Creating Together

 

Vol.15事例:横浜銀行 100年の歴史を持つ横浜銀行の
新たな挑戦に伴走

デジタルですべきことを
社内で共有できているかどうかがカギ

電通デジタル・篭島俊亮氏(以下、篭島)金融業界はDXが進みにくいという声もありますが、先ほど非対面へのシフトというお話が出たように、コロナ禍を契機に変化が起きています。横浜銀行さんではどのような取り組みをされていますか。

南波コロナ禍で象徴的だったのが支店の店舗やATMコーナーです。外出自粛の期間中でも、店頭・ATMコーナーには行列ができていました。現金が必要なお客さまだけでなく、振り込みや通帳記帳、残高照会に並ばれている方も少なくない。これを解決するためにも、アプリやインターネットバンキングをもっと浸透させたいと感じました。そこで、公式サイトでの周知の他、ATMコーナーにアプリのQRコードを掲示したり、店舗にデジタルサポートスタッフを配置して非対面取引のご案内をしたりと、地道ではありますが、利便性の先にはより良い暮らしがあることが伝わるような取り組みを進めています。

南波 大介

南波 大介

株式会社 横浜銀行
デジタル戦略部
副部長

株式会社 横浜銀行に入行後、経営企画、海外駐在、営業企画等に従事。新型コロナウイルス感染症への警戒が高かった2020年3月に米国・ニューヨークから帰国し、非対面取引の重要性を再認識。22年4月から現職。

篭島 俊亮

篭島 俊亮

株式会社電通デジタル
執行役員

電通入社後、テレビ局の担当を経てメディアプランナーとして従事。その後はキャンペーン、プロモーション、デジタルメディアのPDCAまで、トータルコミュニケーションのプランニングへと領域を拡大。2021年から電通デジタルの執行役員に就任、現在はメディア&コミュニケーション領域と全社のケイパビリティを統合してサービスを提供するアカウントチームを管掌。

篭島お客さま目線でどのような価値を提供するかというのは重要なポイントです。電通デジタルでは、「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2021年度)」というアンケートを実施しましたが、多くの企業でDXが経営アジェンダ化している中、「消費者や顧客の期待に応えられていない」と感じている企業が4割近くにも上っています。

 うまくいっている企業とそうでない企業のどこが違うかを分析すると、社会が変化する中で自社がどうあるべきか/デジタルを使ってどんな提供価値をつくっていくべきかを意識しているかという点に加え、そうした理解が社内全体に浸透しているのかが重要なファクターであることが分かっています。社内体制についてはどのように取り組んでおられますか。

本山せっかく構築したマーケティングプラットフォームを今後もサステナブルに運用していくために、人財の確保と育成が重要だと考えています。スキルトランスファーを実行して、何年たっても、担当者が代わったとしても仕組みを回せる体制にしていくことが今後の課題ですね。

 また、行内の理解促進という点では、説得するのではなく共感を得ることを重視しました。例えば、横浜銀行が提供しているデジタルソリューションは、実際に行員が使ってみるように働きかけをしています。そこで利便性を実感できれば、共感を持って地域のお客さまに提案できるからです。

篭島まさにお客さま目線の顧客体験の提供ができているわけですね。我々も伴走のしがいがあります。

本山電通デジタルさんは、ミッションとして「クライアントの事業成長パートナー」を掲げておられますよね。プラットフォームを構築して終わりではなく、内製化できる体制づくりにも尽力していただき、まさに伴走していただいていることを実感しています。また、我々横浜銀行の行員だけでなく、エンドユーザーである当行のお客さまにも目を向けていただいているところが、他のコンサルティング会社とは大きく違うところだと思います。

篭島そう言っていただけるとうれしいです。電通デジタルは、システムの構築や仕組みの設計だけでなく、消費者に近い広告やクリエイティブも含めてご支援できるケイパビリティが強みです。横浜銀行さんが明確なビジョンを全社的に共有されているからこそ、我々もワンストップで徹底したご支援がしやすいのだと思います。

今後は顧客にリーチする
様々なコンテンツ制作にも挑戦

小林様々な取り組みについてご紹介いただきましたが、今後はどのようにDXや顧客体験の変革を推進されるのか、電通デジタルに対するご期待やご要望も含め、展望をお聞かせください。

本山当面の展望としては、次世代マーケティングプラットフォームの課題を改善していくことが、価値ある顧客体験の提供、ひいては地域社会への貢献につながると考えています。例えば、先ほど非対面へのシフトという話が出ましたが、お客さまの反応はやはりまだ対面のほうが把握しやすい。この課題を克服するために考えていることの一つが、アプリのアップデートです。現在、次期スマホアプリの開発を進めていますが、バンキング機能に加え、非金融機能を搭載して、お客さまのペインポイントやニーズをより一層把握し、有効にサービス改善に生かしたいと考えています。

デジタル戦略の全体像

個人・法人の顧客に対して利便性を向上させるだけでなく、今後はアプリに非金融機能を搭載するなど、ビジネスモデルの変革を通して、新たな顧客体験の提供や地域社会の発展に貢献したいというのが横浜銀行のデジタル戦略だ

小林今日のお話でたびたび出ているビジネスモデルの変革ですね。先ほど南波さんがおっしゃった先回りのアプローチにもつながっていますね。

南波デジタル技術はあくまでも手段やツールであって、目的はやはりお客さまのニーズがどこにあって、そのニーズに対して共感していただける価値を我々が提供していくことだと思います。デジタルは日進月歩なので、銀行のリソースだけで最適化し続けることは現実的に困難です。そのためにも良きパートナーが必要なので、電通デジタルさんには期待しています。

本山さらに先の展望としては、お客さまにリーチする様々なコンテンツを準備する必要もあると考えています。これは横浜銀行にとって未知の領域への挑戦になりますが、電通デジタルさんにとっては得意分野だと思いますので、こちらの面でもぜひ領域を広げるサポートをいただけるとうれしいです。

小林お話を伺って、対面営業に自負を持ちつつ、価値のある顧客体験やビジネスモデルの変革の実現のためにDXを推進されている横浜銀行さんの事例は、多くの企業にとって参考になると感じました。

 DXがなかなか進まない企業の中には、これまで築き上げた洗練されたビジネスのあり方がかえって足かせになっているケースもあります。しかし、デジタルへの変化がもはや不可逆的となっている中、いかにして提供できる価値をアップデートするかという発想はますます重要になります。その想いを持った個人やチームを電通デジタルがサポートさせていただくことで、多くの企業がDXを実現し、一緒により良い世界をつくっていくことに貢献できればと思います。