日経ビジネス電子版 Special
提供:キリンビール株式会社
国際的な賞に輝いたジャパニーズウイスキー国際的な賞に輝いたジャパニーズウイスキー

「おいしさ」にこだわる「キリン流」の商品づくりが奏功し、「一番搾り」や「本麒麟」は家庭向けの販売状況が好調で多くのメディアから注目を集めている。そのキリンビールがウイスキー事業でも同様に「おいしさ」にこだわって、2020年4月に発売したのが「キリン シングルグレーンウイスキー 富士(以下、富士)」だ。発売後すぐに高い評価を獲得し、海外の著名な賞に輝いた。「キリン流」が目指すウイスキーの新たな価値とは何か。開発担当者に、開発の背景やおいしさの秘密を聞いた。

富士山の伏流水が生んだ、やわらかで飲みやすいウイスキー 富士山の伏流水が生んだ、やわらかで飲みやすいウイスキー

「富士御殿場蒸溜所の価値をストレートに表現したウイスキーを目指しました」と語るのは、キリンビール株式会社 マーケティング本部 事業創造部 国産洋酒チーム 主査の根岸修一氏だ。やわらかで飲みやすく、フルーツや花のような甘い香りがする。ウイスキーの初心者から愛飲者まで、幅広い層が楽しめるウイスキーを形にした。

キリンビール株式会社
マーケティング本部 事業創造部 国産洋酒チーム 主査

根岸 修一 氏

飲む人に「おいしい」と言ってもらうことが第一。お客様を見て商品づくりをするのが、キリンの流儀だ。ビールや酎ハイも同じ。2020年、未曽有の状況においてもお客様に高い評価をいただき好調な販売数を見せた「一番搾り」や「本麒麟」、「キリン 氷結®無糖 レモン」など、その流儀を一つひとつ形にしている。キリンのウイスキー事業の規模はまだ大きくはないが、「キリン流」だからこそ出せる価値の創造に挑んだ。

その成果として2020年4月に発売した「富士」は、すぐに国際的な賞を受賞した。「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2020」のジャパニーズウイスキー・カテゴリーのゴールドだ。その味わいは国内外で高い評価を得ている。

「富士」を育んだ富士御殿場蒸溜所は、1973年の創業。なめらかで飲みやすいウイスキーづくりに適した土地を求め、全国を調査した。名水を日本中から集め、当時事業パートナーだったシーバス・ブラザーズ社とシーグラム社にサンプルを送ってウイスキーのプロたちが吟味し、ベストと評価したのが富士山の伏流水だった。加えて、御殿場は湿った空気が富士山にぶつかるため、一年中湿度が高い。それがスコットランドの気候に似て、ウイスキーの熟成に適している。水と気候、2つの条件が揃った御殿場は、ウイスキーづくりに理想的な土地だった。なめらかで飲みやすく、甘い香りのする日本人好みのウイスキーを実現するため、水、風土、蒸留器の形状や製造条件など、すべてにこだわり抜いて富士御殿場蒸溜所は誕生した。

ウイスキーをいちからやり直す覚悟で約80億円を投資 ウイスキーをいちからやり直す覚悟で約80億円を投資

20年以上低迷してきた国内のウイスキー消費量は、若い世代を中心に消費が回復し、2007年から再び上昇に転じた。2018年まで11年連続で成長している(国税庁調べ)。

国内のウイスキー市場の推移

こうした状況の下、キリンビールは2018年にウイスキー事業をいちからやり直す覚悟で約80億円の投資を決める。経営陣から国産ウイスキー事業を託された根岸氏は、第2創業期のつもりで新商品コンセプトを根本から練り直したという。「富士御殿場蒸溜所の伝統を振り返り、大切にすべきものは大切にし、要らないものは捨てる。この地でつくるウイスキーがお客様に届けるべき価値とは何か、まっさらな状態から考えました」(根岸氏)

同社のウイスキー事業のルーツは、海外企業との合弁で始まったことだ。シーバス・ブラザーズ社からはスコッチウイスキー、シーグラム社からはバーボンとカナディアンウイスキーのノウハウを受け継いでいる。日本のウイスキーはよくスコッチウイスキーに似ていると言われるが、それだけではないはずだ。考えに考えた末、1つの結論に至った。「ウイスキーはもっと自由であるべきです。ウイスキーの可能性を広げていくことこそ、私たちが提供できる最大の価値だと考えました」(根岸氏)

スコッチ、バーボン、カナディアンウイスキー。富士御殿場蒸溜所には、3種類のグレーン原酒をつくる3基の蒸留器が並ぶ。これは世界的にも極めて珍しい。この3つの原酒を熟成させ、最も良い状態でブレンドしたのが「キリン シングルグレーンウイスキー 富士」だ。個性がはっきりしているのに、なめらかで飲みやすい。富士御殿場蒸溜所の名を世界に知らしめているグレーンウイスキーの特長を活かした、独自のウイスキーが生まれた。