日経ビジネス電子版Special
次代を見据えたデジタル変革

時代を見据えたデジタル変革 三菱地所×HENNGE ONE 職場でも暮らしの場でもシームレスにオフラインとオンラインがつながる

テクノロジーで絶え間なくビジネスの変革が求められる時代。デジタルの巧拙がビジネスの成否を決めると言っても過言ではない。SaaS認証基盤/IDaaSが国内で多くのシェアを誇るHENNGE(へんげ)のユーザー企業である、三菱地所のDX推進部 ユニットリーダーの篠原靖直氏に、「デジタル変革への取り組み」をテーマにDXの現状をうかがう。

既存の不動産ビジネスに
デジタルの要素を盛り込む

──三菱地所は『DX注目企業2021』に選出されていますが、DX推進部とはどのような業務を担う組織ですか。

篠原氏
三菱地所
DX推進部 ユニットリーダー
篠原 靖直

 もともと、経営企画室内に社内のITインフラの保守やITガバナンスを担う機能があり、2018年下期にデジタル活用という要素を織り込んだDX推進室が発足しました。そのDX推進室がDX推進部という組織として独立したのは19年度です。

 メンバーのうちの半分は従来からの守りのITに従事しており、残りの半分が攻めのIT、DX推進に従事しています。

 攻め側の機能も2つに分かれていて、一方はデジタル事業ユニットと呼ばれています。このユニットでは、デジタル起点での新しいマネタイズポイントの創出をしています。例えば、ベンチャー企業と進めているエレベーター内にプロジェクターで広告を投影して配信する事業はこのユニットが担当しています。

 もう一つのユニットは、データ&UXデザインユニットで、私はこちらに20年度から所属しています。このユニットでは、既存の不動産事業領域にデジタルの要素を盛り込み、生産性と利益率を高めるという、世間一般で言われているDXを推進しています。

──具体的にはどのような取り組みを進めていますか。

 不動産業界にいる人は皆、同じことを感じていると思いますが、コミュニケーション手段としていまだにファクスが重宝されているなど、この業界はデジタイゼーションとデジタライゼーションがかなり遅れています。ですから、最先端の技術を取り入れるというよりは、他業界での先行事例を参考に、我々の業態に合うようにカスタマイズをしているのが実態です。

 私がこの部署に加わったのは、ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大し始めたころです。それまで、丸の内の就業人口は約28万人いました。週5日×1日8時間=計40時間、丸の内には28万人がいることを前提に、その方々にどのようにホスピタリティを提供するかという視点でビジネスをデザインしていたのですが、その前提が崩れました。おそらく、コロナが収束しても、従来と同じように28万人が毎日出社することはないでしょう。これはつまり、我々の不動産アセットの価値が減少するということです。それをどう克服するかが目下の最大のテーマです。

 ではどのような世界観を目指すのか。これについて、21年6月に『三菱地所デジタルビジョン』という形で示しました。

『三菱地所デジタルビジョン』の概念図

『三菱地所デジタルビジョン』の概念図
まちの関係者とオン・オフラインでオープンにつながるエコシステム「Mitsubishi Estate Local Open Network」(MELON)。外部連携も可能な共通認証 ID「Machi Pass」により、利用者の体験がデータとなって蓄積・最適化され、より良い体験で還流するUXの提供を目指す。
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