不透明で不確実な時代、企業は何のために成長を目指し、社会にどう貢献していくべきなのか――。10周年の節目を機に、日立システムズではこの原点を見つめ直すべく、取締役社長の柴原 節男氏が俳優・歌手としても活躍する夏木マリ氏と対談した。対談を通じて見えてきた、次世代へとつなぐ「想い」と「覚悟」とは――。不透明で不確実な時代、企業は何のために成長を目指し、社会にどう貢献していくべきなのか――。10周年の節目を機に、日立システムズではこの原点を見つめ直すべく、取締役社長の柴原 節男氏が俳優・歌手としても活躍する夏木マリ氏と対談した。対談を通じて見えてきた、次世代へとつなぐ「想い」と「覚悟」とは――。

東北の復興支援に力を入れる理由と想いとは

──『おかえりモネ』は東京と東北を舞台にしたドラマです。何かの役に立ちたい誰かの役に立ちたいと奔走する主人公の想いは、お二人にも通ずるところがあるように思います。日立システムズでも様々な形で東北の復興を支援しています。その具体的な取り組みや想いについて教えてください。

柴原:2011年3月11日の東日本大震災発生直後から現地ボランティアや募金活動、本業の強みを生かしたIT機器の復旧活動などに取り組んできました。こうした経験も生かして被災地住民のメンタルヘルスケアに貢献するソリューションの開発などを進めました。

 また、2013年7月からは仙台市の文化施設のネーミングライツを取得したほか、復興・地域支援を目的としたラジオ番組やイベントなどへの協賛というかたちで文化面の支援も行っています。

 このようなご支援をさせていただくのは、「真に豊かな社会の実現に貢献する」という私たちの企業理念に基づくもの。社会の役に立つことが企業の存在意義であると考えているからです。ただし、そのためには実業がしっかりしていなければなりません。実業と社会貢献活動は“車の両輪”。どちらも企業に課せられた重要な使命だと思っています。夏木さんも東日本大震災の復興支援に携わっていらっしゃいますね。どういう想いから活動を始められたのですか。

夏木:私は「One of Loveプロジェクト」の代表を務めていて、バラの購入を通じて途上国の子どもたちを支援する活動を続けています。そうした中、東日本大震災が発生しました。国内でも大変な被害に遭い、支援を求めている人がいる。何かできないか考えているとき、支援する途上国の子どもから「日本はいま大変な状況にある。私たちは大丈夫だから、近くで困っている人たちを助けてほしい」というメッセージが届きました。このメッセージに後押しされて、震災の復興支援にも力を注ぐようになったのです。

長い復興の道のりを共に歩む 継続的な支援が大切

柴原:夏木さんは具体的にどのような支援活動をされているのですか。

夏木:現地での支援活動はもちろんですが、俳優・歌手として被災地の方の力になれることもあるはず。こうした想いから、2018年に公開された映画『生きる街』に出演いたしました。震災から10年を迎えた2021年3月11日には、英国より発信する東北・福島復興祈念オンラインイベントにも参加したり、『おかえりモネ』でも登米の森を守る使命を持ち、主人公モネの未来を導く役を演じたりしました。

 被災地に足を運んで思うのは、皆さん大変な状況なのに気丈に振る舞われていること。いろいろ話を伺うと、一緒に前を向いていかなければいけないという気持ちになる。現地に行くと、幸せになって帰ってこられる。自分が動くことで、逆にこちらが元気や勇気をもらえるのです。

柴原:ご支援を通じて、逆にこちらが元気をいただいたり、勇気づけられたりすることも多い。支援やボランティアは一方通行ではなく、互いにつながっているのだなということを実感します。

――復興支援の継続や文化・芸術面からの支援は、日立システムズと夏木さんの共通点だと思います。その大切さをどのように考えていますか。

柴原:復興支援は、単にインフラや生活が元に戻ればよいというものでもありません。長い道のりを共に歩むという気持ちが大切だと思います。特に芸術、音楽、演劇などのエンターテインメントは、生きる勇気や感動を与え、人を前向きにしてくれます。辛いときだからこそ、それが心に染みる。エンターテインメントは当社が提供するシステム・サービスの運用や保守などと同様、社会に欠かせない必要不可欠な仕事ではないでしょうか。俳優をなさっている、夏木さんはどう感じておられますか。

