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2020年4月27日から「東証インフラファンド指数」の算出が始まり、関心が高まるインフラファンド市場。
分配金の安定性の高さに加え、再生可能エネルギー分野へのESG投資の観点でも注目を集めている。
その投資魅力や市場の展望について、インフラファンドを運営する3社のキーパーソンに聞いた。

  • 江間 隆一 氏
    タカラアセットマネジメント株式会社
    インフラファンド本部長
    江間 隆一
  • 藤田 洋一 氏
    エネクス・アセットマネジメント株式会社
    財務経理部 財務・IR担当部長
    藤田 洋一
  • 江戸野 翔平 氏
    ジャパン・インフラファンド・
    アドバイザーズ株式会社
    ファイナンス部 副部長
    兼 総務経理部 副部長
    江戸野 翔平

Q1インフラファンドの投資魅力は?

江間分配金の安定性が非常に高いことが挙げられます。これは人々の生活や社会活動に深く結びつくインフラ資産としての特徴に加え、最低保証賃料を設定するなど、工夫した賃貸借スキームとしているためです。太陽光発電設備の発電量は天候に左右されがちですが、仮に一日中曇りであっても業績への影響は少なく、下方硬直的です。タカラレーベン・インフラ投資法人は2016年6月に上場して以来、9回の決算を終え、そのすべてで当初予想よりも増配となっています。

藤田インフラファンドは、地球環境に貢献する再生可能エネルギー発電設備への投資機会を提供します。昨今、これまで以上に注目度が高まっているESG投資を体現する投資対象といえるでしょう。安定した収益構造を背景とする魅力的な配当に期待しつつ、小口の資金から直接的にESG投資に参加できます。我が国の再生可能エネルギーの普及に直接的に貢献できる点が大きな魅力です。

江戸野新型コロナウイルスによるボラタイルな市場環境において、株式やJ-REITが大幅な下落となったのに対し、インフラファンドの投資口価格は変動幅が少なく、下落率は限定的でした。実際、事業への影響はほとんどなく、安定した収益を計上することができています。また藤田さんがおっしゃる通り、インフラファンドは「カーボン・ニュートラル」の方針に沿う、ESG投資の本命銘柄です。今後の成長が期待されるサスティナブルな投資対象と考えられます。

Q2ESGの取り組みと投資家の関心は?

藤田エネクス・インフラ投資法人では2020年12月に三重県の松阪太陽光発電所を取得する際、グリーンエクイティによる新投資口発行を実施しました。「より目に見える形でESG投資への参画を実現する」という点で、一定の認識と評価をいただけたと考えています。
その他には、スポンサーである伊藤忠エネクスとともに、電力の地産地消、CO2フリーによる環境価値の提供に向けた取り組みを開始しています。これは山口県の防府発電所で発電された電力を地元の需要家に販売し、利益の一部を投資家の皆さまに還元するものです。このような取り組みを通じ、再生可能エネルギーの流通拡大にも寄与していきます。

江戸野エクイティに対するグリーン性評価の取得は、資産全体がグリーンであることを客観的に明示でき、より透明性の高いグリーン投資の機会を提供することが可能です。
機関投資家からは「ステークホルダーからもESG投資が求められるなか、グリーンエクイティというラベルがあるとなると投資対象として検討せざるを得ないほど印象的」という声が寄せられています。「政策の動向による関心の高まりとともに、グリーンエクイティの活用がさらに投資家層を広げるのではないか」という意見もあり、その意義を実感しています。

江間2019年5月に「サステナビリティに関する方針」を定めました。具体的には、宮城県の震災で失われた防災林復旧のための寄付、和歌山県のマラソン大会の協賛、埼玉県飯能市内の公園の清掃活動等を行っています。長期にわたり発電所を運営していくためには地域との共生が不可欠であり、今後も社会貢献活動を継続していきます。
昨年の公募増資の際には、上場投資法人として初めてエクイティに対するグリーン評価を日本格付研究所より取得しました。新生銀行からは新規のデットに対してグリーンローン評価を受けており、バランスシート全体で環境価値の高いファンドを体現しています。

インフラファンド上場銘柄一覧

図1
※予想分配金利回り=直近の年間予想分配金÷投資口価格(2021年1月末時点)
出所:適時開示資料その他公表資料より、東京証券取引所作成

Q3インフラファンドとしての強みは?

