Creating Together

 

Vol.20事例:サッポロビール ヱビスファンを徹底理解し、ファンを育む 顧客とブランドが相互交流できる
前例のないSNS構築への挑戦

まるで仮想の街で生活しているかのように様々なコンテンツを楽しめて、“ヱビス”をきっかけにつながり、語り、共創していく――。そんなヱビスビールのファンコミュニティサイト「ヱビスビアタウン(YEBISU BEER TOWN)」が話題を呼んでいる。ブランド運営のSNSという前例のないことに挑んだ背景、目指す世界について聞いた。

ファンマーケティングの要諦は
ファンの徹底理解にある

——2022年9月に本格ローンチされたヱビスビールのファンコミュニティサイト「ヱビスビアタウン(YEBISU BEER TOWN)」は会員制参加型でヱビスファン同士が交流できるのが特徴です。ブランドが運営するSNSという、ありそうでなかった発想が生まれた背景について教えてください。

サッポロビール・福吉敬氏(以下、福吉)ヱビスブランドでは、「Color Your Time! YEBISU」をコンセプトに、これまでもメルマガやFacebook、ブランドサイト、オウンドメディアなど様々なコンテンツを活用し、情報発信を続けてきました。

 接点は数多くあるものの、「お客様がどんな想いでヱビスと向き合ってくださっているのか」をもっと知りたい。そんな思いから21年夏、メルマガでアンケートを実施したところ、数千人から熱のこもった回答をいただきまして、中でも多数挙がってきたのが「同じヱビスファン同士、交流を深めて、ヱビスの楽しみ方を共有したい」という声でした。

 こんなにも多くの方が“横のつながり”を求めていらっしゃると知り、何としてもお客様の熱量の高さに応えたい。そこで、「東京都渋谷区の恵比寿という街の名の発祥はヱビスビールにある」という歴史を背景に、「“ヱビス”を介してつながるデジタル上の街をつくったらどうだろう」と考えたのが基点となっています。

福吉敬氏

福吉 敬

サッポロビール株式会社
マーケティング本部 ビール&RTD事業部
ヱビスブランドグループ
シニア メディア
プランニング マネージャー

国内酒類メーカーから外資メーカーを経て、2014年、ビール系商品のブランドマネージャーとしてサッポロビールに入社。15年9月より、宣伝室のデジタル担当に着任。21年4月より、ヱビスブランドにジョインし、ヱビスのコミュニケーションプランニングを担う立場となる。

サッポロビール・沖井尊子氏(以下、沖井)以前にも、リアルでお客様が交流できる会を実施したことがあるのですが、初対面のお客様同士、“ヱビス”をきっかけに楽しく盛り上がるシーンを多く目にしてきました。

 こうしたコミュニティがオンラインで広がれば、既存のファンの方に加え、新たなファンとの出会いにもつながるのではないか。SNS構築という新たな挑戦に伴走してくださるパートナー企業を探す中、電通デジタルさんにお願いすることとなりました。

沖井尊子氏

沖井 尊子

サッポロビール株式会社
マーケティング本部 ビール&RTD事業部
ヱビスブランドグループ
ブランドマネージャー

家庭用営業を経験した後、ビール・発泡酒・ノンアルコールビールの商品開発とリニューアルに携わる。2019年よりブランディングや商品開発・広告・販売などのマーケティング戦略の立案・実行を行うビール&RTD事業部で、ヱビスブランドを担当。20年春、ブランドマネージャー就任。

——電通デジタルとして、ヱビスブランドの新しいSNSのような場の構築というお題を聞き、当初、どのような提案をされたのでしょうか。

電通デジタル・廣田明子氏(以下、廣田)ファンを育み、増やしていくファンマーケティングは、売り上げなどの指標に効果が反映されるまで時間がかかる中長期的な手法です。よって、急いで交流サイトやコミュニティを作っても、目的を見失ったり、中途で頓挫してしまうケースも散見されます。

 そんな失敗に陥らないためには初動が肝心。まずは、リサーチを通じて、ヱビスファンを徹底して理解し、ファンの解像度をチームで上げていくというプロセスの重要性をお伝えしました。

 そのフレームワークとしてご提示したのが「Fan Farming CX」です。一言でファンと言っても、様々なロール、フェーズがあります。Fan Farming CXとは、ブランドに対して、支援力が高いパワーファンを育むことはもちろん、よりファン化しやすいポテンシャルファン(種)も育み、共に事業・ブランドを成長(開花)させる“仲間”を増やしていくという考え方です。

 この手法を軸に、ヱビスのFan Farming Data Platform(FFDP)となるような新しい顧客とのコミュニケーションフィールドを作っていくことをビジョンに、実装までトータルに支援するプロジェクトデザインをご提案しました。

福吉ご提案を聞いて、私たちの目的は単にSNSを作ることではなく、「ヱビスブランドを愛してくださっている方、これから好きになってくださる方に向き合い、想いにしっかり応えていく」という目指すべきゴールを改めて認識しました。前例のない挑戦に向け、力強い伴走役を得たという想いでしたね。

既存ファンとポテンシャルファン両方を育む新交流サイトを構築

電通デジタルが提唱するファンマーケティングの手法、「Fan Farming CX」に基づき、既存ファンとの関係性を育みながら、ファン化しやすいポテンシャルファン(種)を育成。ヱビスのFFDPとなるようなコミュニケーションサイトの構築を目指し、実装支援までサポート