日経ビジネスLIVE

次世代のシステム部門リーダーが語る現場から見たDXの課題とチャンス “変革の輪”を全社に広げる若手リーダーの取り組み

データ利活用が企業に
“真の変革”をもたらす

写真:インテル株式会社 代表取締役社長 鈴木 国正氏

インテル株式会社
代表取締役社長

鈴木 国正

戸川:システム部門の仕事というと、今まではシステムを導入して終わり、という感じでしたが、デジタル変革ということになると、そのシステムとデータを使いこなして良いサービスを提供するなど、事業部門と一緒に成果を上げていかなければならないと思います。

鈴木:インテルはDXの中でも、データの利活用を中核とする経営変革やビジネス変革の重要性を提唱しており、これを「DcX(データ・セントリック・トランスフォーメーション)」と呼んでいます。データの利活用についてお話をうかがいたいです。

西村:荏原製作所の場合、ようやくSalesforceの活用が定着したばかりで、少しずつデータが溜まってきた段階です。データを使いこなせるようになるにはもう少し時間がかかりそうですが、何とか活用していきたいですね。

鈴木:SalesforceのようなCRM(顧客関係管理システム)を活用してビジネスモデルを大胆に変革したのは、1990年代後半に米大手PCメーカーが取り組んだモデルが最初だと思います。顧客データに基づき、直販と受注生産を組み合わせて製品を提供するという画期的なビジネスモデルは、当時私もかかわっていたPC業界に大きな衝撃をもたらしました。

荏原製作所様でも、これから溜まったデータをいかに活用していくかということが問われているわけですね。経済産業省のレポートの「2025年の崖」を意識して、自らの手で次を考え、動かなければいけないと思います。

戸川:鈴木さんがおっしゃるように、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」でも「2025年の崖」として問題を指摘していますが、日本企業のDXを妨げている要因の1つとして、レガシーシステムの存在があると思います。花王様ではこの問題の解決にどのように取り組んでいますか。

國友:花王では今、刷新プロジェクトを実施している最中です。システムそのものの刷新はもちろんですが、新しいシステムを使い、スピード感を持った事業を進めていける体制をいかに作り上げていくか、システム部門だけでなく、事業部門がいかに変革をリードしていくかが重要だと思います。弊社は、事業部門主導で2021年1月に「DX戦略推進センター」と「デジタル事業創造部」という2つの組織を立ち上げました。前者はデジタルを使って既存の事業を再生していく“リボーン花王”、後者は既存の枠組みにとらわれない新しいビジネスモデルを創る“アナザー花王”をテーマとして変革に取り組んでいます。

鈴木:私が事業の責任者をしてきた中で、こういうシステムを作るべきだという、ビジネスモデルの変革を手掛けたことがありました。そのような経験を踏まえてお話をうかがってまいりました。

「DcX」の話に戻しますと、データは1つの企業だけでは価値が生まれないケースが多く、企業間をまたがり、業界を超えることでデータの価値は広がっていきます。まず個人が目を開き耳を開くことが大事なのではないかと思います。

戸川:一人称という言葉が出ましたけれども、自分ゴトとしてやっていく人が1人でも増えると、日本企業は凄い力があるので、どんどん良いものができるのではないかと。今ってチャレンジのしやすいチャンスだと思います。最後に、お2人の今後の抱負について聞かせていただけますか。

西村:現在進めているSalesforceの構築の内製化については、引き続きこだわって取り組んでいきたいと思っています。同時に、事業部門とのコミュニケーションもより密にすることで、現場が求める技術的な要望にすぐに応えられるようにしていきたいです。

写真:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長 戸川 尚樹

日経BP 総合研究所
イノベーションICTラボ所長

戸川 尚樹

國友:先ほど、鈴木さんから「DcX」に関するお話がありましたが、私は今後のデータ利活用の方法としてIoTに注目しています。競合他社を見渡しても、製品に搭載したセンサーからデータを収集して顧客体験の向上に生かすという取り組みがかなり広がっています。花王としても、ぜひ挑戦していきたいですね。

鈴木:お2人のお話をうかがっていますと、現場を本当に自分の力で動かしている感じがわかります。とても刺激になりました。次世代のリーダーとして、自分を高めながら進んでいただければと思います。今はSDGsのフォーカスもあり、中長期の戦略も作らなくてはいけません。システムの現場が「ある程度の期間で必ず結果を出すんだ」という迫力を持って訴えかければ、経営層も必ず支持をしてくれるはずです。ぜひ、頑張ってください。

戸川:皆様、ありがとうございました。