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KIRIN SDGs Top Interview 免疫のリーダー企業へ 健康で幸せな毎日に貢献KIRIN SDGs Top Interview 免疫のリーダー企業へ 健康で幸せな毎日に貢献

キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典
キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典
キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」で「食から医にわたる領域で価値を創造し、
世界のCSV(共通価値の創造)先進企業となる」ことを推進しており、
創業以来磨き続けた発酵・バイオテクノロジーを生かし、食・医領域に加えて
新たにヘルスサイエンス領域に力を注いでいる。
同社の磯崎功典社長は免疫のリーダー企業として社会に貢献していく強い信念を持っている。
キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典

プラズマ乳酸菌食品通じ免疫ケア

――ヘルスサイエンス領域に注力する理由、キリンならではの強みは何でしょう。

人生100年時代といわれる中、人々の健康意識が高まる一方、医療費増大などへの危機感が増しています。キリングループは創業から100年以上にわたり、一貫して発酵・バイオテクノロジーをコア技術とし、約40年前には医薬事業にも参入しました。食から医にわたる領域で長年自社研究を重ね、お客様と向き合ってきた強みをヘルスサイエンス領域でも生かし、新たな価値を創造し社会課題を解決していけると考えています。

――同領域では「免疫」を柱に据えています。戦略素材「プラズマ乳酸菌」とは?

新型コロナウイルス感染症への不安などからお客様の免疫への関心は高まっていますが、免疫とは何か、ケアのために何をすべきかなどの理解は十分とはいえません。そこで食品を通じ手軽に免疫ケアをしていただく提案を考えました。

ビールづくりの敵であった乳酸菌に注目して免疫研究を35年以上続けている中で、2010年に当社は世界で初めて※1プラズマ乳酸菌の免疫維持機能を発見しました。プラズマ乳酸菌は、主にチーズやヨーグルトの発酵に使用されるナチュラルな乳酸菌「ラクトコッカス・ラクティス」の一種です。一般的な乳酸菌は、免疫機能の一部にしか働きかけませんが、プラズマ乳酸菌は免疫の司令塔に作用し、免疫細胞全体(NK細胞、キラーT細胞、B細胞、ヘルパーT細胞)が活性化されます。昨年8月には日本初※2の免疫機能の機能性表示食品として届出が公表されました。

「ジャパン・レジリエンス・アワード2021」の「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞 「ジャパン・レジリエンス・アワード2021」の「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞
「ジャパン・レジリエンス・アワード2021」の
「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞

お客様に向けては、免疫の働きや仕組みの解説、食品で免疫ケアが手軽にできることを信頼と説得力を持つタレントのタモリさんをアンバサダーとして紹介しています。国への働きかけとして、国土強靭(きょうじん)化基本法に基づく「レジリエンスジャパン推進協議会」に参画しています。プラズマ乳酸菌の取り組みを評価いただき、「ジャパン・レジリエンス・アワード2021」の「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞しました。また全国の小学校約2万校や図書館など約4千館に免疫の働きを解説した図書の寄贈、動画の配信も行っています。

  1. ※1 ヒトでpDCに働きかけることが世界で初めて論文報告された乳酸菌(PubMed及び医学中央雑誌WEBの掲載情報に基づく)
  2. ※2 機能性表示食品の届出情報検索を用いた当社調べ
キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典

連携進め商品拡充 積極的に海外展開

――免疫ケア食品にはどんなものがありますか。

昨年からプラズマ乳酸菌入り機能性表示食品として飲料やヨーグルトを発売、資本業務提携先のファンケルからもサプリメントを発売しています。さらにライフスタイルに合わせたラインアップを増やしており、今年はさらに当社から紅茶や緑茶の主力ブランドからも新商品を発売、また森永製菓やカンロ、オリヒロプランデュからはゼリーやグミなどの菓子類も発売されています。

私たちは免疫のリーダー企業として世界の人々の健康で幸せな毎日に貢献したいと考えています。行政、大学など研究機関、想いを共にする企業とも連携し、お客様がおいしく免疫ケアできる機会を広げていきたいですね。

――海外展開や今後の売り上げ目標は?

熱帯感染症の流行が社会課題であるベトナムでは、免疫機能を表示した飲料を発売し好評です。北米でもタブレットを展開、今年からは欧州でも販売活動を開始しました。プラズマ乳酸菌関連商品の国内外あわせた売り上げは大変好調に推移しており、長期経営構想最終年の27年には、500億円の売り上げを目指しています。

キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典
3つの重点領域でイノベーションを創出
●3つの重点領域でイノベーションを創出

社会課題解決へ CSV経営加速

――免疫以外に注力している分野は?

免疫の他に、同じくビールづくりの技術から発展させた脳機能、腸内環境を重点領域としています。わが国では認知症が大きな社会課題であり、食事などの日常生活を通じた認知機能の維持・改善が注目されています。当社の研究開発から生まれた「βラクトリン」は、加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ乳由来の健康素材です。今年4月以降、βラクトリンを配合した機能性表示食品が、当社からは飲料とサプリメント、雪印メグミルクからはヨーグルトが発売されています。

また近年の研究により、腸内細菌が炎症性腸疾患やアレルギー疾患、がんなど様々な疾患に関与していることが判明しています。中でもアレルギー疾患は世界中で患者数が増加しており、腸内細菌の調節による予防や治療が期待されています。大学などとの共同研究の成果を商品として届けられるよう尽力しています。

――今後の事業の方向性、描いている未来について教えてください。

私たちは様々な環境変化に対応していかねばなりません。コロナ禍を経験し、改めて社会課題の解決に取り組み、社会と共に成長するCSV経営を加速する必要性を感じています。健康への想いは人類の普遍的な願いです。これまで培った発酵・バイオテクノロジーを生かし、「食と健康の新たなよろこび」を提供し続け、コーポレートスローガン「よろこびがつなぐ世界へ」の実現を目指してまいります。

キリンホールディングス 代表取締役社長 磯崎 功典