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Vol.16事例:小野薬品工業 医療情報のあり方を変えるデータ基盤 患者さん・医療従事者の体験を軸に
小野薬品ならではの
“人中心”のDXを実現

「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念の下、創業から300年以上の歴史の中で、世界に通用する独創的な医薬品の研究開発を行ってきた小野薬品工業(以下、小野薬品)。医療従事者への情報提供や患者さんの問い合わせ対応をよりスピーディかつ正確に行うためにIT基盤の整備に着手、パートナーとして電通デジタルを選択した。小野薬品が目指す“人中心”のDXとは――。両社のキーパーソンに話を聞いた。

DXによる顧客起点での体験提供が
製薬・ヘルスケア業界に必要

電通デジタル・福井佑樹氏(以下、福井)小野薬品では、製薬企業を取り巻く環境の変化を受けて、“人中心”のDX戦略を掲げ、顧客への新たな価値創出へのシフトを進めていらっしゃいます。どのような視点でDX推進をされているのか、コンセプトや目指す姿について教えてください。

小野薬品工業・磯村哲氏(以下、磯村)製薬業界全体としては、これまで「当社は、この領域で研究開発を進める」といったポジショニング戦略と、バリューチェーンごとに性能を高めるコアコンピタンス戦略を進めてきました。これは、いわば競争環境が見えている時代の戦い方です。しかし、競争環境が見えづらい時代となった今、社内でもイノベーションの重要性が議論されるようになりました。ただ、一言に「イノベーション」と言うのは簡単ですが、“軸”を持たずに進めていても、言葉だけが先行し成果も上がらないままに終わってしまうケースもあり得ます。

 そこで、当社ならではの「人間味を生かしたDX戦略」が重要と考え、患者さんとご家族、医療従事者、ONO Teamの三方に、より良い体験を提供する、エクスペリエンスの向上を軸としたイノベーションを進めることにしました。

磯村 哲 氏

磯村 哲

小野薬品工業株式会社
デジタル戦略企画部 部長
兼 デジタル戦略企画部
データ戦略企画推進室 室長

東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻修士課程修了。三菱化学、ゾイジーン、モレキュエンスにて研究や新規事業立ち上げに従事。その後、三菱ケミカルホールディングスなどを経て2021年に小野薬品工業入社。データサイエンスを軸としたデジタルビジネス変革に従事。

福井 佑樹 氏

福井 佑樹

株式会社電通デジタル
ビジネストランスフォーメーション部門
部門長補佐 兼
デジタルインテグレーション事業部
事業部長

外資系SIerにて約20年間、ITシステムのコンサルティング、構築、運用改善をリード。電通デジタル入社後は、主に統合デジタルマーケティングコンサルティングを担当。メディカル領域では、データを活用した医師と製薬会社の最適なコミュニケーションを提案している。

福井製薬・ヘルスケア業界を取り巻く環境においては、これまで医療従事者しか情報を得られなかったところから、テクノロジーの進化により患者さん自身が多くの情報に触れて判断できる、いわばヘルスケアやメディカルの民主化が進んでいるように感じています。その中で、電通デジタルでは製薬・ヘルスケア業界にもDXによる医療従事者や患者さん起点での体験提供が重要だと考えています。

 小野薬品の“人中心”のDX戦略の一つとして、MRのオムニチャネル化を支援させていただいておりますが、そもそもMR活動にどのような変革をもたらしたいとお考えだったのでしょうか。

小野薬品工業・佐藤元章氏(以下、佐藤)医療従事者は、患者さん個々の病態や治療ニーズに沿って、究極は一人ひとりの患者さんに合った治療を目指されています。それに対し、当社としては、MR活動による適切な相手、タイミング、チャネル、情報を提供していくべきと考えています。これはおそらく、どんなにテクノロジーが進化しようとも変わらないコアな部分。MRという人間の役割の中で、最後まで残る仕事であり、デジタル活用が進むこれからも大事にしていきたいと考え、MRを中心に据えた情報提供活動のオムニチャネル化を進めてきました。

小野薬品のDX戦略

小野薬品らしい挑戦を加速させ、“人中心”のDX戦略を軸に、患者さんとご家族、医療従事者、ONO Teamの三方へ体験価値を高めていく