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レーベン小田原 THE TOWER 外観完成予想CG

タカラレーベンは分譲マンションの開発事業を主軸とするデベロッパー。全国展開に向け、地方都市にも力を入れる。最近重点を置く領域が、高経年マンションの建替え事業への参画だ。小田原駅西口では「駅前の顔」として早期の再生が望まれていた案件の建替え事業に携わっている。

耐震基準を満たしていない分譲マンションはいま、100万戸を超えると言われる。安全性に不安があるにもかかわらず、再生・建替えはなかなか進まないのが実情だ。大きな社会課題と言える。

タカラレーベンが高経年マンションの建替え事業に積極的に参画し始めているのも、この課題に取り組もうという考えからだ。同社で事業を担当する都市再生部長の寒河江章氏は、「社会課題の解決に取り組むことで、SDGs(持続可能な開発目標)の達成やCSR(企業の社会的責任)の遂行にもつながります」と、その意義を強調する。

目下、参画中の案件が、小田原駅西口に立っていた小田原駅前分譲共同ビルの建替え事業だ。現場ではすでに建替えのビルを建設中で、2024年6月には完成を迎える見通しだ。

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競合他社の中から事業協力者に
評価されたのは、スピード

タカラレーベン
マンション事業本部
都市開発事業部
都市再生部長・再開発部長
寒河江章氏

5年前から建替えを検討する権利者組織と接点を持ち、2018年5月、複数の競合他社の中から事業協力者に選ばれた。評価されたのは、スピード。「選ばれるまでは、課題を出され、すぐに対応する――その繰り返しです。経済的な条件は一番ではありませんでしたが、スピードが評価されたと感じています」(寒河江氏)。

権利者との面談には、同事業部の柳沼亜由美氏と2人であたってきた。寒河江氏は「合意形成を支援する時には、限られたスタッフで担当するのが成功のカギです」と強調する。

人海戦術を採用すると効率面は勝るが、権利者の受け止め方にムラが生じ、合意形成に支障を来す恐れがあるという。「多くのスタッフが説明すると、同じ内容を話しているつもりでも言葉のニュアンスが異なり、権利者の受け止め方にムラが生じかねません。説明する役割は限られた人数に絞るのが非常に重要です」(寒河江氏)。

強みは、寒河江氏も柳沼氏も一級建築士であること。建築面での疑問を投げ掛けられれば、的確な答えを返せる。

この共同ビルは耐震診断で性能不足という結果が明らかになったことから、居住者の不安が強かった。建物の構造に対する問題意識はおのずと高まり、居住者からは関連の質問が相次いだ。

「私たち一級建築士が誠実に対応し、信頼関係を築くことができました。良好な関係性も、合意形成につながったと言えます」(寒河江氏)

タカラレーベン
マンション事業本部
都市開発事業部
都市再生部 都市再生課主任
柳沼亜由美氏

ただ、専門家だからといって難しい話でけむに巻くわけではない。「権利者とコミュニケーションを取る中で、個人的に建替えへの不安を打ち明けられることもあります。そういう時は、専門用語は使わず、理解しやすい言葉で不安を和らげるように心掛けていました」(柳沼氏)。

もう一つの強みは、自治体の補助制度を使いこなす点だ。

補助制度を利用すると、事業性が向上する一方で、手続き上の理由からスケジュールが限定され、合意形成に制約が生まれる。建替え事業では一般に、制度を利用しない傾向にある。

しかしタカラレーベンは、補助制度の利用にあえて挑戦する。共同ビルの建替えでは、補助金の利用が事業性の向上に役立ち、合意形成を図るうえでもプラスに働いた。「スケジュールの調整は課題ですが、やり切る覚悟と努力で乗り切りました」と、寒河江氏は振り返る。

まちなかを盛り上げる活動
高岡市では地域の活性化を

補助制度を使いこなすという強みが生かされるのは、分譲マンション市場が大都市に比べ小さい地方都市での分譲事業である。工事費は大都市とそう変わらないが、分譲可能な価格は大都市に比べ下がるため、補助金で事業性の向上を図る必要があるからだ。

地方都市には別の思いも抱く。「デベロッパーとして、地方都市が抱える課題を解決することも使命だと感じており、その地域の活性化に積極的に取り組んでいます」(寒河江氏)。

その中の一つが、富山県高岡市だ。駅前や目抜き通り沿いで再開発事業に参画し、地域の活性化を促すにぎわいの拠点づくりに取り組む一環で、地元主催のイベントに協力するなど拠点施設への集客にも尽力する。

グッドデザイン賞も受賞している「レーベンクラフト」では、各地のマンション供給を通じて出合ったこだわりの宝(モノ・コト)を多くの方々と共有する機会を提供するなど、マンションの供給が終わっても、まちを盛り上げる活動に励んでいる。

活動を通じて分かったのは、地方都市にも多くの人が住んでいるということ。「ただ、まちなかに集まってこないだけ。だからこそ、イベントへの参加を呼び掛け、まちなかに出てきてもらおうとしているのです」と寒河江氏。人が集まってくれば、店を新しく開きたいという声が上がる可能性も見込めるという。

タカラレーベンが取り組んでいるのは、まちの再生を通した地域の活性化だ。しかも、その舞台は事業性に課題を抱えがちな地方都市。そこにあえて挑戦しようという心意気が、さらなる成長への余力を感じさせる。

Content

旭化成不動産レジデンス

建替え検討は平時から、余裕を持って進める再生後の姿を示し、合意形成を支援
社員自ら権利者に向き合い、意向確認

タカラレーベン

活性化を後押しし、地域社会に恩返し建替えへの参画で社会課題に挑む
合意形成と事業化に独自性を発揮

日鉄興和不動産

成功に導くには、合意形成こそ欠かせない個別面談にも社内スタッフで対応し
権利者一人ひとりの意向に向き合う

総論

取り組み姿勢で事業協力者を選び
当事者意識を忘れずに合意形成へ