしろ購入から関係が始まる。商品中心から顧客中心へ移行し、商品の「所有」から「利用」へ転換することが、サブスクリプションのビジネスモデルといえる。
「例えば人の移動を考えると、これまでは、利用する乗り物の代金はすべて個別に払っていました。しかし、最近注目されている『MaaS(Mobility as a Service)』と呼ばれるモデルでは、一つの契約であらゆる移動手段が使えることを目指しています。そしてMaaSでは、サブスクリプションであることが必要不可欠なのです」(久次氏)

売り切りとサブスクリプションのビジネスモデルの違いについてまとめた図。
「企業は商品に対する考え方を大きく変えなければいけない」と久次氏は説明する。