夏木:現地に足を運べば、そこに出会いが生まれ、痛みを共有したいと思うようになります。支援を継続しているのは、私としてはいわば自然な流れです。もちろんコロナ禍になって、私たちの活動はこれまで通りには行えなくなりました。でも、いろいろ考えればできることはある。ライブ活動をリモートで配信したり、清水寺で毎年行っている奉納パフォーマンスも無観客で配信したりしました。心が折れそうになるときもありますが、少しずつ道を探って続けていくことが力になる。そう信じて自分を励ましながら活動しています。

ジョブ型人財マネジメントと俳優業の意外な共通点

夏木:実業と社会貢献という両輪を回し続けていくためには、現場で働く社員の方のモチベーションも重要ではないかと思います。何か配慮されている点はあるのでしょうか。

柴原:おっしゃる通り、企業が長く社会に貢献し続けるためには、その主役となる社員が元気でなくてはなりません。こうした観点から日立グループ全体では働き方改革を推進しており、その一環として「ジョブ型人財マネジメント」を取り入れることとしています。これは在宅勤務などが続く中で、職務内容を明確に定めて達成度合いを評価するもの。システム開発のプロジェクトはその代表例です。企画・設計、開発・テスト、全体のマネジメントなど細分化された仕事に適切な人を割り当てていきます。

夏木:なぜジョブ型人財マネジメントが生き生きと元気に働くことにつながるのでしょうか。

柴原:IT業界は成長著しいだけに、慢性的な人手不足の状況が続いています。しかし、そのままの状態で放置していては社員に業務負担がかかり、メンタルヘルス的にもよくありません。また人財も集まりにくくなります。この改善が大きな課題だったのです。

 ジョブ型にすれば、自身のジョブが明確になり、そのジョブ(役割)に対して、どれだけ成果を出したかが評価の軸になります。無駄な残業を減らし、社員のモチベーションもアップします。これは演劇や映画などの仕事に似ている気がします。監督や脚本家が書いたストーリーに、それぞれの役割を演じる俳優さんがキャスティングされるからです。

夏木:俳優の仕事は一つひとつのシーンが真剣勝負です。そしてスタッフや俳優が自分の力をフルに発揮することで、1つの作品が出来上がる。確かに似ているところがありますね。

柴原:少し異なる点があるとすれば、“主役”は当社だけでなく、発注側のお客さまも加わっている点です。互いが違うゴールを描いていると「問題プロジェクト」に発展してしまいます。そのときに備え、応援要員を割り当てる柔軟な仕組みも必要です。

 ただし、個人に多大な負荷がかかったり、きちんと評価されなかったりしたら、誰も喜んで応援には行きません。大切になるのが「助け合う文化」です。

※ジョブ型人財マネジメント:各社員が自分のめざすキャリアを明確化する一方、会社は職務や必要なスキルなどを明確化する。これにより年齢や属性にかかわらず本人の意欲や能力に応じて人財を登用していく

リスクに振り回されず健康で充実した日々を送る

夏木:そうした制度や文化があれば、社員の方も安心して働くことができますね。

柴原:はい。会社で働くすべての人が健康で、自分の能力を最大限発揮できる環境をつくる。これこそが社長である私の最も重要なミッションの1つだと考えています。そこで働き方改革に加え、健康経営にも注力しています。例えば生活習慣の改善指導など会社として社員の健康増進をサポートしていることはその1つです。

 私自身も、健康には気を遣っており、毎朝20分の散歩やスクワットを日課としています。俳優や歌手の仕事も体が資本だと思います。夏木さんの健康法を教えてください。

夏木:食事には気を遣っています。食べ物はその人の体をつくるものなので、栄養やカロリーのバランスを考えて摂るようにしています。できるだけ体を動かすことも心がけていますが、最近はコロナ禍で外出する機会が減り、体がなまってしまいました。

