日経ビジネス電子版 Special

“心を動かす”デザインの力がビジネスの価値を高め、成功に導く|株式会社グッドパッチ

コロナ禍でDX化が進む中、UI/UXの重要性が高まっている。デザインの力でこの課題に挑戦するグッドパッチの取り組みとはどのようなものなのか。

起業の原点になったのは米国インターンで触れたデザイン起点の事業創出

「デザイン」と聞くと、多くの人は装飾的な面を連想するかもしれない。しかし、ビジネスにおいてユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が当たり前となっている現在、デザインの担う役割は単に見た目をきれいに整えるだけではなくなっている。いち早くデザインの重要性をビジネスに取り入れ注目を集めているのがグッドパッチだ。

同社代表取締役 兼 CEOの土屋尚史氏がグッドパッチを創業したのは2011年。当時、ウェブディレクターをしながら起業のチャンスを探っていた土屋氏は、シリコンバレーのデザイン会社でインターンをする機会を得て渡米し、そこでUI/UXデザインの最前線に触れたという。

「2008年にiPhone 3Gが発表されて3年、当時の米国はちょうどスマートフォンが浸透しつつあった時期で、スマートフォン関連の新サービスが日々生まれていました。そこで私が興味をそそられたのは、とにかくどのスタートアップのプロダクトを見ても、日本とは違ってUIが優れていたという点です。なぜこんなに洗練されているのかを考えたのですが、創業者の中にデザイナーがいるケースがほとんどでした。彼らは開発中のベータ版の時点から、どうすれば最適なユーザー体験を提供できるのかを念頭に、デザインと一続きのインターフェースを考えていたのです。事業創出の初期段階からデザイナーが関わり、ビジネスの重要な差別化要素としてユーザー体験をデザインするという考え方は、今後日本でも必ず主流になると確信し、グッドパッチの創業へとつながっていきました」

グッドパッチは、ビジョンに「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」を、ミッションに「デザインの力を証明する」を掲げている。あえて「デザイン」を前面に押し出しているのは、米国で体験したデザインを軸とするUI/UXが起業の原点だからだ。

上流から参加することでクライアントの価値を高めるUI/UXが生み出せる

グッドパッチの「デザインパートナー事業」は、同社の強みであるUI/UXデザインを活用して、新規事業の立ち上げやブランド構築といったクライアント企業のビジネス課題解決に取り組んでいる。土屋氏は、同事業に強いこだわりを持っていると言う。

「最上流からパートナーとして参加できる案件だけに絞っています。なぜなら、従来のような受託型では、クライアント企業のビジネスの本質を見抜いて、最適なインターフェースを生み出すことができないからです。お客様というよりも仲間という意識なので、忖度なしに意見も言えますし、同じ熱量を持って並走できるのです」

そのマインドを事例から探ってみよう。サントリー食品インターナショナルがリリースした「SUNTORY+(サントリープラス)」は、契約した企業の従業員向けのヘルスケアサービスで、アプリ内で提示する簡単な健康タスクを実行することで、ユーザーの健康行動の習慣化をサポートする。グッドパッチは、このサービスの構想段階から参画。一般的なヘルスケアサービスの継続率は1カ月で15%を下回るところ、SUNTORY+は半年後も65%を誇る。「健康行動は継続することが重要なので、どうすればエンドユーザーが使い続けたくなるインターフェースができるのか、とことんまで議論しました。当社はデザイン会社なので、アイデアが出たら精度の高いデザインですぐに形にできますし、フィードバックとブラッシュアップのサイクルを早く回せます。この点は当社の明確な価値だと思っています」。

SUNTORY+は、親しみやすい操作性や優れたインターフェースなどが評価され、2021年4月、国際的に権威のある「iFデザインアワード2021」を受賞している。とくにビジュアルデザインの審査項目が高得点だったとのことで、まさにグッドパッチのミッションであるデザインの力が証明された形だ。

写真:アイデア出しの様子

議論を重ねて練ったアイデアを基に、実際のアプリに近いプロトタイプを作り、検証と実装を繰り返して仕上げていった

知見の水平展開や人材育成を通してビジネスをアップデート

グッドパッチは、2020年6月に東証マザーズ上場を果たした。デザイン会社としてIPOが新規承認されるのはマザーズ市場で初めてのケースだというが、そもそもデザイン会社が上場を目指すこと自体が稀有な例だ。しかし、ここにも土屋氏の戦略がある。

「法人として組織を大きくするメリットはいくつもあります。業種や業態にこだわらず事例を増やすこと、得られる知見を水平展開することで、クライアント企業でも気づいていなかった新しい価値が見つかったり、イノベーションにつながったりします。また、日本でも、ビジネスの上流に関わることができるデザインストラテジストの需要が高まっていますが、法人の仕組みがあれば、そうした人材の安定的な育成にもつながります」

日本のビジネスコンサルティングは、これまでデザインの視点で語られることがほとんどなかった。しかし、もはやデザインは表層の美しさだけに関わるものではない。ビジネスの本質的な課題を見出しデザインの力で解決に導くことに挑戦するグッドパッチに今後も注目したい。

画像:SUNTORY+(サントリープラス)

継続率を高めるため、健康行動はハードルを低く設定。さらに、アニメーションやメッセージで親しみのあるUIに仕上げた

写真:土屋 尚史氏

The voice of the person in charge

デザインの「誤解」を解き本当の価値を発信する

クライアント企業の課題解決に一気通貫で取り組む「デザインパートナー事業」と、デザイナーのキャリア支援「ReDesigner」やフルリモートデザイン組織「Goodpatch Anywhere」、オンラインホワイトボード「Strap」などの自社サービスを提供する「デザインプラットフォーム事業」を展開しています。今後も、グッドパッチならではの価値を提供し、デザインの価値向上に挑戦していきます。

グッドパッチへの問い合わせはこちら

写真:土屋 尚史氏

株式会社グッドパッチ
代表取締役 兼 CEO

土屋 尚史 氏

株式会社グッドパッチ
〒150-0032
東京都渋谷区鶯谷町3-3 VORT渋谷South 2階
https://goodpatch.com/