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利便性を超えたコミュニケーション・プラットフォームへ―お客さまの長い人生に寄り添うデジタルツール「Myページ」 利便性を超えたコミュニケーション・プラットフォームへ―お客さまの長い人生に寄り添うデジタルツール「Myページ」

サービスのデジタル化には、陥りやすい落とし穴がある。デジタルツール開発の現場と、最終的なお客さまとの接点を持つ現場との距離に乖離(かいり)があり、お客さまのニーズが十分に反映されないまま開発が進められてしまうことだ。その点、お客さま視点を最上位に置いて開発を進めることで、利便性の向上はもちろん、その先の潜在ニーズである「お客さまとのコミュニケーションの向上」まで踏み込んで実現したのが、ジブラルタ生命の「Myページ」だ。デジタルツールを「コミュニケーション・プラットフォーム」へと進化させた、その開発ストーリーに迫る。

お客さま視点で開発された
デジタルツール「Myページ」

添田 毅司 氏
ジブラルタ生命保険株式会社
代表取締役社長 兼 CEO

 世界的なデジタル・トランスフォーメーション(DX)によって、さまざまな業界でデジタル化が加速している。生命保険業界も例外ではなく、契約手続きの簡便化や、業務効率化を目的としたデジタルツールの開発・導入が進みつつある。

 しかし、DXで陥りがちなことの一つが、開発チームがその利用者となるお客さまと直接的な接点を持たないがゆえに、「お客さま視点」を十分持ち得ないまま開発が進められてしまうことだ。

 「社員には『自分がお客さまだったらどうしてもらいたいか?』という視点でサービスを考えてほしい、とよく話しています。生命保険は商品の特殊性から、企業側の常識や慣行にとらわれてしまいがちです。お客さまの視点でフラットに眺めてみると、改善すべきことが必ず見えてきます」。そう話すのは、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員であり、2021年4月で20周年を迎えたジブラルタ生命保険の添田毅司代表取締役社長 兼 CEOだ。2019年の代表就任以来、お客さま視点で商品やサービス、コミュニケーションの手法を見直すことを社員に求めてきた。その中で2021年7月にリリースされたのが、お客さまと同社のライフプラン・コンサルタント(LC)とを結ぶ新たなデジタルツール「Myページ」だ。

「My ページ」トップ画面例

「Myページ」トップ画面例
(スマートフォンバージョン)

My ページのサービス一覧※2021年12月24日現在
My ページのサービス一覧※2021年12月24日現在
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目指したのは利便性向上だけでなく
「コミュニケーションの充実」

 もともと添田社長が就任した2019年以前から、契約手続きなどの簡便化を図るデジタルツール開発のプロジェクトが進められていた。しかし、その中間報告を受けた添田社長は違和感を抱いたという。

 「事務処理の効率化という視点ではよく設計されていたのですが、このツールがお客さまにどのような価値をもたらすのか、そして現場のLCがこのツールをどう使ってお客さまとコミュニケーションを取るのか、というお客さまとのタッチポイントへの想像力が欠けていると感じたのです」と、添田社長は当時を振り返る。

 そこで、お客さま視点でもう一度デジタルツールの設計を見直すプロジェクトを発足。お客さまとLC総勢で30人ほどにインタビューを実施し、コミュニケーションの現場で生じている課題を洗い出した。

 生命保険は20年、30年と長きにわたってお客さまの人生に寄り添い、伴走していくもの。「そのため、長い契約期間の過程でどうしてもお客さまとの距離が広がってきてしまいます。保険金を確実にお届けするために、解決すべき課題であると特定しました」と添田社長は語る。

 この課題を解決するためには、お客さまの長い人生に寄り添う「コミュニケーションツール」が必要だと結論づけ、実現すべきポイントを大きく3つに整理した。第1に、あらゆるお問い合わせにワンストップで対応できる窓口。第2に、お客さまが抱える不安を解消するためのオプションサービスの充実。第3に、お客さまとのコミュニケーション機会を増やすこと。これらの3つのポイントをすべて満たすデジタルツールとして、Myページは誕生した。

オンライン医療相談サービス、
ライフプラン閲覧機能も搭載

 Myページは、各種契約手続きや契約内容の確認などをワンストップで行うことができる。加えて、LCの顔写真と連絡先をトップ画面に表示。「常に担当者の顔が見られる身近なツール」として利用してもらうとともに、困ったときにいつでも気軽にコンタクトできるよう設計した。

 自宅にいながらオンラインで健康リスクをチェックしたり、医療相談ができる機能もMyページの特徴の一つだ。添田社長は「契約期間中にお客さまが潜在的に抱えている医療・健康に関する不安を取り除くことで、保険プラスアルファの価値を提供しつつ、LCとのコミュニケーション機会を増やし、LCの存在意義を実感していただきたい」とその狙いを説明する。

 さらに、Myページにはもう一つ重要な機能を持たせた。契約時の保険の設計書や商品パンフレットを電子的に記録・閲覧できる機能だ。

 生命保険は、ライフステージの変化に応じて見直しが必要になるが、なぜその契約内容にしたのか、お客さまの多くは覚えていないものだ。契約時から現在に至るまでの経緯を「見える化」し、Myページ上に蓄積してLCと共有することで、見直しの際にも過去の経緯を振り返りながらコミュニケーションを取ることが可能になった。「お客さまとのコミュニケーションの深度を増す上でも、このライフプランに関する記録・閲覧機能は不可欠でした」と添田社長は言葉に力を込める。

お客さまに寄り添う「カルチャー」
それこそがジブラルタ生命の強み

 Myページの開発が進められたのは、折しも長期化する新型コロナウイルス禍のさなか。LCもなかなかお客さまのもとに足を運べず、コミュニケーションの機会が失われていた。添田社長は「初めから完璧なサービスを目指して開発に時間をかけるよりも、一日でも早くサービスを開始させることにこだわった」と語る。そのかいもあって、遠方在住のお客さまからは「コロナでなかなか担当者と会えないのですが、Myページで担当者の顔写真を見られて安心しました」との感謝の声があったという。

 これだけ豊富な機能を備えたMyページ。ところが、添田社長は「デジタルツールそのものはいずれキャッチアップされる。問題は『どう使うか』です」と強調する。

 「都市部から離島まで全国各地に営業拠点を持つジブラルタ生命には、お客さまに寄り添うカルチャーが根付いています。そのカルチャーがあってこそ、コミュニケーションツールとしてMyページを最大限に活用することができるのです」(添田社長)

 どんなデジタルツールも、使うのは「人」。普段から「お客さまの長い人生に寄り添う」コミュニケーションを実践するジブラルタ生命のLCが使うことで初めて、Myページの機能が発揮されるのだ。

 お客さまの長い人生に寄り添う―ジブラルタ生命の普遍的なカルチャーを礎に、Myページはこれからも、走りながらその機能を進化させていく。

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