——企業の「外」のプラットフォームとして、ポイントや電子決済などの経済圏が注目されています。
事業規模が大きな企業ほど、自社のECチャネルだけでは購買接点をカバーするのは難しく、とくに消費財メーカーの場合では、リアル流通経由での「顧客の顔が見えない」間接的な販売に依存しているのは言うまでもありません。ここ数年で○○ポイント、○○ペイなどといった「決済・購買のデジタル化」が急速に進んだことで、「誰が、いつ、何を買っているか」が、高精度で、かつ大規模なIDにひもづく形で捕捉ができるようになっています。

杉浦 友彦氏
株式会社電通デジタル
副社長執行役員
1998年電通入社。以来一貫してデジタルビジネスに従事。2013年に運用型広告専門会社のネクステッジ電通を設立、代表取締役社長に就任。16年に電通デジタルに合流し、20年より副社長執行役員としてデジタル広告、コマース、統合デジタルマーケティング事業を管掌。 ※2021年11月時点の情報です。
そのデータの利活用により、顧客の解像度を高めることはもちろん、継続的な販促や、より良い顧客体験の提供、ひいてはIDを軸にしたLTVの改善サイクルを回すことができるようにもなってきました。
我々はその一連の取り組みを「経済圏マーケティング」と称しており、次世代の「垂直統合型」のマーケティングの土台として考えています。もちろん、IDデータの利用には個別の許諾が必要になりますが、許諾が得られているデータだけでも十分に自社が持つ顧客データの補完と、売り上げ拡大のインパクトを作ることが可能な状況になってきています。
我々は、「内」の自社IDデータと、「外」の経済圏IDデータ、それぞれに足りないものを補完し合いながら、今後は両輪でその活用方法を磨いていくことが、マーケティング変革のカギになると考えています。
——電通デジタルは、企業が経済圏を意識したマーケティングを実施する際に、どんな支援ができますか。
電通グループの明確な強みは、現存する多くの経済圏プレイヤー、いわゆるプラットフォーマーや、リテール企業様と、独自のデータに関するパートナーシップを築いている点です。
ユーザーのプライバシーに最大限の配慮をしながら、プラットフォーム上での広告接触ログや属性データ、購買データ等を統合して、セキュアに分析できる環境を、電通グループではData Clean Roomと称しており、経済圏データのポテンシャルをフルに引き出せる支援体制を、当社では100人規模で整えています。ここ数年で、すでに累計数百社以上の企業のご支援を行っており、実践知を蓄えながら、各種の自動化も進めており、サービスをスケールしていくフェーズに入っています。
もう一つの強みは、我々が考えるデータの利活用は、あくまで「生活者の気持ち」に寄り添い、「良質な顧客体験を提供する」という目的に立脚しているという点です。
自社チャネル内、あるいは経済圏の中における生活者の行動把握は、無機質なデータとしてではなく、その先の「ヒトの気持ち」を想像するための手段であることを忘れてはなりません。生活者は、どんなコミュニケーションをされるとうれしいのか、商品を欲しくなるのか。逆に、何が気持ち悪いのか。ネット専業やテクノロジー中心の企業の場合、どうしてもクリック数やコンバージョンといった数値の改善に向かっていきますが、当社はあくまで生活者の行動を理解するための経済圏データ活用に軸足を置いて、顧客体験をどうより良く改善するかを中心にPDCAサイクルを回していく点が本質的に異なります。
世の中では「DX」がバズワード的にもなっていますが、少なくともマーケティング領域におけるデジタル変革が目指すべきは、事業のトップラインを成長させること、あるいはマーケティングのROIを改善することだと考えています。その上では、「自社チャネル(=内)と経済圏(=外)の両輪活用」と「良質な顧客体験の提供」、この2軸は不可欠な要素です。電通デジタルは、最も本質的で、最も高度な課題解決ができるマーケティング・ファームとして、中長期的にクライアント企業の事業成長に伴走していきたいと考えています。