 2022年3月からは『千と千尋の神隠し』の舞台公演が始まります。帝国劇場を皮切りに大阪、福岡、札幌、名古屋で上演します。舞台は体力を使いますし、長丁場になるので、今から体を鍛え直しています。

柴原:『千と千尋の神隠し』の舞台を楽しみにしています。家族で観に行く予定です。

社会の役に立っている会社は成長し続ける

――日立システムズは10周年ということですが、これからの10年を展望すると環境・社会・ガバナンス といった「サステナビリティ」が企業にとってより一層重要になってくると思います。サステナビリティに向けてどんな想いやお考えをお持ちなのでしょうか。

柴原:日立システムズは2021年10月で10周年を迎えました。前身の会社を起点とするとまもなく(来年)創業60周年。これは多くのお客さまやステークホルダーの方々の支え、そして諸先輩方の努力の賜物です。

 企業が継続的に発展していくためには「この会社は社会の役に立っている」「なくなると困る」と思っていただくことが大切です。そこで日立システムズは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を柱とするESG経営を実践し、人々のQoL(Quality of Life)の向上や社会課題を解決するための取り組みを進めています。

 特に近年は気候変動が原因とみられる自然災害が頻発し、環境対策の重要性が増しています。日本政府もグリーン社会の実現に向け、 2050年のカーボンニュートラル達成を宣言しました。日立グループも2030年までにファクトリー・オフィスにおけるカーボンニュートラル実現をめざす方針を掲げています。

 これは義務ではなく、企業哲学の問題だと思っています。「利益を出して税金などで社会に還元する」だけでは活動は長続きしない。今は「社会の役に立っている会社だからこそ、利益が上がり、成長し続けることができる」という時代になった。私はそう確信しています。

夏木:企業を見る消費者の意識が変わってきていると思います。提供される商品やサービスだけでなく、その企業がどのように社会とかかわっているのか。そこを見ていると思います。日立システムズが前身も含めると60年も会社を継続されているのは、本業だけでなく、復興支援や文化事業支援などを通じ、社会への貢献活動に力を入れてこられた結果ではないでしょうか。

――『おかえりモネ』のテーマの1つが「次世代へのバトン」です。次世代に向けて、どのような社会をめざすべきか。その中で人々や企業はどうあるべきか。最後にお二人の意見を聞かせてください。

夏木:今、地球は悲鳴を上げています。社会全体で環境対策を進める必要があるでしょう。私たち一人ひとりもエコバッグを持つとか、できることから始めていくことが大切です。

 これは個人的な願いですが、日本のものづくりを支える街の工場の職人技を後世に伝えてほしい。日本には優れた技術がたくさんあります。こうした技術が新しい技術と出会うことで、また新しい何かが生まれるのではないでしょうか。この点でも企業のサポートに期待しています。

柴原:コロナ禍の状況はまだしばらく続くでしょう。台風や集中豪雨などによる自然災害も毎年のように発生しています。しかし、だからといって悲観する必要はないと思っています。いいことばかりは続かないが、悪いことばかりも続かない。リスクの備えは必要ですが、そのことばかりにとらわれず、一日一日を大切にしなければなりません。

 企業活動は社員一人ひとりの活動の総和で成り立っています。そして社会から必要だと認められなければ、企業の存在意義はありません。今後も日立システムズはグループ一体で人と技術を融合させた価値あるサービスの提供を通じ、社会課題の解決と次世代を見据えた持続可能な社会の実現をめざしていきます。

 今日は、貴重なお話をありがとうございました。

●シャツ、スカート TOGA 原宿店 トーガ × ディッキーズ 03-6419-8136/●ベルト TOGA 原宿店 トーガ プルラ 03-6419-8136/●イヤカフ、ネックレス、(左手)ブレスレット、(左手中指)リング リーフェ ジュエリー 03-6820-0889/●その他アクセサリー 本人私物