江間毎期増配してきた分配金の実績が強みのひとつです。インフラファンド第一号として上場し、多くの決算を迎えるなかでファンドのポテンシャルを打ち出してきました。安定配当の背景には、全国に展開する太陽光発電設備の分散効果によるリスク低減があります。加えて、減価償却費を原資とした利益超過分配金を抑え、そこで留保された資金の一部を物件取得などに再投資し、利益分配金の成長を継続できています。

藤田メインスポンサーである伊藤忠エネクスが電力事業者であり、再生可能エネルギーの開発や資産運用、メンテナンスのノウハウなどに秀でていることが強みです。電力事業に関する知見が安定運用を実現するとともに、金融市場における経験や知識が資金調達の多様化を可能にします。ポートフォリオの観点では、日照量が多く気象条件の良いエリア、首都圏や中京地域など電力需要旺盛なエリアの構成比が高く、発電、売電ともに安定しています。

江戸野スポンサーの丸紅グループは、国内外で再生可能エネルギー事業およびインフラ事業を行ってきました。資産運用の面でも上場REITを発足当初から運用しており、投資家の目線に立った商品設計に長けています。その運用ノウハウや、その他のスポンサーであるみずほグループの総合力を生かし、長期的に安定した分配金を期待できることが強みといえます。資産規模はIPOから10か月で約2倍になり、格付投資情報センターより最上位の信用格付Aを付与されています。成長性と安定性を併せ持つインフラファンドとして、投資主利益の最大化を目指しています。

Q4市場の展望、今後のビジョンは?

江戸野2020年4月に東証インフラファンド指数の算出・公表が開始されました。先々、指数を活用した商品の登場、インフラファンド市場の流動性拡大が見込まれ、市場の展望は明るいと思います。
ジャパン・インフラファンド投資法人としては、5~6年後に取得価格ベースで資産規模1000億円を目標にしています。スポンサーサポートに加え、パイプラインサポート会社からの物件取得により、アセットの積み増しを継続的に行っていきます。風力や水力、バイオマスといった太陽光以外の再生可能エネルギー発電施設の将来的な取得に際しても、丸紅グループの知見やノウハウを生かせると考えています。

江間まずはインフラファンド市場を知っていただくことが重要だと思います。投資口価格の安定性や電力需要の普遍性を訴求し、多くの投資家に魅力を伝えていきます。ゆくゆくはJ-REITと同様に大きく発展する市場であると思っています。
タカラレーベン・インフラ投資法人は、毎年公募増資を実施し、物件取得を行っています。今後も継続していくとともに、太陽光以外の発電設備についても積極的に投資を検討していきます。固定価格買取制度(FIT)の終了を懸念する声もありますが、FIT後の賃料水準をすでに開示しており、上場インフラファンドとして継続運用できると認識しています。

藤田ESGに注目が集まるなかで、インフラファンドは今後も上場銘柄数を増やし、存在感を高めていくであろうと期待しています。それにより投資家の選択肢が広がり、流動性が高まることで市場の成熟度も増していくでしょう。
FIT終了後の事業継続を見据えた時、スポンサーが電力の電源開発から販売までを本業として行っていることがエネクス・インフラ投資法人の大きな強みとなります。開発・メンテナンスの難易度が高い風力発電設備や水力発電設備の運営実績にも長けており、将来的にそれらを組み入れることでより総合的なインフラファンドとしての魅力を高めていきます。

  • 藤田氏

    開発・メンテナンス難度の高い水力発電、
    風力発電にも強み

    藤田

  • 江間氏

    上場以来、毎年物件取得。
    ESG課題に対し積極的に取り組む

    江間

  • 江戸野氏

    丸紅グループの知見を生かし
    資産規模1000億円を目指す

    江戸野